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akurukkusu0927さんのこの大空に、翼をひろげての長文感想

ユーザー
akurukkusu0927
ゲーム
この大空に、翼をひろげて
ブランド
PULLTOP
得点
69
参照数
652

一言コメント

世界はたくさんの彩で満ちている。自由や夢を失った少年少女の青春群像劇。結論・・・内容自体は素晴らしいものだった。が、私は物語に入り込めなかった。学生のソアリングという設定に対応しきれなかった

長文感想

双子妹と性格が似ていたため、自分を見つめなおすきっかけにもなった。あまりこの作品に良い印象が持てなかったのは、あまりにも登場人物がまぶしいからだろうか。また、この作品の前に、穢翼のユースティアをプレイしていたのがまずったのかも・・・。
私はかつて、宇宙関係の仕事がしたかったので学生時代、それに向け様々な努力をしていた。そのため、空に挑む・・・この言葉にロマンを感じるという点ではソアリング部員と共感する部分はあった。
この人生、無駄なことなど一つもない。夢に向かってひたむきに突き進め・・・。結果関係なく、初めて見えるものが幾つもあるはずだ。Nothing gold can stay. この作品を通して、心に響いた。

●あげは
とにかく、つきあった後のあげはの変化が大変良かった。情熱かつ冷静に物事をみていることに好印象だった。シナリオについては、皆が酷評してるほど悪くなかった。あげはの心の闇も理解できた。ただ、これといった山場はなかったし、終わりも少しあっけなかった感じは否めない。

●双子
一言で言うと可愛かったですね。妹の方は性格が自分に似ていたこともあり、共感できた。この子らが攻略対象であっただけでも、このゲームをプレイして満足だった。ただ、やはり山場がなかったかなと思った。

●小鳥(~~の線より以下にネタバレ要素含む感想あり)
一言で言うと不快だった。悪役が完全な悪役になりきれなかったのが原因かもしれない。面白い以前の問題だった。あげはや双子も不快の対象に変化してしまった。それだけでなくほとんどの登場人物がその対象になった。ひばりさんの反応が普通で一番、人間味を感じた。
小鳥ファンが多い中申し訳ないが、あまり好きにはなれなかった。日頃の言動もそうだし、考え方もそうである。たびたび、理不尽だとの発言があるが理不尽とは到底思えない。しかも、感情がむき出しで、敵とみなせば、冷静に考えることもせずに噛みつく。私はこういう人間が好きではない。『責任』というものを一番理解していないように感じたのも原因である。
後、あまりにもご都合主義すぎた。少しやり過ぎで蛇足感が否めない。
50本ほどえrgをしてきた私だが、会話のボイスが終わる前に先に進んだり、Hシーンを飛ばしたりと、らしくない行動を取っていた。それほど不快だったみたいだ。~~以下のネタバレ欄において、高評価をした方に私の指摘した点について意見を聞いてみたいと感じた。

シナリオについて、個別ルートはあまり変わり映えしないような印象で、他の方のコメントでもあったように、
2ルート目以降が少しでつ読み進めるのが辛くなってくる。

●天音
過去のプレイ者のコメント通り、一番、違和感無く綺麗にまとまっていた。登場人物の楽観的行動に対する違和感は拭い去れなかったが、それを差し引いても気持ち良いシナリオだった。


【得点】
・シナリオ 18/40
→以下、ネタバレ欄のことを気になりだしたら、最後まで引きずってしまった。小鳥√で大きく減点する評価になった。
・音楽 13/15
→OPEDともに素晴らしい。
・CG 18/20
→大変きれいに描かれている。しかし、亜紗の顔など違和感もあった。
・キャラ 17/22
→あげは4/4 ~ 双子 8/8 ~小鳥 0/4 ~ 天音 3/4 ~ サブ 2/2
最後まで小鳥に共感できなかった。
・H 3/3
→私は濃く感じた。特に双子。

これから、この作品をプレイしようとする方は以下の条件を満たせば楽しめると思っている。
①体験版の小鳥に共感できる。
②子供の夢は絶対で、大人の事情なんか世間とか知ったことじゃないし、子供なのだから迷惑をかけるのは当然だという考えを持っている。
③空が危ないという考えを脱却してプレイできる。
④大人なんか大嫌いだ。自分は純粋な心を持っていると思っている。
⑤未来がどうなろうと、他者意見を排除し、自分の信じた道こそが正しいのだという考えを持っている。
【一番の指針となるのが以下だと思う】
⑥仮に自分の子供が危険なことを挑戦しようとしている時、「何があってもお前の人生だ。悔いのないように行ってこい」と言える方。
→私は、首に縄をつけてでもやめさせると思うので、合わなかったのかもしれない。失敗した際に、「あぁ、まぁこれが彼女が選んだ道、人生だったんだ」というのは、親や教育者として怠慢だという意見を持っている私のような方は合わないと思います。シナリオは素晴らしいものだと思いますが、根幹部分にズレがあると素直に楽しめない。

以上を満たせば、楽しめると思う。

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(以下は、ネタバレ要素含む感想)

この作品がフィクションなのは重々理解しています。だから、現実的に考え過ぎるのはよくないのも分かっています。ですが、どうしても以下のことが気になってしかなかった。
後、以下の文章は、この作品が好きな方にとっては不快に感じる方もいらっしゃると思うので、嫌な方は見ないことを推奨します。








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小鳥√を終えて・・・、飛岡先生のやり方や小鳥の父親の行き過ぎた発言には賛同できないが、間違ったことをいってはいないため、不快感が生まれたのかもしれない。以下、不快に感じた理由を列挙する。

①どの登場人物も「飛岡め・・・」と目の敵にしている。特に小鳥・・・なぜ飛岡がいつも邪魔するのか、陰湿なのか、口出しするのか、私達の自由じゃないか・・・・・自分があたかも正義のような発言に違和感を覚えた。自由とは責任と切っても切れない関係である。そう考えると筋が通っていないのは明確。足が不自由だから身の程をわきまえろといった父親の発言はしない。だが、親の助けなく、学校を離れる覚悟がないにもかかわらず、飛岡に対する対応は成立しない。
彼の主張はあくまでも廃”部”。だったら、退学して続ければよいのではないか?それなら、飛岡先生の目を気にすることなく自由にできる。なぜそうしないのか・・・。彼らの夢はその程度なのだろうか・・・。それだけ夢が大事なら、退学くらい些細な問題だと思う。彼らはそんな思いは持っていないだろうが、いざという時の責任を学校に押し付けるためにすがっているように見えた。

②小鳥が両親にグライダーをしていることを伝えていなかったし、主人公をはじめ部員は黙っていた点。いくら父親の発言が過激だったとはいえ、部員ら自らの落ち度を棚に上げ、父親を批判することはできないと考える。なぜ、黙っていたのか。血縁者にも関わらずだ。そこは筋を通すべきだろう。それができないなら、親と一生関わらない覚悟を持って欲しかった。自分ひとりで大きくなったのか・・・。たしかに夢は大切だ。親はその子供を全力で応援すべきだ。だが、明らかに危ないことをしようとしているのに、それを少々強引にでも止めないというのは、親として最良の選択とは思えない。仮に事故が起き、小鳥が植物人間もしくは亡くなった場合、突如娘を失った親としてはどう思うだろうか。いきなり子供がいなくなったのだ。残されたもの気持ちを理解しているのだろうか。
親に黙ったまま、子供を連れまわし失敗しました・・・通用するだろうか。だからこそ、親には黙ってほしくなかった。グライダーに関しては、根拠無く大丈夫と言えていたのだから、説得くらい容易いものだろう。夢という熱い情熱をもって説得し続ければいいじゃないか。
私には、突如として、大切な人がこの世から消えてしまった経験がある。残された身としては簡単に片付く問題ではない。失敗した際、学生身分の彼らに責任は取れるのか・・・。そのため、祭り気分で参加している登場人物にも腹が立ってしまった。

③(おそらく上記の意見に「人間、普段の生活でも何が起こるか分からないじゃないか。」と反論する方もいるだろいう)
しかし、熟練の技術者がつくったグライダーで飛んでいるわけではない。専門学生とはいえ、学生が作っているにすぎない。天音が手伝ったとはいえ、ほとんど目を離していた。しかも、日本の飛行機ですら、2人のうち一人はベテランの操縦士をのせていると聞いたことがある。しかし、主人公は免許を持ったとはいえ、未熟であるし、ベテランは搭乗していない。それでも”普段の生活”と言えるだろうか。極めて危険である。

④天音やあんちゃんは社会人なので、立場ある言動をしてほしかった。というのは、部員らに飛岡や小鳥父親の言い分も織り交ぜ、積極的に中立的な意見を提示してほしかった。見た限りだと大きな子供という印象を持った。要するに悪役の意見にも一理あるため、悪役になれきれず、学生らが、まるで幼児がわがままをいっているようにしか見えなかったのだ。

⑤主人公の「故郷に帰って、その先はあるのか」というセリフ。
それでは聞くが、夢を追い、失敗した先にはなにがあるのか・・・。それと同じセリフを動かない部員に言えるのか。逃げても生きてさえいれば・・・、足は不自由でもそれ以外が健康体なら、いくらでも先はあるだろう。生きているからこそ先があると思う。だからと言って、父親が強引に退学させたことは賛同できないが・・・せめて、搭乗禁止位でよかった。

⑥何が正しいことなのか、誰かに決まられてしまうなんてごめんだ・・・。とたびたび出てくる言葉。
何も正しい間違っているの話ではない。失敗し、死亡事故が起きた際のことをしっかりと考えているのかということである。そこを天音などは突っ込んで主人公並びに部員の意見を聞きたかった。泣き崩れる遺族を前にしたとしても、正しいことだったと胸を張れるだろうか。結局は自分勝手な人物像を植え付けられてしまった。何でもかんでも俺たちは「馬鹿だから・・・こんなことをするんだ」を言い訳にしているのも引っかかった。

⑦何といっても空に対する考えの甘さ。「グライダー乗ってみれば?」「すごい景色をみてくれば?」「難しく考えず、気楽に行こう」というセリフが飛び交う。まるで、コンビニでも行くかのように軽い。空に挑むってそんな軽いものなんでしょうか。この台詞が飛び交うことで、彼らの行動が凄いことに感じず、成功しても感動に至らなかった。


結論、部員が自分勝手で最悪のことを考えず、究極の楽観主義者に映ってしまった。小鳥が事故にあい、初めて恐怖する。しかし、その恐怖感を一瞬で忘れている。「彼らだから大丈夫だ」この言葉をしきりに言っているが、それは理由になっていない。命に関わることなのだから。事故がどのような問題を産むかまるで理解できていない。その点が気になってしまったため、皆さんのように作品を楽しめなかった次第である。

以上。