購入前の期待感を大幅に上回る良さだった。11eyesというタイトルが少しでも頭に残ってる人なら買い。主人公と美鈴がメインだが他キャラについても一部どうしてるか書かれている。二人の初子、美柚の可愛さは圧倒的で他作品への販促としても機能している。Liber7や神殺しのアリアもやってみたくなった。テキストの密度が濃い目で価格の割に読了後の満足感が高い。主人公と美鈴を幸せにする為に必要な事をしっかり書き起こしてプロットから丁寧に練ったんだろうなと思わせる構成、シナリオ。ライターの魂がこもっている。11eyesというタイトルをジャンル分類するなら異能・活劇・恋愛になると思うが、本作には異能も活劇も恋愛もない。夫婦生活、家族の幸せに焦点をしぼっている。CGは差分抜き15枚、エロは3枠正常位、後背位、対面座位。
駆が武威を示して若衆を味方につけて、里の改革を主導する中で年長組にも認められて…
そういう結果を残した上で首領の座を射止めるというのは説得力があって良かった。
特に里の改革については身重な美鈴の事を想えば里に病院がないのは不便すぎると思うのも理解できる。
説得力のある話作りができている。
武威について、駆の実力を若衆をまとめ上げる事ができる程度に控えたのはいい塩梅だと思う。
外様の駆を最強にすると草壁一門の格が下がってしまうので、これくらいがちょうどいい。
武威を示す切欠にしょーもない小競り合いとかではなく一門公認の雷切継承戦という場を作ったのも上手い。
駆の経験値なら勝ってもおかしくないだろうと思わせるレベルで、実際勝てば誰も文句の言いようがない。
里の改革について、こういうノベルゲーで主人公が政治で物事をまとめあげた事に驚かされた。
駆はもう少年ではなく大人なんだと気付かされる一幕。
少年少女の物語が多めなノベルゲー媒体でこういう一幕を読めるのは新鮮で良かった。
テキストで読める範囲だと駆中心に全て上手く行っているので若干ご都合主義と思わなくもないが
本編のアフターストーリーの更にアフターストーリーなので
(既にめっちゃ頑張ったから今回これくらい追い風吹いててもいいでしょ…)という気持ちで読める。
草壁一門の長になる道程についてはアフターストーリーという形式のいいところが出ていたと思う。
本編でこれを書いたら多分受け入れられなかった。
私は11eyes原画家チームの一人ちこたむ氏のファンなので、美鈴の立ち絵やイラストについてはどうしても思わずにはいられない。
しかしその事が逆に美柚の可愛さを直球で受け取れる助けになっていたとも思う。
美柚に興味を持ってもらえれば、11eyesのファンを神殺しのアリアへ引っ張ることができるので
狙ってやったのかは分からないが上手い販促だな…とちょっと変な見方だがイラストについて好印象な点もある。
勿論ちこたむ氏の絵で美鈴のアフターを読みたかった気持ちは強いが
仮にそうなっていたら美柚から神殺しのアリアへの導線は生まれなかっただろう。
美柚の可愛さについて文句をつける人はいないと確信できるので、森山しじみ氏は非常にいい仕事をしている。