過去の恋を終わらすために、新しい恋を始める物語。セーラのキャラや主人公の設定などは新鮮で、素材は悪くなかったのですが…
7人の中から過去の恋心の持ち主を探すなんちゃって推理モノ。
登場人物同士の心理的な駆け引きとか色々思惑が飛び交う感じ。
角砂糖作品は久しぶりですが、こんな作風だったっけ?と戸惑った。
なんちゃって、と付け加えたのは推理要素があって無いようなものだったので。
多数決で決められた人間に恋心とロールをそれぞれ返していくのですが、
セーラの持つ恋心を持っていた人間にたどり着くまで儀式を何度も繰り返せるわけです。
例えば戻せれる上限に人数が決められていたら緊迫感もあったんでしょうが。結局は、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる訳で。
話の肝になる設定だと思っていたのですが、人数が減っていくにつれて尻すぼみ感が強かった。
1周やれば誰が本来の恋心の持ち主なのかが分かってしまいますしね。
主人公が「2択の呪いにかかっている」というのは選択肢を選ぶプレイヤーとリンクさせているようで、面白い設定です。
こういう設定上、選択肢が無駄に多いのかな?と構えていましたが、自動で選択される選択肢も多々あって程よい。
ロールに困っているという割にはルートによっては途中から空気になってましたけどね…。
セーラはあまり見ないタイプのヒロインで新鮮でした。見た目エロかわいい系なのに乱暴な口調。それでいてデレながらキレる。
あと、反応がいちいち素直で可愛いし。見た目とのギャップといい良かったです。
プレイ順に個別感想。
佳津美
虚飾者のロール。言葉にしたことを真実に変える能力。使い勝手のいい催眠術みたいな感じ?
正面立ち絵はすごく可愛いのですが、横顔は微妙。イベ絵もやや不安定かなぁ。
何の障害もなくくっついて、イチャイチャ過ごして、教室であーんをしててようやく自分たちが異端である事を自覚。って、遅いよぉぉ
山をあっさり乗り越えてから、思い出したかのように壁にぶち当ててきた感じ。
それまで煽っていた周りの人間たちが急に「2人はデリケートな関係だもんね」みたいな反応するの最高に気にくわない。
あれだけ後押ししたお前らが今さらそれを言っちゃうの?適当すぎでしょ。
問題の解決方法はちょっと力技。あれだけ争ったみちるの失恋描写をきちんと入れてくれた所は良かったかな。
ただ、セーラのその後についての描写が一切なかったのはスッキリしません。
このルートでは儀式が中断されたので、セーラは当初の目的を果たせず恋心を持ったまま。
再び得たロールを使って主人公とヒロインは幸せになって終わり。なのはいいのですが、なんだかなぁ。
みちる
慰撫者のロール。他人の気持ちをなだめる能力。
服装が少し派手なだけの、なんちゃってギャル。中身は全くギャルではない。
子供の頃、男にしか見えなかったと言うもんで、どんなもんかと思ったら回想絵も普通に女の子。
おいおい…これで男とか、どんだけ過去の主人公たちは見る目ないんだ。というか、もうちょい男っぽく描いて…。
ヒロインの家族に弄られるシーンがあるのは良かった。こういうシーンはほのぼのして好きです。
あと、メイド服に黒い下着ってくっそエロいんだなぁと再認識させられた。
唯一ロールが判明していなかったので、ロールがキーになる話かと思っていたのですが、
過去においても他人を思いやれる優しい子だったから、そもそも能力が必要なかったと。恋心渡し損?うーん、モヤっとする設定。
終盤のセーラとの別れで、過去の話に触れるのか?と期待したらあっさり終わってしまいました。
シナリオ的にはエッチが苦手な子が奮闘するだけで中身が無いので、盛り上がりに欠けます。
みちるは最初から好感度MAXなのですが、「過去も現在も、主人公のどういった部分に惹かれたのか」
という部分がイマイチ伝わらなかったので、どうにも感情移入できなかったです。
(>△<)←あと、この顔使い過ぎてこの顔の印象しか最終的に残ってないや
楪
発憤者のロール。気持ちが高まると大胆な言動をしてしまう?ってところでしょうか。
セーラによる儀式は早々に完結してしまい、新しい儀式を行うのですが序盤はなかなか。酷いなぁと。
ハーレムルートかよ、って思える主人公争奪戦のテンプレです。
楪以外のヒロインたちのアプローチが度を越えててすごい不快感。正直見てられないです。
セーラが争奪戦から手を引いた辺りからマシになりますが、くっつくまでがただ眠たい展開でした。
家の問題は何かひと悶着起こるのかな?と思っていたらあっさり片付いてた。なんだこの肩透かし。
住む世界が違うとあれほど作中で強調していた鶴巻家が、
何個か資格を取った公務員で認められるのはあっさりしすぎのような気もしましたが。
くっついてからの素直な楪は可愛いのですが、みちると同じく過去の掘り下げが足りないのは残念。
セーラを序盤の暴走気味なデレっぷりにさせるほどの恋心はどのようにして生まれ育ったのか。
主人公は楪を選ぶ時に、過去と向き合う選択をしたはずなんですけどね。
簪のエピソードは、なぜ入れなかったのでしょうか?楪には記憶が戻っていますし、見せる場面も作れた気がするのですが…
セーラ
導入部は楪ルートと同じ。恋心は持ち主に返還され、ウェルギィによる新しい儀式が行われる流れ。
楪ルートではセーラの恋心の自覚がやけに唐突に感じられたのですが、なるほど。こういう構成にしたからだったのね。
くっつくまでのだらだらグダグダ展開はいただけませんでしたけど。
過去に一旦ケジメをつけて、ロールに困っていた楪と主人公が自分達のロールに再度向き合うのですが、
2人とも、過去の恋心と自身のロールについて楪ルート以上に考えてくれる。大事な場面でのロールの見せ方も上手かった。
楪ルートで描写が足りない部分とか、過去の儀式やセーラやウェルギィの話だったり。他のルートに比べると掘り下げが丁寧。
こういう過去の掘り下げが他のルートでも欲しかったんですよね…。
楪のロールなんかはセーラで使うために掘り下げるのを取っておかれたような気がしましたし。
このルートは当然セーラが主役なのですが、楪がもう1人の主役のように思えました。
セーラが恋をしたのは楪から始まった恋がきっかけで、楪に後押しされて主人公と結ばれて。
最後は楪によって子供の頃の恋の儀式が終わりを迎えます。
「恋が破れる傷みも恋のうち。それはかけがえのないものだって……もう思える」
楪はこの言葉が印象的。このルートの彼女は本当に魅力的です。サブに回ると光る子でした。
思い返せば、楪ルートでもセーラが後押しした結果主人公と結ばれますし。
楪とセーラは関係が深いんですよね。2人で1本のシナリオっぽく感じました。
個別はイチャイチャ特化ゲーです。序盤のシリアス風味を個別にも期待してはいけない。
結果、ロールの力に頼っていなかったみちるは問題ってほどの問題すらなかった印象。
よく言えばイチャイチャ特化ですが、悪く言えば平淡。個人的にはセーラルート以外は物足りなかった。
決してセーラも手放しに褒められるほどではないですが。他のルートに比べると健闘してるかなと。
シリアスに入るのかな?と思いきや割とあっさり話が進むので、
シリアス展開が嫌いな人やイチャイチャ好きにはいいんじゃないでしょうか。
セーラルート以外は7年前の儀式にあまり深く触れてこないですし、話がイマイチ薄っぺらい。
儀式の設定上仕方がないですが特にサブキャラのロールは上手く捌けていなかった。
篤郎はともかく、まー姉と理路はロールを失う前に申し訳程度に紹介が入るという始末。
もうちょっと上手く使えたような気がしてならない。
セーラ単体だけならキャラのお気に入り補正込みで80点くらいあげてもいいような気がしますが、
他ルートでの尻すぼみ感とモヤモヤ感を含めてこの辺りの点数が妥当かなと。
物語の起点となった過去の話を全体通してもうちょっと丁寧に扱って欲しかった。
結局のところ、主人公だけは過去の記憶を取り戻せませんし、プレイヤー側に??と思わせてしまう所が多々あるんですよね…。
あ、あと、既読スキップが中途半端にキャプチャー?ごとに止まるのは不便。改善希望です。
演出周りはやたらと凝っていますし、選択肢の表示だったりエフェクトだったり拘りの部分は見えたのですが、
正直ここまでゴテゴテに凝らなくてもいいから8800円で売って欲しい(小声