ErogameScape -エロゲー批評空間-

aka_bekoさんのRain memory -あまやどり-の長文感想

ユーザー
aka_beko
ゲーム
Rain memory -あまやどり-
ブランド
flap
得点
80
参照数
279

一言コメント

雨の日に止まってしまった、主人公の記憶を辿る物語。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

雨が降るある日、あまやどり中のヒロインを車で拾って送り届けるだけの話。なのですが、1周だけでは意味不明。
車に乗せた玲音との会話途中で白昼夢が如く、場面が変わって唐突にエッチシーンへ入ります。
低価格ですし無駄なエピソードが入れられないので仕方がないですが、ぶつ切り感に若干戸惑った。
また話の構成上、エッチシーンの最中にも物語の欠片が散りばめられています。
エロを最重視してる人にはこの「欠片」が気になってシーンで集中できないかもしれないかな?と感じました。

そんな感じにテンポはあまり良くなかったように思います。

ただ、1週2週…と重ねていく内に少しづつ語られるエピソードは先が気になりますし、
真相ルートに当たる3週目は、小粒ながらもきちんと纏めてくれていて十分面白い出来。


以下自分用にネタバレメモ。

・玲音は脳の難病に侵されていて、生まれてからずっと主人公の家の病院に入院している。
・玲音の病気は発症すれば植物状態になってしまう。
・主人公の前に現れた玲音は「奇跡のようなもの」らしい。
・主人公は玲音の病気を抑えるために、催眠を使った。
・同級生や患者のHシーンは実体験込み。催眠を使って玲音の望みを叶えた結果。主人公が語った学校生活なんかを元にした。
・雨の降りそうなある日、玲音を外に出したが雨が振ってきた直後に玲音の病気が発症。
・主人公の記憶があやふやなのは自分で催眠を掛けて記憶を封印したから。

玲音の存在を「奇跡」で終わらせてしまったのとそもそものループ原因がアレですが、
要素の一つ一つはきちんと関連付けられてて、伏線回収されています。
主人公が前向きになるところで終わるかと思いきや、エピローグでどんでん返しの可能性が見えて終わり。
え?ええぇ…何これどういうこと。
最後の事故の関連と、思わせぶりな玲音の発言が気になって夜も眠れません。



総評など。
最後が読み手側の想像に任せるような形のあまりすっきりしないエンディングなので評価が分かれそうな作品。

恐らくライターさんの癖だと思いますが、わざわざ難しい字体の漢字を何度も使われるのは鼻に付きます。
(かいわれっ!のライターさんと知って色々と納得する自分が居た…)
物足りない部分もありますが、話としてはよく練られているなと感じました。
低価格という制限がある中でこんな面倒くさい話を作ったメーカーには拍手を送りたい。