エルがただの茜子です・・・キャラ的にも中の人の演技的にも
一人の男のひたすらな執念を描いた良作
シナリオ 52/60
キャラ 16/20
音楽・歌 08/10
CG 07/10
その他 0/0
総合評価 83/100
メーカー作品では『るいは智を呼ぶ』『 ‘&’ -空の向こうで咲きますように-』以来の3作品目
毎度の独特なクセのあるテキストは慣れるのに苦労します
特に序盤は個人的に過去作の中でも一番読みづらかったです、あやうく挫折しそうになるほどに・・・
ただ序盤を乗り切ればサクサク読み進められるようになるので少しだけ頑張りましょう
序盤でやめるにはあまりにもったいない作品ですので
■シナリオ
いつもながら『暁WORKS』は主人公の見せ方が上手い
特に今作は歴代の作品の中でも上位に入るほどの恰好良さだと思います
この主人公あってこそのテキストのメリハリは本当に素晴らしい
物語の主軸のシリアスな面とギャグの絶妙なバランスと、それを引っ張る主人公はユーザーを引き付けます
こういう空気が読める主人公はエロゲーではそうそう出会えないのでかなり好感が持てました
大半はギャグ部分をそのままメインの物語主軸まで持ち出して場を白けさせたり、逆に真面目すぎて日常がいまいちだったり唐突なエロ盛りでテンポをおかしくされたりしますからね
また主人公像がはっきりしているのもわかりやすい事もあり、感情移入もしやすくGood
まあ少しうんちくが多くて間延びする部分がありますが、キャラ付けとしては必要なものなので仕方ありませんね
共通√が4~5時間程度、各個別√もそれぞれ4~5時間、グランド扱いの朔√のみ6~7時間といったところでしょうか
個別の評価を詳細に書いてしまうと大きくネタバレしてしまうのでこの場では避けますが、『暁WORKS』らしくラストの音無朔√以外は微妙な感じですね
音無朔以外の個別の出来については内容もさることながら、このメーカー主人公の魅力を引き出すのは素晴らしいのですが、なぜかヒロインの魅力の引き出し方があまり上手くないんですよね
今作もその点が如実に出てしまっていて更に評価を悪くしてしまっている部分でもあります
ヒロインそのものについてはともかく、内容についてはグランド√にすべてを集約させるのがこのメーカーのお家芸でありますのでこの構成は仕方ないかな
その分、朔√に置いてはストーリー展開も飽きさせず純粋に面白いと思います
ただ、ラストに向かえば向かうほどバトルも含めて抽象的な表現が増々になってきて失速気味になるのが残念でした
■グラフィック
さえき北都氏の絵はいつもながら良くも悪くも安定しません
上手い時は本当に綺麗なのですが、悪い時は本当に崩れていて微妙になりがちです
今作も割とそういう良い部分と悪い部分が同居している感じです
特に黒船と対峙している場面の朔の作画は書き直しを要求したい
■音楽
良い出来だと思います、特に真里歌さんの歌はすべて素晴らしいですね
不満としては個別EDの見せ方でしょうか、各個別にもED曲はあってもいいと思います
■総評
締め方も含めてこの辺りがしっかり描き切れていれば名作に仲間入りできたかも知れません
それでも十二分に良作と言えると思いますのでプレイして損する事はないでしょう
何より成田くん本当に恰好いいですし・・・一緒に彼の物語に浸るは決して悪くないと思いますよ