瑠歌が主人公を奴隷にするルートがなかったり、惑のHシーンがなかったりするなど、間違って萌えゲとして出してしまったゆえの、Hシーン、分岐、シナリオの完成度不足が惜しいです。しかし、コミュニケーションできない人たちの、ウザさ、キモさ、悲惨さが妙な迫真性を帯びており(「ただの引っ込み思案な人=コミュ障」なんてまがい者などお呼びでない)、ありのまま()、等身大()の姿を愛でるキャラゲーとしてはユニークでなかなか楽しめました。主人公の友人キャラが都合良く去勢されていないところも評価できます。キャラの成長とかシナリオが良かったりとかそういうのはないので人は選びます。
瑠歌
序盤のバカップルのSM狂言には爆笑し、興奮できました。ただ、瑠歌がデレて以降は普通です。
ここでは「約束を守る」という主人公の盲信が、「瑠歌への贖罪」にチェンジするのですが、贖罪(というかただのつきまとい)に目覚めた直後の、無駄な几帳面さ、ポジティブドMストーカーぶりには大いに笑わせていただきました。このシナリオ書きの人は、惑もそうですが、気色悪い男性の表現が妙に上手いです。また、愛する人に(無視ではなく)苛めて頂くことの喜びを自覚した後の、無駄な生真面目さゆえの葛藤も良く、マゾ奴隷への落としがいを感じられました。瑠歌の女王様ぶりも良かったのですが、彼女が丁度、苛めの気持ちよさ、本当は復讐ではなく、愛ゆえにこの奴隷を支配したいという点を自覚して、これから面白くなるというところで、あっさりと普通の萌えゲ化してしまうところが残念でした。二度と裏切られない、捨てられないためにあえて支配するという、SMを正当化させる恰好の口実があったのに残念です。
水季
無駄にテンションが高い、うざい、空気読めない女子はかわいいものです。たっぷり運動した後、シャワー禁止して舐めまくりたい!いい加減なキャラだから、絶対腋とか汚いところの処理が甘そうだし・・・。この手のキャラにありがちな、嫌なことや辛いことを内でためてこらえるという大衆受けするところは全然なく、すぐ泣いたりキレたり諦めたりします。なので、嫌な言い方をすればわがままということなのでしょうが、良くも悪くも健全で、これはこれで長所ではないかと思いました。
よりによって本人のルートで最も(客観的には)不幸になるという不憫なキャラです。友人の気持ちを無視した押し付けと彼氏への重度の依存で、ラクロスを諦めるハメになります。まあ、彼氏のほうがラクロスより大事そうなので、そこまで悲惨ではないですが。変人童貞臭のする主人公の気の利かなさというか、悪いところが最も出たルートでもあります。
惑と双葉の関係には興味深いところがいろいろありましたが、収拾つかなくなったのか、とって付けたようなオチで締められてしまいます。二人の関係について掘り下げたスピンオフが欲しいです。
琴音
冒頭の主人公を振るところで、「私はあなたの前で素の自分を見せたことがない」という趣旨の暴言には面食らいました。が、その後は無難にヒロインを務めたのではないかと思います。余計なひと言で、惑をぶっ壊した張本人でもあります。童貞には社交辞令など通用しないことを誰かが教えてあげる必要があると思います。東京でピュア()な童貞を何人ぶっ壊したのかと妄想すると興奮できます。
双葉
本人のルート自体は全編コメディでこの作品の中では異色ですが、不謹慎ですが、やはり水季ルートで惑に貢いでる姿のほうが輝いていたと思います。
流史
一応主人公以外の男に片思いしてましたが、まあ普通の萌えゲ。ただ、琴音にビンタ張るシーンがあるのですが、よりによって、それを惑にチクられて、凄まれます。あまり言及されてませんが、騎士()と化したここでの惑さんの気色悪さもなかなかのものだと思います。琴音はやっぱちょっと配慮の足りない人です。
惑
水季のルートでは、無駄にプライドの高い、チビの低能DVDQN、琴音のルートでは、自己本位で卑屈なキモ童貞の二役を見事に演じ切りました。あまりに見事すぎる上に、特に成長も制裁を受けることもないので、多くの人に嫌われてしまったわけですが・・・。正直、やっていて見てはいけないものを見たような、嫌な気持ちになったことは否定できません。まあ普遍的な人間の弱さというか、同じ立場になった時に、誰もがこうならないとは言えないと思うので、自分は嫌いではないです。特に水季ルートでのDQNぷりはなんかかわいいし。チビ連呼でいじめたい。単なる記号としてのキモオタとか、不細工とかではなくて、レ○プや寝取られのゲームでこのレベルの深みのあるキャラが出てくると、ジャンル自体の活性化につながると思います。