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ahoudoriさんの愛する妻、玲奈の浮気告白 『お、俺より気持ち良かったのか…?』→『…うん。凄かった』の長文感想

ユーザー
ahoudori
ゲーム
愛する妻、玲奈の浮気告白 『お、俺より気持ち良かったのか…?』→『…うん。凄かった』
ブランド
アトリエさくら Team.NTR
得点
85

一言コメント

女性が生きていくって大変だよね

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

いや、別に男性だって大変ですよね・・・。すみません。

体験版をやって、なんでこの人突然自分に不利な事(浮気)を喋っちゃうんだろうというのがすごい謎でした。まさか良心の呵責というわけでもあるまいし・・・。そこがはっきりしないと、ただの間抜けな、シチュのために動かされるだけのヒロインになってしまう・・・。

(このゲームでは、基本的にヒロイン視点のエロシーン以外でヒロインの心理描写がないので、これから先のヒロインの人格についての解釈、感想は、自分の願望や嗜好に負うところも大きいと思います)

製品版を全部終えてみて想像すると、生活のことと、それによる迷いがあるのかなと思いました。粗チンでどうも自分とは趣味が合わない旦那に飽きてきたけど、黙ってついてったらまず一生食わせてくれる。また、一応過去のこととは言え好きだった相手だから多少の情もあるし、世間体とか悪者になりたくないとかいう自己防衛の気持ちもある。

オスとして魅力があるのは断然元彼だけど、今の安定した生活を考えれば、自分を食わせてくれる確信がもてるまで、そう簡単に安売りできない。元彼をじらすようなメールを出してるのはそういうことかなと。自分が欲しければそれなりの用意をしてください、みたいなことを言いたかったのではないか。あっさりチ○ポ快楽に隷属するエロゲの平均的ヒロインにくらべて、この注意深さは実に素晴らしい。ラストを見る限り実際元彼はヒロインを生涯かけて養う気は全くなかったと思います。本当に愛があるなら完全に寝取るでしょう。

そういうわけで、まだ旦那を切り捨てるかどうか決心がついてない、でも本音を言えば切ってしまいたいという段階で、突然そういう話題をふられたので、ついポロっと言っちゃったんじゃないかと思います。こいつこんなこと聞いたらドン引きして財産分与して黙って消えてくれるかもという考えが発作的に出たみたいな。もしかしたら、先に旦那が風俗通いというボロを出してくれたおかげで、いざ揉めたときに自分の行いを相殺できるという計算があったのかもしれない。口に出したときに旦那を切る決意をはっきりしたのか、出した時点でもまだ迷いがあるのかはなんとも。個人的には前者を推したい(より告白をエロく感じられるから)が後者ともとれそうな描写もある。

それにしても顔に似合わずセコいヒロインで大変良かったです。悪女というよりは小悪党、計算してんなーという感じ。この童顔萌え絵で根性悪いヒロインとか、とてもはあはあできますはあはあ。

旦那に浮気告白した時点で、既に元彼の子をはらむ気マンマン、少なくともはらんでもかまわないという気でいるのですが、最初は旦那を警戒して、それを隠そうとしてすごい用心深い態度をとるものの(告白の肝心な部分にウソがある)、旦那が思った以上に都合のいい、安全で、どんなひどいことをしても逆らわない相手だと分かると、とたんに下劣な本性、托卵の目論見をむき出しにする(ラストシーン)ところが、とてもセコい、弱いものには強く出る卑怯な人間という感じでステキでした。あと、キャラ紹介で男友達少ないよみたいなことが書いてあったけど絶対嘘でしょう。狙って書いているとしか思えねえ。旦那の友達からは「癒し系」と言われてるらしいですが、なるほどと思いました。そういう人ほど実はヤバイ、裏で何を考えてるのか分からないという願望を持っている自分にとってはとても良いヒロインだったと思います。

主人公に関しては、これ書いた人は「清純なカラダ~」もそうだったけど、情けない、みじめな男性を書くのがうまいと思いました。思わず寝取られ男に対する嗜虐心がわいてくる。ただ、「清純~」の嫌悪感をもよおす主人公と違って、こちらの旦那さんは単純にヒロインを満足させるだけの実力が足らなかっただけなので、かわいそうにもなってくる。誰でも一生勝ち続けるのは無理なんだし、次勝てばいいじゃないというあたたかい気持ちで見守っていたら、ラストで終身ATMと托卵の宿主に就任してしまって吹きました。本当は成長物語が好きなんですが、これは寝取られだからまあこういう結末でも仕方ない。

最後に男性経験告白シチュについて

良かったところ
・そもそもこんなゲームが出ること自体素晴らしい。他にほとんどないから。ヒロインの一言一句メモをとる勢いでプレイしましょう。
・完全に自白させるまで何周かする必要がありちょっと手間がかかる。これは実にいい。最初から真実を自白されたらつまらないですよね!ヒロインの一言一句メモをとる勢いでヒロインの供述の変遷を楽しみましょう。
・なおかつ最終的な自白にもうそがある。ヒロイン視点のエロシーンで真実を確かめられます。ヒロインの一言一句メモをとる勢いで、真実との整合性を検証しましょう。
・ラストシーンの下劣な本性をむき出しにしたクソずうずうしい態度とのギャップを楽しみましょう。この時点ではまだ旦那を警戒しているので、一見申し訳なさそうな、しおらしい態度をとっておりますが、別に反省したり良心の呵責を感じたりしているわけではなく、100%演技及び「うわぁ、失敗したかも・・・」という程度のことだと思われます。愛してるとかウソ言っちゃうところとかすごくいいですね。男性の「愛してる」=「さっさとやらせろよ」と似た感じの使い方ですね。

自分の嗜好とずれるところ
・もっと自白まで手間をかけても良かった。もっとはっきりした物証、証人を捕まえて初めて自白させられるみたいな感じでおねがいしたかった。
・なんだかんだ経験人数2人は少ないかな。このヒロインの性格を考えるとなおさら。
・告白開始時点から、元彼>旦那、裏切りなのが明確(だと自分は思った)なので、信頼できる彼女、嫁の過去のエロ話や浮気告白が一番好きな自分の嗜好(自分=主人公が一番ならいくらでも他の男と寝てもOK)とは若干ズレがありました。

それにしても、このブランドは3本目ですが、どれもこういうことあるかもしれないなあという感じで楽しく遊べました。普段はエロゲ=エロシーンで、こうやっていろいろ想像しながら読むことはまずないので、相性がいいのかなと思います。