主人公と結婚する為に戦い、その余禄で世界を救うと言い切ったヒロインに驚きとともに「シビれる!憧れるゥ」と思わず言ってしまいそう。
歴女とか、戦国モノが流行っているようだが、自分も戦国時代や歴史は好きな方で、戦国武将などは調べたし、それなりに詳しいつもりだったが、さすがに剣豪やら剣術にまでは調べが及ばなかった。
そういった剣豪や剣術に着目し、現代(というより未来か?)に生かしたという剣術バトルモノとでも呼べば似合いそうな作品である。
今では廃れてしまった感のある真っ赤なゴスロリ(白黒じゃないとゴスロリじゃないのかな?)なドレスの天才少女剣士。一心同体少女隊じゃなくって、双子少女。朴訥としていながらモデルのような美女でありながら豪腕を振るう剣豪少女。気さくで元気な可愛い外見とは裏腹に、槍使いの少女。そして唯一剣士ではない巫女の少女。
どのヒロインもなかなかに魅力的に描かれている。
剣士の皆々が戦う(というより“立ち合う”とするほうが適当だろう)ための設定が若干無理があるような感じがしないでもないが、まあSF設定にはありがちな究極のバーチャルリアリティなのだとすれば、それほど無理もなく受け入れられないこともない。
真剣で殺し合うわけだから勝った負けたで死んでいったら話にならないわけだし(笑
戦い(立ち合い)のシーンもスピード感が有りながら、剣術に詳しくない自分にも理解できる解説付き(笑)で面白く、映像的にもカットインなどが効果的で悪くなかった。
幾分か残念な点は、
1.主人公の音声がパートボイスになっていて、フルボイスでないので声がない時が気になる事。無いならないで全部無いかあるのかにしてもらいたい気もする。
2.日本神道をベースにした設定には納得だが、その実クトゥルフ神話と思える設定を流用していること。
エロゲーメーカーって、どうしてかクトゥルフ神話をネタに使うのを良くみかけるんだけど、そんなに業界内で流行ってるんだろうか?
3.何となく、設定負けしているような、結局完全な解決を見たわけではないようで、スッキリとは終わっていない点。
色々と未解決のままになってしまっている部分が少なからずある。SFヲタクとしてはいささか重箱の隅つつきだが、気にならないとは言い難い。
特にタイムパラドックスが好きなテーマである自分としては、ヒカリちゃんの登場と主人公の回想シーンでの時間軸が少しおかしい気がする。
4.メインヒロインの小夜音ちゃんが謎の不治の病という設定はほとんど意味が無い。物語にもあまり関係が無いし、近い将来としてはちゃんと小夜音ルートでは主人公と結婚して子供まで設けられる様だが、結局子供が幼い内に死去するらしい。
しかし、その必要がある設定とは全く感じられない。
気になる点は幾らかあれど、基本的にはツボを押さえた美少女恋愛ゲームのSFバトルモノとしては文句なく上質と言えるのではないかと。
単純に面白かったのは間違いない。