ErogameScape -エロゲー批評空間-

accordさんのアインシュタインより愛を込めての長文感想

ユーザー
accord
ゲーム
アインシュタインより愛を込めて
ブランド
GLOVETY
得点
80
参照数
336

一言コメント

日常パートが素晴らしい世界観に浸れるゲーム

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

久しぶりの新作をプレイしました。体験版もプレイ済みでBGMや綺麗なイラストの雰囲気が気に入ったのと、久々の佐本二厘さんの声を聴きたく購入しました。個別√クリア後にグランド√がありますが、グランド√は一本道なので個別√はなんだか物足りない感じもしました。テキストを読むのが早い人であれば1日かからずクリアしてしまうと思います。

全体的に√前半は選んだヒロインとの日常が描かれていますが、後半からは一気に畳み掛けるように主人公の侵されている彗星病とそれに関わる組織との物語が開始されます。私の攻略順は忍→BAD→佳純→唯々菜→ロミです。忍√は他ヒロイン√にも登場する彗星機構についての話が多めなので先にプレイする事をオススメします。

忍はイメージ通りの包容力のあるヒロインで、プライドの高い主人公とのやり取りであわあわする姿がとても可愛らしいヒロインでした。終わり方が終わり方なのでもう少し補完してほしいと思いました。

佳純は最初はテンプレみたいなキャラ付けに正直あまり期待していませんでしたが、cv風音さんの演技が非常に可愛らしく、ボクシングに励む姿を見て応援したいなと思えるヒロインでした。あと個人的には立ち絵すらないのですが、佳純のライバルとなる南條というキャラもクレバーかつ小悪魔的?でお気に入りです。

唯々菜、マイエンジェルはとにかく可愛さのあるヒロインです。主人公と唯一同じ彗星病患者という設定は他のヒロインにはない特別な何かを感じました。今にも消えてしまいそうな儚いヒロインですが、それ故に守ってあげたいと思えるヒロインでした。

シナリオライターの作風からか、本作も基本何らかの形でヒロインは全員悲惨な思いをします。

ロミは終始安定しているヒロインだなと感じました。全てのヒロイン√に来る主人公の彗星病の進行や彗星機構とのやり取りをする中で常に適切なアドバイスを出し、時には主人公を直接救ってくれる頼もしい存在でした。√に入る前から何となく主人公とロミは恋人というよりも親友のような存在であるような気がしていたので、ロミ√の結末も受け入れられるものでした。イチャイチャな恋人関係にならないのは彼女が聡明であるからなのか、親の愛情を知らずに育ったからなのかは定かではありませんが、いきなりデレデレになるという事はないです。

グランド√では、プレイヤーに時間軸を植え込むかのように個別√をおさらいします。個人的にはようやく彗星機構とそのボスである巫女の存在が明かされるとワクワクしていましたが、明かされる内容よりも事実の羅列と事態の収束に追われる為、あっという間でした。(もう少し主人公には闇の部分が見え隠れして欲しかったし、親父がアインシュタインに込める気持ちの部分の描写も欲しかったなぁ・・・)

謎だったのは主人公の叔父とロミの関係で、彗星病の治療の方針に関わる事や、ラストに叔父に対してロミが放った言葉に対してなぜ叔父は激昂したのかという点ですが、それに関してロミと巫女が陰陽の関係にあると推測したユーザーさんの推測は非常に自分にとって腑に落ちるものでした。

展開が早いが故に2週目で発見できる事も多かったです。でも正直、フルプライズでこのボリュームなのは頂けないと思いました。あとサイエンス感ももう少し欲しいと思いました。(ニトロプラスのように用語解説を入れる勢いであれこれ知りたかったです。)


なんだかんだ書きましたが、仕事で疲れてギャルゲーを暫くプレイしていなかった自分にきっかけをくれたこのゲームには感謝しています。絵の綺麗さとBGMを初めとする世界観は非常に素晴らしいモノがありますので、本作FDか小説、あるいは次回作を気長に待とうかなと思います。

ここまで読んでくれた人ありがとう!