演出、メインシナリオが◎。脚本の安定感があれば尚よかったのだが・・・
音楽演出、落ち着いた色彩設定、雰囲気を作り上げるテキスト、使い易いインターフェース、あらゆる面で優秀。コンシューマ屈指の良作のひとつではないかと。
前作と比べ、シナリオのムラに関する問題だけは解消されていない印象だが、ほたる・つばめ両名のストーリーが深く記憶に残る。全編を通じ、ベートーヴェンの『悲愴』をはじめクラシック曲を効果的に用いているが、選曲が絶妙。なかでも、ショパンの『バラード3番』、ラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』は随所で効果的に活用されており、非常に印象が良い。バラードの3番を流すこと――それ自体が皮肉になっているなど、細かいところでメッセージ性が感じられる。
廉価版を考えると圧倒的なコストパフォーマンスといって差し支えない。CSオリジナル作品の中では間違いなく、高水準の作品。