「――人の命って 波間の泡の様ね 兄様・・・」
シナリオに深みがある作品でした。
テキストを軽く流し読みしていると「分かり難い話だった」で終わりかねませんが、
少し考えながら読むと、伝わってくるものがあります。
望むまま、欲するままを手にした男を、
退廃の極みへと堕落させていく過程の描き方が強く印象に残りました。
極端な設定ではありますが、であるからこそ成立する表現の数々。
ところどころに、回想を挿入しての演出や細かなギャグ要素が散りばめられているのも緩急を付ける上では悪くなかったです。
ただ、ルートの分岐が分かり難く、思っていたエンドに到達できないことが多いのは残念。
加えて、システムの古さも否めず、煩わしく感じられることもしばしば。
とはいえ、無料であることを考えれば許容範囲内でしょう。
この時代の作品は不思議ですね。
ただただ、冷たい雰囲気が伝わってくるような気がします。