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aabbccdd1さんの何処へ行くの、あの日の長文感想

ユーザー
aabbccdd1
ゲーム
何処へ行くの、あの日
ブランド
MOONSTONE
得点
99
参照数
137

一言コメント

話が分かれば超すごい作品

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

【陰鬱】
薬物 猛獣 殺人の記憶 銃殺事件 妹との異常な関係 虫食い
など物騒な要素が多くありbgmや背景CGも暗い感じがします
また登場キャラの意味深な発言や少しずつ進んでいく過去の記憶なども合わさり何が起こるか分からない先の気になる展開がとても魅力的
特に虫食いは謎すぎて一体なんなんだって思いながらやってました

【冒頭のシーン】
各√開始時に文章だけのシーンが少しあってずっと意味不明でした
でも考察を読んで意味を知って大好きになりました
確かに絵麻自殺後のやり取りと考えると意味不明だったことが全てしっくりきてよくできてるなって強く感心しました
絵麻が自殺の兆候を何一つ見せずまともな価値観の人では理由は絶対分かんないところかなり好きです
三木村さんのところとつながってるのは本当にすごいです
自分はこの冒頭シーンのbgmが本作の中では1番好きです



【絵麻√終了後】
絵麻が自殺する話と絵麻の手術が失敗する話が急に出てきます
自分はこの2つもものすごく好きです
この2つはほとんどが名文で書かれてるといっても過言ではないくらい自分の好みに刺さりました
自殺にしろ手術失敗にしろ絵麻の死をずっと引きずる描写が痛いほどこちらに伝わってきましたね

これも考察を読んでさらに好きになりました
分岐点が手術の失敗か成功かというのも言われるとしっくりきました
それだけでなく手術が成功するかの分かれ目で気力が大事だとされます
子ども絵麻が未来の可能性を見てその世界を望むなら気力が湧いてそうでないなら気力は湧かずに失敗っていうのもすごいです

でも最初はこの2つの話の後急にハッピーエンドの話がきてどれが本当の世界なのか分かんなかったです



【絵麻の視点】
最初に絵麻の秘密を知った時はよくある並行世界ものが本作の隠し玉なのかとちょっとがっかりでしたそれも考察を読んで評価は大きく変わりました
各個別√が子ども絵麻の視点だって知った時本作のすごさを1番感じました
今も虫食いがあると知った絵麻が恭介に好きな人ができたのかと迫るシーンや今の絵麻は未来をみれないことなど伏線は確かにありました
それでも自分は全然分かんなかったけど



【病院】
何度も出てきた長い廊下のシーンもかなり好きです
医師の人が出たあたりでもしかして恭介は本当は寝たきり状態か精神崩壊オチかと思ってました
結局最後まで終えても分かんなかったけどこれも考察を読んで好きになりました

長い廊下が消された可能性
いくつもある扉が可能性の世界
分岐点の対比とすると確かにしっくりきましたね



【絵麻√序盤と中盤】
いよいよ絵麻√きた!
ってワクワクしながらやってたけど終盤までは割と苦痛でした
恭介がクズだったり木ノ下くんが悲惨なめにあったりミッキー登場後の嫌がらせの展開などです
その後一葉や智加子さんに軽蔑されるところもつらかったです
よかったのは遊園地デートくらいでしょうか



【総合評価】
今まで出会ったエロゲで1番ワクワクの止まらなかったのが『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』です

本作はその2番目にワクワクが止まらない作品でした
数々の謎やヤバい要素に陰鬱な雰囲気などいろんなことが合わさり自分の好奇心を強く刺激する作品となりました

あとやっぱり思うのは話がかなり難しくて説明不足な考察記事前提の作品です
クリア直後の印象は
ワクワクはしたけど話は意外としょぼい あとラストシーン意味不明
でした

考察を読んで本作への理解が深まったから評価は大きく変わったけどもし何も分からなければ本作の良さはほとんど伝わらないです
プレイヤー側の落ち度と見ることもできるけどもう少し理解させようという気遣いがほしかったです

本作は話のすごさという点ならノベルゲームでもトップクラスにすごいと自分は思ってるけど知名度や評価はいまいちです
その結果刺さる人には刺さるという一部の人しか楽しめない作品となってしまいました
それは本作が素晴らしい作品なだけにとてももったいないことだと思いました