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a103netさんのさくらビットマップの長文感想

ユーザー
a103net
ゲーム
さくらビットマップ
ブランド
HOOKSOFT(HOOK)
得点
74
参照数
2110

一言コメント

HOOKSOFTの10周年記念作は、田舎の優しく暖かくて、とても良好な雰囲気の中でのまったりが特長の純愛物語。ルートにより差異がありますが、平穏な内容で、ただ、のんびりと、ニヤニヤと眺めていられる展開が多くて良かったです。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

共通部分の日常描写は短い(逆に、ルートに入ってから付き合うまでの割合は多め)ですが、
過去作_summerの雰囲気が好きであれば、小春・璃子ルートあたりはおすすめです。
あとは、鼎が一気に可愛くなるので、クーデレ好きにもその点はおすすめです。

先が気になる展開や伏線の利きは少ないですが、
読み進めるなかでヒロインの魅力が増す話が多く、
幸せいっぱいの締めくくりまで、楽しく読むことができました。



以下、個別ルート感想(プレイ順)です。



<小春>
隣に住んでご飯を作りにくる世話焼き幼馴染で、
ぽわっとした天然で親しみやすく、優しい子。
シナリオは良い意味で平穏。田舎の優しく暖かくて、とても良好な雰囲気の中、
ただ、まったりと、ニヤニヤと、いちゃいちゃを楽しめました。

「意識すると、どう接してよいかわからなくなる。」という幼馴染関係からの変化、
家族の話から同居への展開、将来を考えた編入試験、
そして、卒業式、結婚式、子供と、小春の望む家族を築いていく…
他のルートに行くのが辛くなるような、完璧なハッピーエンドまでの流れでした。

璃子ルートでの「ふみちゃんと家族になりたかった」が切ないです。


<璃子>
しっかり者で気が強いように見えて、
実は甘えたがりで好きなお兄ちゃんに頼りたいというのが可愛いところ。
射会で緊張する場面、怖がりの場面など、主人公への態度が健気で良かったです。
作文にある「ささやかな夢」を読むと、いい子だなと思います。


<ゆのか>
ツンツンしていても、主人公が好きなのがよくわかり、
不幸ノートと言いつつ、主人公のことを書いているのが微笑ましかったです。

ルート終盤の印象はあまり良くありません。旅館のピンチという話ですが、
あの世界に「地上げ屋」が出てくること自体、雰囲気を悪くしていると思うのです。
主人公を騙して若旦那扱いに持っていく話と、TVで有名になって、
という話からの結びつきなのでしょうが。


<鼎>
無口・クールで人と接するのが苦手な子。
神社での役目、という縛りから、主人公の導きによって、人の輪に加わり、心の整理をしていく中で、
徐々に反応が見られるようになり、笑顔を見せるようになり、
と変わっていくところがとても可愛く、主人公に心を許してからのデレた懐き方がまた魅力的。
見所(萌えどころ)を1つだけあげるなら、デートの朝に主人公の家に来たときのハイテンションな発言です。


<千鳥>
黒髪ロングのお嬢様。堅くて、浮いた話を嫌っていましたが、
親しくなってからは、おっとりとした表情で、
ちょっと抜けていて、機械が苦手なところなど、可愛く親しみやすくなりました。

昼食を一緒に食べたり、臨時バイトをしたりするところは、
距離をつめる場面として無難だと思ったのですが、他のノリが合いませんでした。

宗次郎を投げ飛ばして妙な噂が立ったり、車で連れ去られたり、
パーティから連れ帰った後に一緒に住んで色々起こるあたりは、
バカゲー・ドタバタゲーを想定していれば、テンションに合ったのだと思います。

後半の展開も疑問。特に最後の呼び出しは、感動以前の問題で、
なぜ、あんなことまでしなくてはならないのか、と思ってしまいました。
(ゆのかルートはともかく、このルートの騙し方は笑えない。)


【プレイデータ】
プレイ時間:12時間(共通部分1時間)
お気に入り
 シナリオ:水原 小春
 ヒロイン:室戸 鼎、水原 小春、桧山 璃子