一応魔法世界が舞台となった学園モノだが、なんだか現実世界をそのまま魔法世界にあてはめたような、ある意味いい加減な世界観に最初は萎えた。しかしこれはもしかしたらあえてシナリオライターが意図したのではないかとおもったら。面白くなってきた。
同社のCANVASシリーズを彷彿させる純愛もので、ゲームのスタイルなんかはもう殆ど同じといっていいだろう、とにかくお目当ての女の子を追い掛け回すだけ・・・。というとなんだか、語弊があるが、それはそれでわかり易く、トゥルーエンドまでの道筋もたやすくなっているのでエロゲー初心者に対する配慮とも見受けられる。
攻略対象キャラは5人で、おまけシナリオも質はともかく充実している。1キャラ終了までの所要時間も短めで気軽に遊べる。
ストーリは期末試験のパートナーを探しながらついでに、お目当ての女の子と仲良くなろうという主旨と思われるが、いわゆる修羅場のような恋愛モノのヤマ場(?)が少なく、平坦である。逆にヒロインとの日常会話は多少コメディを交えたライトでポップな感じで、それがこのゲームのコンセプトととる事もできる。だがナナなんかは、もうほとんどオチが某マルチのパクリといっていいので、そこはユーザーにとっては評価が分かれるだろう。ある意味印象的なのはナナぐらいでほかのキャラも含めてすべてハッピーエンドで、正直リディアぐらいはもう少し後日談をフォローしてくれるとよかったのだが・・・。
しかしながら、このゲームをやり終えて感じたことは、なんというか「おなか八分目」でほのぼの、といった感じである。このブランドのゲームはもう何作もやっているが、ちょっと前なんかは、(F&Cというブランドが)安定路線的でオリジナリティのないゲームばかりでこのブランドに対してはあまりいいイメージを持っていなかった。それがある日、いわゆる泣きゲーや鬱ゲー(このサイトで言う君望や家族計画とか)の合間にやったら、なんというかツボにはまったというか。よかった。たとえるなら油ギトギトしたものばかり食べてて、たまにはあっさりしたもの食べたら旨かったみたいなところだろうか。
それにしても、こういう風な作りをしたゲームって意外に少ないのではないのだろうか、「悪いところもあるにはあるのだが、特に目だってけなすほどではない」というか、安心感があるということだろうか(あまり冒険をしていないといえばそれまでだが)。そういう風な、ぬるま湯的なよさが、このゲームのよさといえる。
比較的癖のない作りもよかった。やはりCG専門の部隊をもっているだけあってCGクオリティも高く。BGMやOP・ED曲も結構好き。主人公が恋愛感情に鈍すぎる嫌いはあるが、文体もよみやすく。日常会話も雑学的な小ネタを交えているので、親近感は感じる(だが、そこが魔法世界ぽくない原因にもなっていて、たとえばタンポポは食用として食べられるというのを主人公がミルキーに教える場面があるのだが、タンポポって地球の生物だろ?ミント王国はこことは別の世界ではないのか???)。
とまあ、なんだかんだいってもこのゲーム(キャラも)が非常に好きで、F&Cという会社もこのゲームで結構見方が変わったところもある。しかしこのゲームに高い評価を下している自分も安定主義になってしまったのだろうか・・・。