PLAY時間は50時間30分。図書部と羊飼い見習いの物語。シナリオ的にはスタッフの試みを感じるものの、途上段階の部分もあり。あと個別の出来が少しばらつく点と描写が一定でないなどの不満点は少しばかりある。でもこの作品は長時間とても楽しかった。真帆さんはメインヒロインにしたほうが映えると思うが。
人類の奉仕者
…あるいは本当の愛を知ることのない人たち
◎あらすじ(アレンジ)
筧京太郎は汐見学園2年生。
学園トップの頭脳で唯一の図書部在籍のごく普通…というには
ひとつ変わった未来予知という能力を持つ。
未来に起こることがいいことも悪いことも
突発的に静止映像として浮かび上がる、という
本人にとってみればあまりありがたくない能力である。
4月のある朝、いつもの通学風景。
携帯電話に「羊飼い」と名乗る
学園内では願いを叶えたりトラブルを回避させたりで
有名な都市伝説となっている存在からメールが入る。
「今日、貴方の運命を変える出来事があるでしょう」
いたずらかどうかも疑ってみたがとりあえず放っておく筧。
それから筧は停留所あたりでチラシ配りらしきものをしている
女子学生を何気なく見ていた。
だがその女子学生がこの後電車の脱線事故に巻き込まれ
血だらけになって倒れている、という
映像が突発的に未来予知となって見えてしまう。
その未来を回避させるために強引に女子学生の腕をつかむ筧。
…腕を掴んだ拍子に筧と女子学生は共に転び倒れてしまう。
倒れたときに筧の手は女子学生の胸をつかんでいた。
女子学生は恥ずかしさと怒りからか走って逃げていき、
…そのすぐ後に電車が轟音と共に脱線してきて
さっきまで女子学生がチラシを配っていた場所あたりで止まった。
幸い、怪我などについてはなかったものの
その朝の電車の脱線事故のニュースは
汐見学園のWEBニュースに大きく掲載され、
その脇で筧と女子学生が倒れた際の手が女子学生の胸を
掴んでいたことについてもついでに(ありがたくないことに)
はっきりと写真に映っていた。
もう一つ、今朝助けようとした女子学生は
1クラス650人もいるとはいえ筧のクラスメイトだったことも分かった。
その写真が原因で放課後女子学生の友人から呼び出され、
そこから筧はたくさんの生徒達にさんざん追い回されることになる。
追い回されている最中、助けの声らしい声が筧の耳へ入る。
…その声は今朝出会って助けようとした女子学生のものだった。
◎全体的な概要と感想
特典
スタンダード版購入
特典はスタッフコメントつきのイラスト集。
これを読んで千莉の印象からマイナス要素が少し消えた所があった
○システム
ゲームエンジンはEthornell(Version 1.566.3.0/Compatibility 1.71)
Buriko General Interpreter
セーブ/ロード枠120 クイックセーブ/クイックロード枠は6
使いきる心配はしなくて大丈夫だろう。
また、全部のデータをバックアップすることができ復元も可能となっている。
…システム面は至れりつくせりといった感じがする。
FORTUNE ARTERIALとユースティア…後者はプレイ途中ではあるが
バックログでクイックジャンプでシーンを戻せる機能も健在。
PLAY時間の内訳:
第一部~OP 5:09:57
第二部~セカンドOP 5:25:14
個別ルート:
白崎つぐみルート 4:44:43
望月真帆ルート 1:36:58
桜庭玉藻ルート 3:49:27
御園千莉ルート 4:39:28
芹沢水結ルート 1:32:50
鈴木佳奈ルート 5:06:09
嬉野紗弓実ルート 1:24:41
True:
共通部 5:02:57
一周目最終分岐以降
~各ヒロイン分岐まで 1:16:51
一周目:白崎つぐみルート2 1:27:46
小太刀凪ルート 2:49:32
鈴木佳奈ルート2 1:03:12
御園千莉ルート2 50:51
桜庭玉藻ルート2 57:01
白崎つぐみおまけ 「全ての草木に木霊せよ」 28:57
「生徒会長のおしごと」 8:40
桜庭玉藻おまけ 「想いの辿り着く場所」 35:57
「白菜の甘さ」 6:42
御園千莉おまけ 「持久力が試される湖」 27:55
「純粋に不純な男たち」 7:21
鈴木佳奈おまけ 「愛のビーチボール」 28:01
「結局それかよという話」 7:48
千莉&佳奈おまけ 「居眠りと未来予知」 35:38
小太刀凪おまけ 「3割バッターの集中力」 25:35
「小太刀新生」 5:24
ロゴクリック 1:39
TOTAL TIME:約50時間38分
難易度は易しめ、基本的にヒロインよりの選択すればOK
ただしTrueに相当する凪ルートについての分岐については難易度は普通
少しフラグがわかりづらい。
凪を選んだつもりが別のヒロインのルートに行くこともある。
しらみつぶしにやってけば全部埋まるかと思う
選択肢ごとに飛ばせるようになっているのでコンプはそこまでは手間ではない
パッチ当ては必須
必ずPLAYの事前にパッチは当てること
このゲームに関してはセーブデータの互換性はない
僕の環境(OSは現在はWINDOWS7)の場合
トロイの木馬扱いで消されてゲームが起動できないことが2回くらいあった
インストールのプログラム先を変えることで対応は可能だが、若干いらついたこともあった。
ヒロインの攻略順については凪は2周目以降固定となる(初回プレイ攻略不可)
個人的な推奨攻略順:
つぐみ(真帆)は最初か凪の手前。佳奈は千莉の後にやるほうがいいかな思う。
凪とそれぞれのヒロインの最終ルートが存在するがそれは一番最後のほうがいい
○音楽、歌
OP曲:
Ceui「ストレイトシープ」
フルで聴いてみたい一曲。
僕の環境だと通販でしか買えないっぽいのが微妙。
2ndOP:
西沢はぐみ「夢飼い日和」
どちらも明るく爽やかな感じの曲
ED曲:
各ヒロインの歌うテーマソングが5曲分
(白崎つぐみ「ナチュラルガーデン」
桜庭玉藻「さざなみ椿」
御園千莉「夜明けのステアーズ」
鈴木佳奈「君だけのDay Star」
小太刀凪「みちて、ひいて」)
明るい曲調からじっくりと聴かせるタイプまで
正直歌があまり上手くない人もいるがそれはご愛嬌
サブキャラクター三人のED:
Ceui「DEAR SMILE」
歌手のキーが高い、なかなか良曲。
TRUE ED:
西沢はぐみ「明日への栞」
物語の締めにふさわしいつくりをしている。
しっとりというわけではないが、なかなか魅力がでている。
BGM:数は45曲、うち歌が9曲なので36曲
色々盛り上げててよく演出してあるな、と。基本的に楽しい感じのが多め
御園がギザ様使って凪を追い詰めるシーンのBGMは(クラシックのようだ)入っていない。
気に入ってるBGM:「漂流草子」「トラック・トラップ」「Friendly fire(嬉野さんのテーマ)」
「Comical oasis」「追い風のDistance(真帆のテーマ)」など
Hシーン専用のBGMが3曲あるのはちょっと珍しいかもしれない。
○声
どれも基本的にあっている。
結構珍しい方が声を担当しているパターンもあるようだ
(特に芹沢さん役の朝倉鈴音さん。
表名義で広く知られているせいかめったに裏では出ない。CV名義見たときちょいと驚いた)
…声優さんの力はすごいの。
特に図書館の汐見祭の出し物のシーンのナレーションとか。
佳奈の声の使い分け方も面白い。
ただ、Hシーンのときのが若干上手くない人のもいるが
おそらくこれについては
アニメ化を最初から視野にいれてキャスト考えているんだろうなあ、と思う
なんせアニメ化早かったし。
○絵
CG数(差分抜き)
つぐみ20、玉藻16、千莉18、佳奈16、凪12、水結・真帆・嬉野さんそれぞれ4×3
その他のCG7(小物とか過去回想とか) 合計94+7枚
実際にはカットインなどが非常に多く書き込まれているので
労力としてはそれ以上ある。また立ち絵をCGのように組み込んで見せる演出もある。
かなり綺麗なのだが、それだけではなく
ずいぶん明るく鮮やかになった印象を受ける。
そして背景デザインなどの絵の作り込みが非常に美しい。
つぐみのCGは少しだけ崩れてた感じもある気もしたが許容範囲だろう
○キャラクター
・ヒロインの印象
不快な人たちまではいなかった。
京子さんはヒロインじゃないのかなあ、とか。
・主人公の印象
他者の全てを拒絶する鋭利さがあったらこの話は始まらなかっただろう。
個人的にとあるキャラクターに思考回路似ているというのがあるが、
変わっていく主人公を見ていくのが面白かった。
TRUEは若干微妙な点もあるが…。
・サブキャラの印象
真帆、嬉野さん、水結はヒロインと考えるので省くと
サブキャラに該当するのは実質あまりいないことになる。
ギザ様→変なマスコットみたいな生物(たぶん猫)何者だ…
白崎さより→いい妹さんですな
多岐川葵→評価は微妙。まあポジション的にしかたない。
デレたらどうなのかはFDにあるらしい。
高峰→一番老成しているかもしれない。
男のサブキャラというより坊さんみたいな位置づけ。
実際坊さんの素質は充分ある。
TRUEで若干ポジション崩れかけたのがマイナス
○設定、テキスト及びシナリオ
・テキスト
テキストの誤字はそんな気にならない程度。
難あげればセリフの名前欄は改良の余地はあるように思う。
呼び名の名称変わっても名前欄では
前の呼び名のままというパターンが目立った気がする。
それだとやや感情移入がしにくい。
・シナリオ
構造:
三部構成に分かれる。
はじめのOPまでのあたり、プロローグというか選択があるため
実質第1部にあたる部分は新生図書部が活動をはじめそのメンバーが揃う段階。
ふたつめのOPまでの共通部部分は
図書部の意味があんまりないなんでも屋の活動から
ミナフェスの企画提示、そして立案作成、実施へ移す段階
そして羊飼いについての存在と正体のしっぽ程度が分かる段階
そこからはそれぞれの個別ルートで
多少の共通部がありそこから完全に各ヒロインのルートに分かれ
メインヒロインやサブヒロインとくっつく段階
TRUEシナリオは凪のルートに被さる構造
このシナリオは構造は他のヒロインと同じ構造ではあるものの
共通ルートが第一部や第二部なみに分量があり長い。
評価:
プロローグ(一部)は体験版の長さにあたる
そこの描写はとても丁寧に描かれているなあと思う。
共通部(二部)は前半は基本的に丁寧だが
後半は必要なところしか描かれていないところが気になる
もう少しかけば、共通部後半はスタッフが物語をつくるというより
ゲームであろうとしている作り方な感じを受け、で
余計と判断したところをかなりすっとばしている印象がある。
それぞれの個別ルートでも同様の箇所が結構存在する。
もうちょっと引き算せず
だらだらしちゃってもいいんじゃないかなとも思う。
寄り道だらけというには少し駆け足っぽいのが若干気になった。
佳奈の誕生日イベントとかは
絶対に描かれると思ってたので文章以外なにもなくて拍子抜け。
ここらへんは物足りなさは覚えた。
TRUEの大筋のルートに関しては基本的にはきっちりと書き込まれている。
別の部分で不満はあるが。
図書部への寄せられる依頼のあれこれについて
かなりの部分才能で片付けているのは結構便利な設定ではあるが
そのせいかこれも物足りないなあと思う箇所も。
相当に難しい依頼内容でもすごい勢いでなんとかなってしまう。
長々と登場人物だけの「舞台劇場」をみせられた
某エロゲ作品よりは結構マシで、
見せ場などもかなりあるのだが
あまりその点で臨場感を出せているとはいえない箇所も
見受けられたように思う。
…とマイナス点をいくつか挙げてみたが、キャラクターを動かすこととか
セリフのやりとりとかは上手く背景演出も絡み
生き生きとして見せている点は大きいとも思う。
上手くシナリオとキャラクターとを調和させている印象はある。
Hシーンの尺はそれなりに長め。
Hシーン
つぐみ4 玉藻4 千莉4 佳奈4 凪3 真帆1 水結1 紗弓実1
CGは基本Hシーン1回につき2枚。二回戦もあり。
ただFORTUNE ARTERIALのときは3枚あったところもあったけどなあ…。
特徴:
つぐみは清純派。健全な範囲で求められたら応じるタイプ。道徳感がやや強め。
玉藻はとにかく尽くす性格でややアブノーマルもOKなタイプ。隠れM。
千莉はどんどん丸くなっていくタイプ。背伸びしたいところもある
佳奈は何事も楽しんだり楽しんでもらったりするタイプでHも同様。あと尽くす。
真帆は基本的に受け身だが素直。結構柔軟性がある
水結は玉藻ほどまでかはわからないけど結構情熱的
紗弓実は主導権を握ろうとするタイプ。でも素直なところも出てくるのでかわいらしい。
凪は凪らしく少しだけ素直ではないが恥ずかしがったりもするのでよい。
属性が実際は複数あるが当初出会った通り対等であることを好む。
○まとめ、おすすめの向き
個人的にFORTUNE ARTERIAL(以下FA)を焼き直して
グレードアップさせた話だと思っている。
となるとかなでのポジションが佳奈で陽菜のポジションがつぐみか。で弥生シスターズ…。
扱っているところが吸血鬼と羊飼いの違いとはいえ不老不死が共通項だし
FAの舞台の学校とキャラの名も一箇所出てきてある。
選択肢(選んだヒロイン)によって運命が変わってくるのがFAの特色だったが
今回は選択肢を念頭おいて今までの個別1ルート固定から脱させようという試みがあるっぽい。
ただその試みはまあ途上段階かもしれない。
最終ルートの凪以外の主要ヒロインへの分岐は一周すれば作業化する。
そして最終ルートの見せ場のシーンを何度も見てしまう仕様はよくないと思う。
特筆するべきは背景画面のカットインや演出で
様々な演出方法で表現されているため目を楽しませてくれる。
背景のイベント(会場とか)に人が書き込まれていない点は
ややマイナス。…まあもっと大変そうだけど。
そこを差し引いても演出とキャラクターのやり取りが楽しすぎて
これだけで買ってよかったくらいには思えた。
キャラクターが気に入ったならFDを買ってみることをおすすめできると思う。
少なくても購入しよう思う材料にはなったし、すでに買ってもいる。これからようやくプレイ開始。
大図書館のFDまでやって話が完結するタイプと見ている。
これ単体だとルートによっては個別ルートの前半だけで打ち切ったような感じもした。
そんなばらつき感がマイナスではある。
ただ後味についてははだいぶよいし、
描かれなかったところについてもたぶん早い遅いかの違いで
大体似たような終わりになったのではないかと推測している。
凪については羊飼いにならないほうが明らかにいい。
羊飼いの観点だけ見たら不快感は増した。
図書部の活動メインで見ていくのが楽しみ方となる。
以下は例によってネタバレにつき注意。かなり長め。
批評というよりグダグダ書きに近い感じになったがあえて載せとく。
個別感想(ネタバレ)
各ヒロインの印象と評価
最初に図書部のヒロイン達。
〇白崎つぐみ
現在の図書部活動の発案者兼部長、2年
最初につぐみを助けた選択をしたからこの物語はこうなっている。
くっつくとしたら本来はつぐみとくっつくのが一番自然には思いたいし
正史ではあると思いたい。
…しかし、それぞれの個別終わって繰り返しリピート再生してるのは
個人的に真帆とか千莉とか佳奈とかでつぐみははっきり空気いってもいい。
…最初につぐみからやったというのは入ってるのかもしれないが、
すごい珍しいというより意地悪くかけば馬鹿にされやすい性格をしている。
特に真帆ルートのつぐみの反応はようわからない
個人的につぐみを嫌っているわけじゃないので抑えて書いておけるけど、
恋愛感情抜いてしまうと本来は存在のない脇役ポジションとなる。
そのくせ納得いかないことに対しては
強く反抗し食い下がるというおかしな特性の持ち主で
この辺は理解する人とできない人両方に分かれるだろう
つぐみの場合は、周りに支えられることで居場所を確認して自分も伸びるタイプ。
安心できる環境がないと伸びづらいというなかなかやっかいなヒロイン。
だけど理屈じゃないところで引っ張っているという不思議なヒロインでもある。
要は正統派のメインヒロイン名乗るにはかなり癖が強いキャラだ。
つぐみ個別ルート:
つぐみらしい優しいお姉ちゃんっぷりが垣間見える。
谷はあるにはあるけどまあそんなんでもない。
…基本的に周囲が追い込んで初めて答えを出していくタイプなんで
恋愛観は一番奥手に見える。
たぶんこのルートとことんつぐみらしいのだが
好みについては普通かダメかに分かれると思う。
好きだという人はあまりなさそうな…
白崎教と誰かの感想では言ってたがまさにそれ。
だいぶ話の終わりについては半分ギャグ(あまり面白くない方の)のような
おかしな方向に転がっていく。
まあ、個人的には普通にしとこう。
妹のさよりはとてもいい子でほのぼのとする。最後は微笑ましい感じ。
〇桜庭玉藻
学園2年。つぐみの親友。図書部の進行役。
自己評価が低いが努力する才能があり
対人能力は基本的には高い(融通がやや欠ける)ので
基本的になんでも高いレベルでまとめることができる。
ある意味図書部の中では一番かわいそうな役回りかもしれない。
それは本人も周りもよくわかっているっぽいが。
ポジションとして厳しいことも言うわけだが、
キャラクターとしては絶対に必要。
ほかのルートでも役割は一切ぶれない。
玉藻個別ルート:
ここではつぐみとの関係が主軸となる。
玉藻は付き合う前より付き合ってからが大変そう。
だが大図書館本編での個別ルートはルートの前半で打ち切りの印象
あとの部分はFDへ持ち越しという中途半端さがあり
これ単体では微妙いわざるをえない
色々バリエーションは広そうだが
かなり玉藻ルートはシンプルにまとめられているので、
良さがよりでそうなのはFDあたりか。
これ単体だともったいないという印象が残る。
〇御園千莉
学年1年、音楽科。図書部の後輩。
歌姫と称される存在。
千莉は才能が非常に…というより異常に突出しているらしい。
もちろん努力はしているがだがそれを表に出して飾るのに嫌気をさしている。
クールではあるが中身は親しみやすい性格なので情熱的。
とりあえずそんなに少食で大丈夫だろうかとは軽い?マークは浮かんだ。
それだけ「才能」があることを強調しているんだから
結局あとは自分から動くということ、つまりやる気さえあれば大体の物事が
クリアできるという程度の話でもあるように見えた。
千莉個別ルート:
主軸は千莉の歌について。
玉藻と違い付き合うまでにずいぶん課程を踏む。
個人的に個別ルートPLAY時の段階では千莉が主人公とくっつく可能性は
凪を抜かせば一番低い気がしていた…が、実際はそうでもなかった。
ほかのルートでも丸くなっているし。
千莉の場合はいつの間にか好きになっていたパターンにあたる。
見所は結構ありそこそこシナリオはまとまっている。
ただ上記の通りやる気がもう少し出せれば
なんでもできたよね的なところもある。
千莉は付き合ってからはどんどん丸くなっていくので、
終盤の変わりっぷりは面白い。でも同時に変わってしまったのが少しだけ寂しい。
まあ、おまけで少しフォローしているからいいか。
なお千莉ルートの佳奈はとてもよかった。
〇鈴木佳奈
学園1年、図書部兼学生食堂アプリオのウエイトレス
図書部のムードメーカー。
全ヒロイン中一番まっさらな存在。おそらく自己評価がもっとも低い。
メイクとかウエイトレスとかこなすので結構色々な方面でセンスはあるように思う。
性格は千莉の逆明るいユーモアがある性格だが
本心をなかなか見せない上に実はかなり繊細。千莉とはいいコンビ
なにげにメインヒロインのつぐみより
(凪以外では、としとく)個別ルートは一番長いので優遇されていると思う。
…佳奈がいないと図書部は成り立たない。
佳奈個別ルート:
影の部分は過去の経験からきていてそれなりに重い。
ただ根っこは素直な子なのでなんか心の揺れ方とかは
色々な方面から見抜かれている。
シリアスにもできるが、でもシリアスには
なりきれないのが特性であり魅力だと思う。
千莉との友情がよく出ている点は〇
最後部分の展開からFDが今から楽しみでしかたない。
付き合ってからの佳奈はとても素晴らしい。
この作品でヒロインらしさを一番感じたのは佳奈で
登場、共通部、個別の他の主要なルートにおいても見せ場がある。
そしてスタッフが楽しんで書いていることはよく伝わってくる。
また、佳奈ルート終わりは主人公が一番好ましい方向に変わった、
という印象を持っている。
次に図書部と関わるヒロインについて。
自分一人でもかなりの部分こなせる人たち。
力を合わせて依頼に向け取り組むうちに自分自身をも変えて成長していく
図書部の面々との対比みたいなところが伺える。
〇望月真帆
学園3年、汐見学園生徒会会長。
風格が堂々としている。
愛らしさはつぐみよりはるか上だろう。
例えば主人公にどうやって目をつけたのかは気になるところ。小さいことかもしれないが…
公平な目を持っているのは彼女の特性だけど、
そのせいで引きがちなところもあるのでつぐみほどではないが損をしやすい性格ともいえる。
裏表がないので照れたり控えめに私情を出して表したりするのがとてもよい。
あとなにげにかなりお茶目でもある。
嬉野さんとの絡みはもうちょっと見たかったというのはある。
嬉野さんルートの真帆はえらいノリノリで見ていて楽しい。
真帆はメインヒロイン枠でいいんじゃないのかとは思う。
真帆とつぐみを並べた場合、つぐみの存在がよくわからなくなってしまう。
そのくらい存在感はつぐみを食っている印象がある。
真帆の個別ルート:
多岐川葵の見る主人公の敵視がもうちょっと強いかと思ったが
そのへんはなんか流された。まあ、あまり強すぎても微妙なのでいいか。
単純に可愛さを味わうのに適している。
中身は実際のところそこそこあるんだがあんまり印象がない。
生徒会と協力して仕事に取り組む流れだが
葵が鬼になって主人公を追い出したところしか覚えてない。
真帆についてはバリエーション広そうなんで色々な表情がみたいと思う。
ヒロインを楽しむシナリオ。
〇芹沢水結
学園1年、演劇部声優班。
声優のひよこ。とはいえ大物感は垣間見える。
性格は努力家でシビアで情熱的。
水結については千莉ルートでもう少し主人公のとりあい的な面で
絡むかと思っていたがそうでもなかった。
佳奈などのルートでは全く出番ない。
千莉の引き立て役という面が強いのは、
本業としている声優業が忙しい点もあるので仕方ない。
でも少し地味な印象は拭えなかった。
放送番組での声はよい。
水結個別ルート:
自分の持っている放送番組での爆弾発言のくだりが面白かったが
ルートが短めなのもあるせいかこれ単体では
全体的には思ってたほどの爆発力はなかった。
少し残念かもしれない。
〇嬉野紗弓実
学園2年、学生食堂アプリオウエイトレス兼マネージャー。
情報工学に強い
…ついでに全ヒロイン中一番インパクトが強い。
ちなみに嬉野さんについては出番が結構削られている印象があるが
ただTRUEの共通ルートなどでは大活躍する。
紗弓実という名前よりも嬉野さんのほうが呼び名しっくりくる不思議。
怒らせるとマシンガン持ち出してぶっぱなすのだが
どっから出したんだろうか。
嬉野さん個別ルート:
過去の事情的なもんは気になる。
本来はもうちょっとシリアスな背景はあるんだろう。
でも本人の雰囲気がそうはさせない。
独特でマイペースでめんどくさいけど面白いという変わった魅力の持ち主。
そんな持ち味がルート全編において発揮されている。
短めだけどシナリオ展開はよくまとまっているし
付き合ってからだと刺激的で楽しそう。
だいぶ気に入っているルートとなっている。
残りは凪と最終ルートについて。
〇小太刀凪
学園2年? 図書委員。「羊飼い」の見習い。
実質授業出てなかったっぽいので生活状態はよくわからない。また生活臭もない。
羊飼い専用の寮に住んでいたと記述があったが
それは現実世界においてではないのだろう。
この最終ルートは
「図書部」と「羊飼い」の二つの軸を同時進行させて絡ませている。
また凪ルートのほか各図書部部員(つぐみ、玉藻、佳奈、千莉)の
ルート二つ目へも分岐する。
シナリオプロセス自体はきっちりと踏んでおり、
1周プレイ分は微妙な点もあるが基本的には面白かった。
…ただ、2周までだろう。
・羊飼いについて
…これが一番不快だった。
綺麗事を言ってるだけの邪教みたいなもんだし。
綺麗事の押し付けは自分たちがいくら崇高な存在です言っても汚い。
なんで凪が目指そうとしているのか、
筧がひきずりこまれようとしているのかというのが終始微妙ではあった。
…最終ルートの場合
図書部の幽霊部員の乗っ取りとか
主人公いつもならもっと冷静に見れるだろうに。
羊飼いになろうとする理由もひとまずあるし
これがヒロインとくっつくきっかけにもなってるが、
どうもよろしくない。理解はしても納得はできないというか、もやっとする。
・選挙戦展開に関して
葵は敵役としてちょっと頑張りすぎたかな。
対抗手段がなりふり構わずになってしまっている。
幸い、道を仮に踏み外しかけても引き戻す役目がいることが救い。
凪ルートだと葵の印象はマイルドに若干なっているが
最終ルートはかなり不自然なくらいに嫌な印象になっている。
あのまま図書部の幽霊部員達がすんなりと引き下がるようには
ちょっと思えなかった。ここは描写不足といえる。
・各ヒロインの最終ルート
個別ルートにあったそれぞれのヒロインの背景とか問題については
ある程度最終ルートの中で自己解決がなされている。
上手く救済措置的にまとめた印象もある。
ただ同じ手は使えないだろうけど。
ヒロイン変わっただけで大筋は同じ流れなので
消化不良感のひとつは確実に起こすだろう。
最終ルートの凪以外の残り4人が一人クリアしたら
あとはCGと回想が全部開放する仕様だったらよかったかもしれない
最終ルートのみを何度も見させられる形式は作業になってしまいよくない。
TRUE共通部序盤はハーレム展開っぽい感じになってるが、
この図書部の面々にはハーレムは合わない。
それぞれが案外我が強いところがあるようにも見える。
例えば4人が均等に主人公が好きで取り合いになった場合
ぬいぐるみがあったとして取り合いしてるうちに引き裂きそう。
…ネタにもなってるけど。
個人的には最終ルートだけを見て考えれば凪はおいといて
それ以外の4人だったらつぐみとくっつくのが一番自然な感じがしている。
図書部と知り合ったきっかけとなっている
ヒロイン、という部分が生きている分得だと思う。
・凪個別ルート
本人が結構危なっかしい性格なのでたぶん羊飼いにはならないほうがいい。
思想が合わないこともあるが、それ抜きでもどっかでNG出そうだ。
凪に関してはなんていうか
思ってもみなかったような事実が結構出てきていて驚いた。
凪は、ただ不幸な境遇ではあるが
ある意味では非常に幸運なキャラクターだと思う。
少なくても恋愛観については普通のヒロイン同様乙女であること。
そのおかげで人を信じられるのも割合早かったわけだし。
もっと殺伐とした設定にもてきたんだろうがバランスだろう。
それでいいと思う。
筧とはそれぞれのヒロインより一番古い付き合いをしていて
意外なことに期間限定だったとはいえ妹キャラでもある(年齢サバ読み)
だがまあ、これはあまり似合わないけど。
付き合い始めてからは適度にじゃれついている感じが出ていてとてもいい。
凪の幸せを願う。
総合的なお気に入り
佳奈>真帆>嬉野さん>凪>千莉>つぐみ=玉藻>水結>>葵
しっぽデイズののぞみと朔夜も含めりゃ
のぞみは凪と同じ位置くらいで朔夜は玉藻の下水結の上くらい。ただし水結も結構好きだが。
そんなわけで長めとなったが以上感想終わり。