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Weather reportさんの初恋サクラメントの長文感想

ユーザー
Weather report
ゲーム
初恋サクラメント
ブランド
Purple software
得点
86
参照数
2765

一言コメント

PLAY時間は41時間15分。身近で見つけた「異界」の物語。たぶん、パープルソフトウェア製品の中では一番物語としてしっかりはしている。ただトータルでは「明日君」と「星空のメモリア」にはおよばず、といった印象に。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

-あなたにヒカリあれ-
















































最初に書くと非常にレビュー長いです
ただ肥大してるところはやや削ってます。
…もっと削れるかもしれんけど。

見ても平気な方、
とりあえずつきあってやるかという方へ
ゲーム概要と感想を記します
今回あまりに長いので目次を作成しました。

・目次

「あらすじ」

そのまんま。

「全体的な概要と感想」

ネタバレできるだけない方向で

「詳細感想」

ここはネタバレ分相当強めにして長め。

「非常に長い余白(背景設定含む)」(2011.5.6 もうちょっと追加しました)

作品と関係ありそうな部分を
ちょっと踏み込んで調べてみた、といったところ
余白なんで興味なければ
読み飛ばしてまったく構いません
自分のことも結構多めに書いているので…。



では、通常モードで感想に移ります









◎あらすじ(OHPより引用)

この春からミレニア学園に入学する主人公──柊勇飛(ひいらぎ ゆうひ)。
家庭の事情から一人暮らしをしたいと考えていたところ、
運良く好条件の物件を見つけ、勇飛は早速そのアパートに入居を決める。
だが、隣に建つ教会に足を踏み入れたときから、勇飛の運命は一変してしまう。

――そこには、少女が倒れていた。

ヒカリと名乗るその少女は記憶があやふやで、はっきりと覚えているのは人助けという目的だけ。
アパートの管理人であるノアの勧めもあり、勇飛は行くあてのない彼女と同居生活を始めることに
なるのだった。
共に通うこととなったミレニア学園で、部活を立ち上げようと言うヒカリ。
勇飛は活動を通してヒカリの記憶が戻るかもしれない、と手助けを申し出る。
勇飛とヒカリが始めることになった新しい部活――大空部。
それは、部室を懺悔室とし、訪れた学生の問題や悩みを解決することを目的としている。
部活動を通して様々なる問題解決に奔走することになる勇飛とヒカリ。
果たしてこの先、どのような事件が二人を待っているのだろうか……?









一言感想で異界、と書いた。
マイノリティな意見かもしれないけど、
自分たちの価値観とは異なる場所は
ほんの一握りでも「その人なりの」異界、という
見方で考えることはできる。
それを受け入れるか声を高く反対を唱えるかは人それぞれだが。

別にファンタジーといわれるものが
扉を挟んでの異世界だったり
猫耳やアンドロイドや魔法を
日常世界に出したりするだけでは
ないようにも思う。
見方を変えれば、案外自分の持っている
価値観とは違う出来事ってのは
現実世界でも広く待っているのかもしれない。

強く感じられるのは
海外旅行先とか、山中の別世界とか、
身近なところでは
教会の礼拝堂でのミサとかだと
個人的に思うことである。
…夢や想い出の世界も一種の異界ということはできる。
異界にいる、という感覚をみなが共有する必要もない。

私は仏教徒です。
ただキリスト教については
賛成も反対もしない立場かな。
ここで描かれている神様がだいぶ不快に思うが、
神様もとらえかた次第とは思う。
前を向くものに、大きな空は広がっている。

◎全体的な概要と感想

○外箱とか特典とか

ヒロインパッケージはヒカリのみなのでヒカリがいて成り立つ側面はあり。
私が買ったやつには小冊子(ショートストーリー付き)と
サントラが付いていた。

小冊子の中の話は星見の動物に嫌われる理由についてのエピソード
なかなかSSとしてよくできてたと思う。

○システム

ゲームエンジンはCMVS

セーブ/ロード数は108
クイックセーブ/クイックロードは1
数は充分足りる。

セーブ/ロード画面は
コメント機能及び移動、削除機能付き

タイトル画面出現時に少し放置しておくと
ゲーム紹介&OP映像
(ここでは事前に配布されていたデモムービー)が流れる
それとは別に、こちらはいつも通りといえる
各キャラクターの自己紹介も流れる。時間は全部で15分強

ワイド画面を採用
もうこのへんは各主力メーカーのブランドが
そうしているみたいだしスタンダードになりそうではある

テキストメッセージの表示部分を可変にしている
すたじお緑茶のゲームみたいな感じ、と書くのが近いかな

ゲーム画面には
各種アイコンウィンドウがついていて
セーブ、ロード、システム関係の調整、
スキップなどをそこで行うことになる。
(アイコンは小さくすることはできるし自由に動かせる)
アイコンは自分なりにカスタマイズできるようにもなっていて結構便利

…とはいえ私は必要にする程度使えたら
文句はそう書かないけども
あって困るものではないので。
(ドラマチックモードまではないが)

かなりシステム面に関しては進化しているのはうかがえる。

誤字はほとんどないと思う
パッチ当ててなくてもほぼ完成している。
♯一箇所「欲張って」を「頑張って」と声優さんが間違って言ってたがまあいいか。
たぶん、この部分はテキストの「欲張って」のほうが意味は通りやすい。

演出関係は水関係や火の演出など秀逸 
随所に小技は効いている

ゲーム開始してからデフォルト全再生で
1時間ほどがプロローグといえる
主人公勇飛がヒカリと出逢うシーンまで
そこまで観終わったあとにOPが流れる

PLAY時間は
1周20時間~23時間程度かかる。
内訳は以下の通り。

共通部分:約16時間45分
ヒカリルート:約2時間45分
ヒカリグランドルート:約6時間50分
いろはルート:約3時間30分
星見ルート:約5時間40分
岬ルート:約4時間25分
自己紹介ムービー:15分強
その他おまけなど:約1時間

構造としては共通が16時間45分と長め
個別部分は短めなものから普通クラスの長さまである感じである。

全員のルート本編を攻略した段階で
Trueシナリオとなる「ヒカリグランド」が開く

難易度は低め
選択肢はそれほどなし
実質分岐は最後の2つとなる。
分岐がはっきりしているので迷う心配はなく
既読スキップもそれほど使う箇所はない

ゲーム期間は
春から夏、あるいは9月にかけて。
序盤は1日ずつ進むが
中盤からは日付が飛んでいく。

1周クリアでおまけモードが見れる
GRAPHICS(CG鑑賞)、
H SCENE(Hシーン)、
MUSIC MODE(BGM鑑賞)、
「ADDITIONAL SCENARIO」
(アフターストーリー及びエキストラストーリー)が閲覧可能
最後のはひとつだけ違うが他はイコール
おまけエッチシナリオの意味合いである
尺的にもごく短いので期待はしないほうがよいかと

○音楽

BGMは全部で35曲

今回出来がなかなかよいのもある。
「悠久の光」のパイプオルガンと
「奈落の領域」は聴いててかなりよい感じ。
「Deliberation」は何度も出てくるので
印象に残るだろう。

逆に星見と栄原の対峙のときのBGM
「剣聖と拳煌」はほとんどギャグだ。

OP主題歌は橋本みゆきさん「青空の約束」
いかにも彼女らしい明るめの
ユーザーのツボを突くような曲になっている

OP映像はタイトル画面放置時のと
同じデモムービーのもの
歴代PurpleのOP映像から
考えると劣っている、というか
あんまり予算かけてはいなかったようだ
ちょっと残念である。…と思っていたが
実はこのOP映像、2種類ある。
そこまでつくったのなら、予算が
微妙になくなったのもうなずけるのかもしれない。
2種類目のは見るべきだろう。

ED主題歌は小夏みなと(だと思う)「君のいない世界」

明るめの軽快な曲となっている。
ただ歌っているのが新人さん(少なくとも私は初めて見る人だ)なのか
まだ場数的にこなれていない感じなのでそこは少々残念ではある。

○声

気になるところはなし。安定はしている。
私的には佐々留美子女史の声が一番敢闘賞ものといえそう。
ノア先生と内海さんの声って全然違う。

○絵

CG数は全部で96枚。
うちSD画が7枚なので89枚がSD以外の数。
ヒカリが一番多く23枚ほどが彼女のものだ。

原画のうち
三日月モさんは下手ではない、と思われるものの
独特な絵柄かと思う。好みは分かれるだろう
ノア先生のCG絵には妙に不恰好なものも
含まれてあるように見えるのは気のせいだろうか。

ただ結構私は好意的にも見ていて
そこまで美少女じゃない子を描ける
ある意味貴重な方と受け取った(苦笑
女性の原画家さんかな?

皐月さんは場数をこなせば
1人でもかけるかと思う
個人的な要望としては彼女の単独原画も
見てみたいと思っている

SD絵担当の鳥取砂丘氏は
しろくまベルスターズ!などのSD画の人
前作の「夏に奏でる僕らの詩」の
SD画よりかは数段よかった

○キャラクター

結構たくさんのキャラクターが出てくる

大空部の面々はそれぞれが
持ち味を生かしながら場を進めていく感じ
学生会は多少問題ありかも
主に南雲会長と栄原副会長が
引っ張りまわしているのを
外丸君が上手くバランスとっている感じ。
文雪もマイペースな子だからな…
で両方からネコ扱いの岬がマスコット役になる。

ヒカリが気に入るかどうかで
評価は変わってくる。
最初はヒカリがそこまで好み、というわけではなかった。
彼女の場合理屈無視してこうと決めたら
微妙でもとりあえず突き進むところがある。
そこが多少苦手にも感じるが
ただありかなしかの2択なら
ありかな、といったところではあった、が…

主人公はブレーン役として
よく知恵は働かせている。
…ちょっと自分なりに
「星空のメモリア」と比較してみる。

意志の実行がやや強引でも
すすめたほうがもてるのかな、と思ったのは
星メモの洋君から見たことである。
ただしなかひろ氏の書く主人公像って
私的には多少子供っぽいというか、
背伸びしているところはある気はする。
今回の場合は設定を1学年さげたのもあるから
仕方ないかな。…×校1年生、か。
この人たちは基本的に大人思考で
少々強くあろうとしているところがあるが
その強さは子供なところを見せたくない、という
裏返しにもなるのだ。
基本的には主人公に関しては
等身大の像のようには受け取る。
よくもあり悪くもある。

洋君の話は基本的には
洋君カッコイイなシナリオばっか
(ちなみに私は点数からも見れるように肯定的です)だったが
最後のヒロインルートのみ洋君を
かっこ悪くさせてくれるような、
それでいて甘えさせてくれるような存在がいて、
それが夢やメアを際立たせている感じの構造かと思う
(相当難攻不落なヒロインだったけど…)

勇飛君のほうは等身大の自分で付き合えるヒロインが
必要なのかもしれない。
彼の場合は自分がダメ、というところも
かなり後のほうでだが認めている箇所はある。
意外とカップルの組み合わせとしては
どの子も似合うようにはできている、と思う。
…星見のは終盤で帳尻合わせた感じだがまあいいか。

洋も勇飛もそのおいたちには親の死がかかわる。
ただ過程はそれぞれどうあれ
部活にのめりこめる、というのは
それは健全なことではある。
個人的にはどちらもそんなに嫌いではない
(たぶん、評分かれるだろうけど)

ただ勇飛のは一部のルートはやや微妙である。
周りばかりがお節介というか、
お膳立てする感じのはあんまり好きではない。
私は主人公に祝福するに足りる行動が見たい。

全キャラ中一番のお気に入りは
攻略できない園原由梨
由梨の場合は攻略できないからよいのだ。

ヒロインの中では
お気に入りは星見と岬だったのだが
物語じっくりみた後だと
ヒカリに叶う子いなくなったなあ…という印象に。
まあ、いろは以外は好きかな。

不快キャラというのはなかった、というより
一面だけでは図りづらい感じがあるため
じっくり理解していくと腑に落ちる、というところか

通常の、特にパープルソフトウェアの他作品よりも
深く人間の内面を切り込んでいる、とは感じた。

一番嫌いなのは目には見えないもの。神様である。
少なくても、これを「理想の神様」とは思いたくない。
理由は詳細感想にて。

○テキスト及びシナリオ

・テキスト

テキストはいかにも
ライターのなかひろ氏らしいといえる
薀蓄と天丼ネタを繰り返しながら
時にコミカル時に緊迫感を出して進んでいく
癖はあれどこの人のは結構評価している
(好き嫌いは思い切り分かれるだろうけど)

ただバトルシーンの一部はかなり微妙。
ていうか登場人物に実況させたりとかほとんど遊んでますよね、これ。

書き方はかなり小説サイドからの影響っぽいところが滲む。
聖書どころか詩人や哲学者の言葉まで
参考元引っ張り出して組み立てているな、と

・シナリオ

位置的にはこんなところ。

星空のメモリア>初恋サクラメント>>>>夏に奏でる僕らの詩>>メモリア

全部ではなくても二桁に届くほど
パープルソフトウェア作品をやってる中では
もっとも背景設定のしっかりした作品なのはいえそうだ。

とはいえまず触れる際に体験版PLAYは必須。

序盤はキリスト教と
信徒の行う儀式についてのことが多く語られる。
少々変わった、とっつきにくい題材である。
人により拒絶するのは無理もない。
キリスト嫌いというひと当然いるだろう。

最初の導入部に関してはとりあえず頭の隅に
乗っけておくところかな、と思ったので
そんなに気にせず読み進めた。
記憶喪失の少女を病院または警察に
通報する必要性はある気もするが
人によるのだろう、とも思ったし
書くのもなんか野暮なんで黙認しておいた。

キリスト絡みの教えについては
それを理解する必要はなくゲームPLAYの際には
これらをトピックスのひとつと捉えたほうが楽だ。
ただ、雰囲気だしに聖書からの教え、というのは
大きく使われている。
♯「主は言われました」から続くセリフのやり取りは
かなりネタも交えながら頻繁に出てくることは留意すること。
何回出てきたかは数えきれてません

大空部に関して。

大空部でやってることは基本線は迷える子羊の
抱えている悩みを告白してもらい、
できることなら晴らしてあげる、
という部分に集約される。

人助けが探偵ごっこ的なところにもなり、
探偵ごっこなところは
実質的なライトミステリ、とも言い換えられる。
(こういうジャンル、まったくないわけではない…と思う。
漫画だと「C.M.B. 森羅博物館の事件目録」とかは
結構こんな感じの短編ミステリネタも多いようだ)

事件の中で基本的に考え方が性善説に傾けがちなのは
これはキリスト教の教え及び本人達の性格によるところが大きいと思う。
岬にしたって厳密には罪をいろはになすりつけようとしたところで
到底誉められないわけだがいろはだから許せたことなのだろう。
ていうか罰する人間がいないのだ。

ただ大空部は人を追い詰めるような部活ではない。
人を助けるという名義でその悩める人と
向き合い付き合っていく部活、ということは強調してあると思う。
甘いのかもしれないが考え方自体には筋は通っている、と見ている。

…まあ、部費要求がどうにも無茶なはずだが
そこのくだりはむしろ謎が増えたことと、
南雲会長の胡散臭さ…というか、思案のほうが先に立つ。
(栄原副会長が強硬に反対し南雲会長の提案で
大空部と学生会が目安箱の書かれている疑問を解決する、ということで勝負するあたり)
じっくり読んでいくと部費要求の無茶がそこまで目立ってこない。
まあ、確かにやってることって不正なんだが別に
クリスチャンの全部が副会長みたいな
全部高潔な完璧主義というわけでもあるまい、と
あまり気にはしなかった。
自分に利することについては最低限悪くても正義だと
信じこんでやる、ということになるのかな。
(強引にも感じられるが…)
思惑みたいなののせいで結果的にはまだ救われていると思っている。

理論と論理展開については
あるていど納得できるくらいには
通ってはいるのではないかと。
私は楽しめた。
「千年王国」は大げさではあるが
分からなくもないかな…
掲げた理想の大義名分化、というのか。

あの集会の模様は
もうちょっと深く見たかった、とは思うけど。

宗教に関わるものも人間の仕業である(一部を除く)
それを考えると嫌な面は多少見たかと思うが
ただ行動の破綻や矛盾まではそう私的にはなかったように見える。

ただ評価の分かれ目として
物語のヒロイン軸がヒカリに固まっているため
ここの項目でもヒカリを気に入るかどうかで分かれるだろう。

ヒカリの個別のみ2つに分かれてある
グランドエンドルートが存在するためだ
この物語は早い話主人公とヒカリのために用意された
ヒロイン一点集中型の構造になっているのだ。

ヒカリ以外のいろは、星見、岬が
多少おまけ扱いになるのは
構造上ある程度は仕方ないのだろう。
しかしヒカリ以外だと苦さはあるので辛い。

この作品の瑕はミステリと恋愛ADVとの
食い合わせが悪いことである。
なんだか共通と個別とで
別のゲームやっているように見えてしまうのだ。
比喩使うならコース途中で
フランス料理が和食に変わっていくのだとしたなら
違和感出てくる気はするが、どう思うだろうか?

Hシーンはヒカリ、いろは、星見、岬が各3
(本編が2回、アフターストーリーで1回)
ただ他にもうひとり1回分ある。

アフターストーリーでのHシーンは
回想シーンには登録されていないので注意。
ごく短いのが多いがセーブもきかない。

尺は短め。
描写より会話のほうを重視している
そしてHシーンの中でもヒロインらしい性格が見えている。
ちなみに濃度はかなり薄めなので
そっち方面の期待はする人いないかもだが禁物。

○おすすめの向き

まずは宗教を気にしない人向け
心理状態の変化、というよりも
土台となるキリスト教題材についてのこだわりの強さが残る。
好き嫌い分かれる作品になるはず。

共通中盤からは一種の推理劇…というよりは
活劇になるのでそれが楽しめる人にはあるていど向いている

判断材料としては
体験版は必ず事前にPLAYしてください

この物語はじっくり読める人に向いている。
てっとり早く抜き出して読むには向かない。
考えさせるだけの余地はある。

あとはヒカリが評価の分かれ目。

○まとめ

ゲーム形態にする作業は、
私が考えるよりはるかに難しいのかな、と思う。
これ単体では結構魅力のある素材のように私には思えるが
ヒカリ以外の子の個別ルートはある意味では
傍流といえるルートにもなってしまってもいる。
前作の「夏に奏でる…」よりは
やっつけ感はないし出来は悪くないが
それでも微妙な気分にはなる。

もしもできるだけ雰囲気を損なわずに
共通ルートのミステリこみの活劇の部分を
さらに発展させて各個別ルートで
表現できて完成度が高かった、としたなら
神作になっていたのかもしれないけど。
ただ高望みするのは酷かな…とも思える。
それに1ユーザーとしての
勝手な想像でもあるしね。

ミステリーは題材として
ポピュラーでいながら非常に難しい素材である。
謎解き自体より謎を題材としながら
登場人物の心の動きのほうに
重点を置いた作品、としては有効と見る。
私は萌えユーザーなので
考察していくのは本来は苦手。
(苦手な割に今回3万文字くらい書いてるけど…)
だからこういう感じのほうが好き。

その萌えはそこそこはあるので不満はさほどない。
ヒカリ以外ちょっと短いのは残念だけど…

ただ、各キャラクター一人一人よりは
「大空部」というコミュニティが
好きだったのかな、と考える。
コミュニティの中心かつリーダーたる
ヒカリが良くも悪くも象徴としてあって成り立つ物語、とも取れる。
それでも良作かな。
たいぶもったいない印象はあったけど。

次回作にも期待。
主になかひろ氏7割、パープルソフトウェア3割。
これをもってパープルが復活した、とは
たぶん思う人は少ないだろうが。

私個人は「メモリア」の
マイナス分くらいは消えた感じになる。
マイナス分を消したのが「星空のメモリア」の
作者の手なのはなんかちと面白い。

以下は個別感想のほかに
背景設定について学びながら色々書いてみた。
ほんとにネタバレ付きなので未PLAYの方は注意。

ちなみにおすすめ攻略順は
いろは→岬→星見→ヒカリ→ヒカリグランド

岬と星見はとっかえても問題はほぼないが
いろはとヒカリは最初と最後で固定したほうがベストだろうなあ。

…各ルートの詳細感想へ移る。




































◎各ルートの詳細感想(ネタバレ付き)

○導入部

物件探し→記憶喪失のヒカリと出逢うところまで

プロローグの最後の

<初めに、神は天地を創造された。
地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、天使が水の面を動いていた。
神は言われた。「光あれ。」こうして、ヒカリがあった>

この文章は『創世記』1章1節から3節までの引用(以後「創世記」1:1~1:3という感じに表す)
あとよく見たらタイトルロゴの下の英文字も
創世記の文節の英訳部分である。非常に見づらいが。

http://www12.ocn.ne.jp/~sokkidou/sokkig_01/0101_0131.html

創世記の中のこの部分は
個人的にかなり面白い記述である。
壮大さがある、というか。


○共通ルート

同居生活→学園入学→大空部設立→
イースター→部員色々加入(体験版ではここまで)→
猫探し→火事→大空部VS学生会→由梨登場→盗難事件など共通山場

この部分はミステリ風味活劇。

それらの事件の犯人が誰かは
割合すぐ分かるのは仕方ない。
しかしむしろ
なぜやったのか?というところのほうを
重要視しているのかな。
なぜこうなったのか?に着目すると
なかなか面白いところが出てくる。

いくつかサブキャラの印象:

旭:…過保護姉ちゃんは
序盤はともかく根っこまでは
そこまで悪い人ではないようなので
気にはしてない。
まあ攻略したいとも思えないのでいいや。

学生会の人たち:南雲会長はうさんくさく
栄原鏡香は融通が利かないのがマイナス
文雪と外丸はなかなか面白い。

もっと話し合えていたら、と
考えることは確かに違うのだろう。
過去はともかく
未来しか変えられないわけだから。

会長と栄原が将来くっつくことはあるのかな?

ユダ先生:見ないようで見ている人。
ゲームジャンルが違ってたら(ぶっちゃけると陵辱系)
攻略したい人なんだけど、まあ、そりゃないな。

園原由梨:猪突猛進型の憎めない子。
一番気に入った。
お姉さま100人ハーレムより
特別な1人に巡り逢ったようだ。幸あれ。

内海春子:もしもターゲットを
星見ではなくいろはにしていたなら
おそらく更に問題はややこしくなっただろう。
そこは彼女の人選ミス。
彼女については分かりやすい、というか
典型的な小悪党的性質だと思う。
…あとは声優さんの力はすごい。
まったくノアと同一の人には聞こえない。

ノア:いったいいくつだ。
正直なところユダ先生より気になってしまう。

姫:かわいい。これは認める。
ずっと後でそういう展開になるとは
おもわなかったわけだが。

楓:個人的には好き。



千年王国の首謀者については全ての真相後に考えると
厳密には罪は犯していると思うのだが
(これって詐欺罪になるのかな…?実際被害届届けるようなのはたぶんいないだろうけどね)
それを実際に指摘したところで首謀者が揺らぐとも思えない。
ただこの件に関しては罰したものがいたので充分かな、と
警察権力抜きで学生コミュニティの領域内で
片付いて落ち着いたようなのは
結果的に誰も彼もよかったのではないかな…



…さて、この作品の問題は共通ルートの終わりにある。
ヒカリ以外のルートだと個別突入時にヒカリは出てこなくなる。
(もう一人、姫も出ない。夜間に失踪してたことが響いたのか、とかも想像できるが)
活劇という観点だけ見ればバッドエンドにも通じ
ある意味ヒカリを
切り捨てているようにさえ見えてしまう。
いっしょにいられないところの葛藤が
見えてくれば別だった、と思うのだが。

いろは、星見、岬ルートは
共通ルートからはトーンダウンしてしまう。
ヒカリを失った場所ででは
くすんだようになってしまって
少しばかり輝きづらいのか
(特に星見ルートの中盤あたりでトーンダウンは感じる)
あるいは個別ルートが
やや短いところもあるせいかもしれない。

とはいえ「夏に奏でる…」の歌音以外
ほとんどヤルだけシナリオ群よりかは
きちんと作ってはいるし
尺がやや短いものの
3人の個別がそこまで
つまらない、というほどではなかった。
むしろよかったところもあったし
それはそれでよしとしよう。
「大空部」ほどではないが
個々のヒロインキャラクターも
いろは以外は結構好きではあります。

共通ルートにおけるいくつかの謎についての整理

・ヒカリとは一体何者なのか?というのは当然あるが
・何故、秘跡荘には勇飛とヒカリとユダ先生以外の住人は見かけないのか?
・ミレミア学園の学園長とは一体誰なのか?
・部屋の鍵が開いていた理由






ヒカリ以外の3人の個別ルートはごく普通の恋愛ADV。
人と人の奏でるささやかな物語なのだと思う。

○春日井いろはルート

大空部の癒し担当、お菓子作りが得意
いろは、星見ともに基本的にはおだやかな性格の子
雄飛とは元航空部の仲間
学生会の外丸と本人曰く「貧乏くじ」担当
私にはあんまり美少女といった感じに見えなかったが
そこがちょっと面白い、とも。

まず他ルートの場合。
彼女は未来に恋人ができて
結婚することはあるのだろうか?
岬や星見よりも気になってしまう。
彼女達だったらたぶん仮に相手が勇飛以外でも
好きな人がもしできれば
きっと気付けるのではないかな、とは思う。

ただいろはは違う。
「自分より他人を優先する」のがいろはの本質だが
悪く見ればそれは自分のことを
棚に挙げる、という欠点にもなる。
ていうか、いろはの心の中は
ちょっと理解しづらいところがある。

万人を愛そうとするあまり
誰か特別な一人を選べないこと。
それはお人よしだとかそんな問題じゃなく
いろはにかかった心の傷からできた呪縛である。

キリスト教で言う愛の定義の一つ
「フィリア」(友愛、という意味。引くことで成り立たせる愛もここらしい)ってのも
本当は尊ぶべき精神なのかもしれんが
度を越すと逆にそれはそれで
問題なんじゃないかな…と思えてくる。



いろはルートのほうでは
いろはの秘密と内面を知る、ということに終始している。
「いろはの涙」を探すのがテーマ。

勇飛と姉の旭は両親を中3のとき航空事故で亡くした。
通夜のときに涙を流してくれたのは、航空部の仲間のいろはだった。
2人はいろはに感謝している。
しかし、そんないろはにも重い秘密があった。
秘密はいろはの部屋の写真立ての中に…というのがいろはルートのくだり

共通部分とのつくりを考えると
だいぶシンプルな構造になっている。
いろはと摩子の昔話については
星見ルートで語っているのでそっちを参照のこと

出来は少しだけ微妙なところも。

いや、まあ…告白する場に
姉貴もちょっとばかり同席って
ここのルートではおそらく
必要なことかとは思うが初めて見た(笑
ペットボトルロケットを見てると楽しそうではあるが。

外丸が述べたリーダーの資質ってのは
それは頭に蓄積されたデータ面からの考えすぎもあるし
あるいは部長をいろはに誘導するための方便もあるだろう。
別に誰がやっても(岬は掛け持ちがあるからまずいかもだが)
さほど問題はない。

いろはに必要だったのは、
一歩を踏み出し、悲しみをともに乗り越える勇気だ。



さて、いろはだけではなく
各ヒロインルートで
ノア先生の説教と彼女達の恋路とを
関連を示すように示唆してある点は少し面白い。

いろはルートのは
モーセ(モーゼともいう。テキストと声優さんとで読みが異なってたが問題はないだろう)の説話。
モーセは預言者、つまり神の言葉をあずかり人々へ広める人である。
…大雑把には宣教師の偉いひとバージョンみたいな感じ?
(なので予言者とは読みは同じだが意味は違う、とのこと)

モーセが追い出された古代エジプトから
約束の地カナン(今でいうパレスチナ)まで目指した
苦難の旅を通した説話の詳細は伏せるが
十戒だとか海が割れただとかいうので
よくは知らないひとでも
なんとなく聞いたことはあると思う。



なかひろ氏はおそらく
Keyが好きなんだろうなあ、とも思った。
じっくり見ていけば影響されてるのかな、と思う
描写や構成だったりするので。






○南雲岬ルート

大空部と学生会のマスコットかペット扱いの先輩
ほとんど気まぐれなねこだが興味あることに関しては
非常に鋭く頭の回転も速い子。

他ルートだと星見ルートでの岬が割合好み。

ペンテコステの日の出来事から始まる。
文雪が語った岬との付き合い初めの想い出から
勇飛が岬に興味を示し始めるのが岬ルートの流れ。

岬ルートだと副部長だった
勇飛がそのまま部長に昇格するようだ。

共通部分でもほのめかしてあった
岬の過去の秘密とトラウマがテーマ。

暴走しようとしつつなんだかんだで仲間思い。
一緒に仲間と触れて
はしゃいでいるのは、一人でいる寂しさの裏返し。
そんな彼女のシナリオは入り込みやすいルートになるだろう。
いろはルートよりよくつくってある印象は持った。

中盤は想い出づくりと称したサバイバルゲームという、ちと
妙な流れになるがまあ暗くはならないからいいか。
外丸君おもろいなあ。

子供と大人の境界線は、
きっと選択や意志を自分自身で
決めて実行することなのだと思う。
岬にとっては秋の選挙に出馬するか、しないか。
主人公を好きなのか、そうでないのか。
「逃げる」とかではなく、「選ぶ」必要がある。
そして選ぶことについては自立する上での責任が伴う。
いずれにせよ選ぶことは岬の義務なわけだ。

岬ルートの説話は
ノアの方舟で大洪水から船で逃れた人たちが
その後建設したバベルの塔について

バベルの塔はよく人の傲慢の戒めに使う言葉のイメージ
傲慢に怒った神が雷落として崩した、という風にも伝わっているが
(タロットカードの「塔」の絵はバベルの塔をイメージした、とある)
しかしもともとの旧約聖書の「創世記」には
神様がそれまで人が一つの言葉によって意思疎通して創り上げたものを
違う言葉を使うように創り変えたことによって
コミュニケーションが上手くいかなくなり
結果塔の建設を放棄した、という記述があるそうだ
(なぜ変えたのかには諸説ある、とある)

ノア先生曰く、コミュニケーションの不足で
人間が人間同士ばかりで意思疎通を図っていくあまり
本来の洪水から身を守る、という目的を伝え忘れ、
神への祈りを怠ったことにより傲慢だととられた、とおっしゃるが
私はそういう神様のほうもこのような感じで試練を図るのは
あまりに無情なのではないか、と考えるタイプのようで
(試練与える前に話し合わなかったのか、とか)
どうにこの説話自体には
個人的にはあんまり納得はしていないのだが

まあコミュニケーションの重要性を説く、という意味では
ひとつの解釈としては成り立つのかな、とも。
正解は人それぞれなのだろう。

いろはルートもそうだが
結ばれてから短めなのは難点かもなあ…。
もうちょっと萌え成分がほしい。
ま、岬に関してはオチは面白かったけど。





○夜咲星見ルート

大空部の心優しき荒事担当で剣道の達人。
月夜に日傘を振りかざす場面のCGはなかなか美しい。
日差しに弱い体質を持ち日傘が生命線な代わりに
雨が好きで雨の中だと安心できる、という子。
ヒカリ以外だと星見ルートのみ
普通の個別ルートくらいの時間はかかる。

話の導入部は
毎朝の星見の日課と朝稽古終了後に言われた
父からの一言から始まる。

心を鍛えることとは何か、そして
星見の心に持っているきれいなものだけでは
手に入らない、傷つけてでも手に入れるべきものとは何か。
それを考えはじめていくのがテーマ
その一環として
「恋を知らない彼女が恋という感情に気付くまで」というのも入る。

弁当つくったり健気な星見は愛らしくてよい。

しかしシナリオは岬やいろはと比べて
やや微妙な点が序盤から中盤まで占める。
指摘点が入る。



http://biannews.jugem.jp/?eid=355

由梨が力入れて説明してた
同性結婚うんぬんの知識は
少々違って覚えているものなのか、なかひろ氏のミスか。

現在は10カ国(これはwikiから)
そしてそれにプラスして
アメリカの州の一部で
同姓結婚は公的に認められている。
あとはそれに準じた形で
同姓カップルを認めている国がいくつか

日本人が外国での同姓結婚が可能になった、というのは
事実で2009年3月に改正されたらしい。自民政権のときだ。
そして実際にそれ使って結婚した、という人も
調べてみたらいた。詳細は書かないが。
私が見た記事は女性同士カップルではない、とだけ。

ついでに同性結婚については
キリスト教内でも喧々諤々と議論されてたり
賛成派と反対派で対立してたりいるっぽい。
人それぞれに解釈が
多種多様に生まれているわけだから複雑なのだ。
カトリックは本来同性愛には反対の立場のはずだが
カトリックの同性愛団体もあるとか…
国の法律では認めたことも
神の摂理や戒律は信者にとっては
その法で定める規則とは別なところに位置しているらしい。
宗教の戒律はときに法も越えてしまうこともある。

…要は、「5カ国しかない」わけじゃない。
ネタ元はどこを参考にしたかは
上記のURLだという
根拠はむろんないし不明ではあるのだが
いろいろもめていても
今はもうちょっと寛容にはなっているのかな。

もうひとつ
こういう時代ネタを含めると
どうも私は時代背景で考えてしまうので
もう少し微妙になる。
この作品、2009年や2010年設定では
曜日合っていないのは違いはない。
(2012年がうるう年でそれ以後の曜日が2日ずれるわけだから
2013年だと曜日が合う計算になる。つまり作品の設定は基本的に2013年の話になるように推測される)
つまりここでの由梨の場合
4年前の薀蓄を語っている、ということになるわけだ。
特にこの場面が星見視点だから
熱気に戸惑っているだけではすんでるし
それはそれで面白いのだが齟齬は生まれる、とも私的に思う。

同性愛関連の知識に詳しいのなら
もう少し現在の状況に目を向けましょう。
…細かいのかもしれないけど(苦笑

(日本でこれが議論されることは非常に難しい、と思う
夫婦別姓でさえ嫌う傾向だし)





夏目摩子はいろはルートの他ここでも登場
摩子は主人公のことが好きだったが一度振られた経験を持つ。
それはいろはルートからも伺わせた部分はあるが
ここではストレートに気持ちを出している…ように見える

ただこのルートは
実際のところ
誰も彼も大事な部分を隠して
話を進めようとしたり
様子見たりしているわけだから
変なところにミスリードがいってしまう。
やっかいなことだ。

勇飛がはっきりしないのはマイナス
共通や個別のほかの部分とは違い
ヒカリを失ってくすんだ状態のまま
進んでいってる感じなので
やってて戸惑うかと思われる。
…もうちょっと
しっかりしてくれ、とは思ったこと。
もどかしいというか
少々だらしないというか。
星見はともかく
主人公までウブすぎる印象を持った。

真相後に考えると意外ではあるのだが
人の想いはそんなにすっぱり
ふり切れるものでもないだろう。

星見ルートは
いろはルートの補完にもなっている。
選ばれなかった子が
その先新しい恋に燃えるのなら
心配はないわけだが。
いろはは彼女の項目でも書いたが
さすがに意気地なしじゃないのかこれ…

星見ルートの説話はアベルとカイン。
最初の人類とされるアダムとエヴァ(あるいはイブ)の子。
(旧約聖書『創世記』第4章記述)
人類最初の嘘はカインがアベルを
神の愛の寵愛を欲するあまり嫉妬から殺したときに
カインの行方を尋ねられたときに「知らない」と吐いた嘘。
しかし嘘はばれて重い罪を背負う。
私利私欲のための嘘と
他人の犠牲を神は許さない、ということ。

神によって禁じられているのは、
嫉妬することではなく
そのことによって
私利私欲のための嘘をついて、
他人を陥れることについてを
禁じているわけだ。

しかしこの作品にはいわゆる
本当の悪、といえる人物とは
あまり結びつかない。
ここでのノア先生の記述は
ほんのアクセント程度だろう。

実際のところ
一見危なっかしいようでいても
恋に気付きさえすれば、
星見は強い子だと思う。
立ち向かう勇気を知り、
好きな人と一緒に学ぶことの喜びを知る。

嫉妬すること自体は
必ずしも悪いことではない。
人間の住む世界では
なおさらごく当然の感情といえる。
受け入れた上で、
自分で勇気をもって決断できるなら
それは星見にとって
強さを得る証に成り得る。

ついでにカインに課した
重い罪というのは
エデンの東
(昔の映画のタイトルで名前くらいは聞いたことあるな)の
ノドという地に追放し、
カインの一族の末裔に至るまで
アベルを殺した罪を背負う、というもの。
カインを殺す、ということではなく
むしろ殺させないよう
神は人々にきつく伝え、
カインにそのための
刻印を施した…らしい。



いろは、岬、星見の3人の中では
一番萌えは感じられる。
ただこのルートいったいいくつ
調理器具壊してますか(笑

正直なところ長々と書いた上記部分より
終盤のほうが面白かった、と思う。

全体的にはただイマイチなシナリオなだけで
終わらなかったのは評価できるかな。
萌えはヒカリ以外だと
星見が一番よいと思う。てかやっぱりかわいい。


摩子に幸あれ。
未来はどうなるか分からないから面白い。

他ルートの星見は特には感想はなし。







ヒカリルートのはファンタジー混みの大仕掛け。
他ルートとはメタレベルで意味合いが違ってくる。

・ヒカリルート

言い換えるとヒカリ及び姫ルート。

記憶喪失で礼拝堂内に倒れていた少女。
主人公のアパートのルームメイトになる子
よくも悪くもヒカリがいて
一つの物語が成り立っていたことは実感した。
大空部リーダー。
性格は高潔で少し頑固。
ものすごくまっすぐで尽くしたがりの性質。
少しだけツンデレ。

勇飛と同居している間に
姫という小さな子と仲良しになる。

ルート入る前に記憶に関して分かること。

料理や家事はやったことなかったこと、
生粋のクリスチャンということ、
なんらかの贖罪をしたいらしいこと。
(そのことが大空部の設立につながる)
星見とは逆で雨を嫌っていたこと。

勇飛の教えた
オリジナルの紙ヒコーキを
ヒカリは何故か折れるということ。
これを教えたのは姫のみ。
だから、ヒカリと姫とは
なんらかで繋がることは示唆しているのか。

最初に逢ったときに発した
「お兄ちゃん」という言葉。
遭った記憶がないはずなのに、
なぜ「お兄ちゃん」なのか。

ノア先生は本当にヒカリのことを知らないのか。

他ルートでヒカリが去ったときの
「なんらかの契約」という部分も
示唆されてるように思う。

…さて、ルート感想。

ヒカリが関わるところは
クリスチャンらしく
たくさんのキリスト教関係のトピックスを交えて
効果的にルートを
示唆してあるのは伺える。

逆にお膳立てとなる
伏線がたくさんすぎるくらいあるので
どういう展開になるのかが
少し読みやすいユーザーはいるかもしれないこと。
そういう欠点はあるが…

ただ、2人の距離感の
描き方のもどかしさ加減はよい。
共通からの同居生活を
じっくり見ていくのは楽しい。
このルートは分量が多く
宗教関係抜きでもかなり楽しめるとは思う。

大空部への事案もこみなら…ともおもったが、
そこまで入れると
ごちゃごちゃしすぎるかもしれないから
仕方ないのか。

興味深いところを挙げると
ヒカリがペンテコステ礼拝のときに
話していた「洪水に流される夢」というものはある。

ヒカリはお風呂で
身体を清めるのは好きだが
流れるプールや雨に関して恐れを抱き
そういう経験を記憶して
こういう夢を見るに至った、とも取れるが

彼女自身はクリスチャンらしい視点で
大洪水=ノアの方舟、をイメージしていた

「水はキリスト教での破壊と再生の象徴」とヒカリはいうが、
言い換えると事態がよくも悪くも激しく動くということの
暗示でもあるわけだ。

…夢占いだとこの夢は
自分の感情について
上手くコントロールができないということ
(精神的に揺れ動いている状態)を指すそうだ。
勇飛へのその時点での想いも示唆してある。

2人の関係の、ひとつの転機といえる
サインともとれる。
♯もうひとつ、身体の変調のサイン
(風邪とか、あるいはこの場合は記憶に関してか)という意味もある。

いろんな感情や記憶やあるいは
予知までもが合わさって
この夢は生まれている、といえそうだ。

ヒカリルートは
過去の「贖罪」がテーマ。


ヒカリルートの説話は伝道の書より。
これは『コヘレトの言葉』という旧約聖書の一文献から。

ひとつは、

<1:2伝道者は言う、空の空、空の空、いっさいは空である。
1:9先にあったことは、また後にもある、先になされた事は、また後にもなされる。日の下には新しいものはない。
1:10「見よ、これは新しいものだ」と言われるものがあるか、それはわれわれの前にあった世々に、すでにあったものである。>

というもの。

かつて起きたことは、将来にわたっても繰り返される。
それはアダムとエヴァから受け継がれる原罪-知恵のよる功罪-だとノア先生は諭す。

(アダムとエヴァの原罪とは知恵の実を食べエデンを追放されたことについて。
禁断の果実といわれるのは知識の木に成る果実のこと。
エデンに成る果実は生命の木と知識の木。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%81%E6%96%AD%E3%81%AE%E6%9E%9C%E5%AE%9F
ついでにアダムとエヴァの原罪について調べてみたら面白い解釈があった。
↓まあ…本来はエヴァンゲリオンのモチーフになっているものに関連した質問らしいがそっちは語れるほど知らないのでパス。
ただエヴァンゲリオンというのは福音、wikiだと「勝利の伝令のような戦争の勝利や出産など、喜ばしいことを伝える手紙」という意味。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1444064004 ここまで余談)

知恵を持つことは
同時に退屈や無感動など苦しみをも持つことであり、
無知であることは
未来に差す光を、素直な気持ちで受け取ることができる。

人間が知恵をつけたことによって
神に近づくのはやはり傲慢だと考え
上下関係を厳しくつくったところはずっと同じか。
しかし、死の定めや大洪水を起こすと同時に希望の種も残した。

…創世記ってシムアースにも通じるなあ、と。

ヒカリグランドのほうに
その説話の続きがある。
そっちは苦労することについてと
自由な意志を持つことについてを説いている。

<あなたがたのうち、だれが思いわずらったからとて、自分の寿命をわずかでも延ばすことができようか。>
<だから、あすのことを思いわずらうな。あすのことは、あす自身が思いわずらうであろう。一日の苦労は、その日一日だけで十分である。>
(「マタイによる福音書」6:27及び6:34)

(後で調べてみたらCarpe diemというラテン語で検索するとより詳しく載っていた。
ちなみに「その日を摘め」という意味)

人に自由な意志を持たせることを推奨したのは
私には神の側のほうでも上下関係を律で定めた上で
また人の世を作るうえでの
神と人との理想の形、関係になるように
模索したから、と取れる。

もうひとつ、正しきことのために意志を持って行動するのなら、
神様はその行いを許してくれるということらしい。

さて、説話や聖書の引用は
ほかにも結構あったが
これらがいったい
どういうところにつながっていくのかというと…





ヒカリルートは最後を指示する。(推奨より強め)
それ以外でやると
非常に…え?ここで?という箇所で終わるので。

このルートは
勇飛と姫との関係にも触れられる。

…そして、ヒカリは6月の雨の夜、
全ての記憶と、自分の存在とはなんだったのかを想い出す。





・「ひかりグランド」の物語

全ての伏線が明かされるルート。

最初とかでギブするならともかく
4人のエンド見たあとでは
さすがに見ないのは微妙だろう。
ヒカリルートの本題的な部分。

ファンタジー混みの物語。
これもキリスト教題材に基づいたものとなる。

破綻は今回はそうない。
ユダ先生まで記憶してたなら
かなり記憶力に関してはいいように思う。

…それにしてもだ。
ここに出てくる「全知全能の神様」とは、
ずいぶんと気まぐれな神様だ。
苦難を与え、そのくせ
絶望だけではなく
少しの希望までも与える。
何かを生け贄にして
運ぶのが「ノアの方舟」か。
そんな気まぐれゆえに
この話は成り立つわけだけど。

この作品で一番不快なのは
目に見えないもの、つまり神様である。
今回のレビュー、キリスト教に関していろいろ(ていうか結構過剰にあえて)書いているし
トピックスとしてとらえるのは面白いのだが
キリスト教の信者には理解はしてもなりたくまではないな。

ヒカリの想いの強さはこちらの胸に響く。
…そこまで強い想いがあったなら
他の子の誰もかなうわけないな、とは納得させられるかと思う。

自分の持っている正しい心を「分け与える」
(キリスト教だとアガペーという。キリスト教でいう一般的な愛、言い換えると隣人愛とかボランティアの意味)存在から
「強く好きな人(主人公)を求める」
(エロス、という言葉のたぶん本来の意味でくくる。男女関係の愛や肉体関係混みの愛をそう定義する)感情への変化は、
自分中心的へとなっていく変化なのだが、
人は愛すると変わるものだな、ということの証だ。
愛するから不安になり、
いつもいっしょにいたい、
何も奪われたくないと思う。

これは星見ルートでもいえる話。
本質的にはヒカリと星見は似ていると思った。
どこまでもまっすぐで純粋な点。

わざわざOP映像まで
新しく用意してたのにはちょっと驚いた。
こっちのはヒカリオンリーのシーン編集で
構成されていて、最初のより出来がいい。

あとはあまり書かず伏せとく。

ひとつ書く。
ループじゃないともいえるし
ループでもある、ともいえるような。

特にヒカリに関わるところの話は
「楽しい」という意味での面白い、ではなく
「興味」という意味での面白さがあるかと思う。
いわゆる「高尚な知識及び会話」の範疇に入る。
しかし、とっつきにくさは
エロゲでは特に損をする傾向にある。
人を選ぶ、という理由になる。
…異宗教は理屈だけではなくて
まず若干の寛容を必要とするからなあ。

補足。

『恋の悩みほど甘いものはなく、
恋の嘆きほど楽しいものはなく、
恋の苦しみほど嬉しいものはなく、
恋に死ぬほど幸福なことはない』

アルントという、ドイツの詩人・小説家の格言。検索すればすぐ出るけれど。

http://meigen.shiawasehp.net/a/e-arndt01.html

『愛する者のために死んだ故に彼は幸福だったのではなく、
彼は幸福であった故に愛する者のために死ぬる力を有したのである』

というのは、三木清という哲学者の格言によるもの。
西洋哲学の分野で数々の著作を残したらしい。

哲学めいたところになると
ロゴス(思想、論理といった類のものみたいだが)やら
出てきてもほぼ分からんし
「分かったからどうなんだ」というのは
あるかもしれんが
(この物語やレビューに関してもそうかもしれんが)、ネタ元として。

http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/nittetsu/guidance/philosophers/miki_guidance.html

ノア先生やユダ先生に物心がついていない、とは
果たしてどういう状態を指してたのだろうか。
若干理解しきれていないところはあるが…。


すべて終わってから「青空の約束」を聴くと沁みる。はまりすぎ。


・アフターストーリー(おまけシナリオ)

アフターストーリーの数は6つ。
ヒロイン4人のほか学生会関係ののミニシナリオがある

数はごく短いものだが見ておくべき。特にヒカリ。

・学生会の絆は文雪視点の物語、30分強。これはまあよかったのだが

・最後のおまけH1回は栄原鏡香。
これは、なんで入れたのかやや疑問。
サービスのつもりなら非常に中途半端。胸は出してほしかった…。
「鏡香の恋」とあるがそもそも夢オチだし
これ、彼女は恋愛には向かないというのを強調しただけではないか…。

鏡香のタイプはクリスチャンとしても武道家としても
求道者みたいな立ち振る舞いだけど
自分を持ちすぎているようで
異性のタイプから見てどうも可愛げがない。
そこが彼女の特性であり欠点。
欠点がないのが欠点ということになる。
あってもなくてもいいよ…という感じに。
出すならもうちょいきちんとやってください…。

見終わったらもうちょい修正しますが。

お気に入り順(総合順)

ヒカリ(ヒカリグランド含む)>>>岬>星見>>>いろは

いろはのルート自体は悪くなかったのだが
星見ルートで減点となった
しゃしゃり出てきていちいち邪魔してくるのも微妙だが
あからさまに引いて臆病故に譲ってしまうのもちょっとね…
このへんのバランスは難しいかもだけど。







以上で作品の感想と評価については
とりあえず終わりです…
誤字とか指摘事項あれば対応する方向で。

一旦書いてしまうとどう着地点つけたものか難しい。

マルセルさんなみの非常に長い文ですが、
残念ながらユーモアというか読ませることに関しては
まったく及んでいないのは承知です。
自分なりのレビュー、という意味では一応書いたとは思うけど
さてどこまで伝わるやら。

以後、非常に長い余白部分。
この部分は興味ある人のみどうぞ…。

























◎非常に長い余白

ここから非常に長い余白部分。
なんじゃそりゃ、という方のために書けば
正直なところ読み飛ばしてかまわない部分でもある。
雑記メモみたいな感じ。

知識として学ぶつもりで主にWiki
(もちろん、個人が編集しているという性質のため違っている可能性もあることは承知なのだが)と
主にキリストに関連したいろんなサイトを見ていてそれに
作品と関連しそうなところやら
そこからの推測やら自分なりの考えやら書いてみた。
結果的にレビューが非常に長くなってしまったことは
改めてお詫び申し上げます

ネットって検索する分には非常に便利だ。
ただネットで検索できないことに関すると非常に難しくなるけど。
特に神学ってちょっとだけ調べようとしただけでも
底なし沼みたいにいろいろなワードが絡み付いているな…ていうのは
実感させられた。

解釈はそれぞれ自由にあるので
これが正しい、というつもりはないことはおことわりします
つーかおごがましいからなあ。
こんな拙文押し付けにはしたくないし
…ぶっちゃけ書いてるのってような調べてみると
私的には面白かったということ、それだけなので…。

なんていうか、どうまとめたものか
着地点は今も見えてないように思う。
だから余白という項目の形にした次第。

正直エロゲがきっかけで
宗教について学んでみる、というのも
妙な話なのだと思う(苦笑
…別に没頭するほど傾けたいわけじゃないし
信者面したいわけではない。
神様とはなんなのかな、というのは
ずっと?としてはあったからだ。

論文だったら調べてみたことで
どうなったのかみたいな結論はあるんだろうが
そんな大層な頭してないし無意味だとは思うし。
正直調べた後でもそれほどよくは分からないし(苦笑
だからこれ書いた後も探求は続く。
少しだけ自分なりの答えらしきもの、は出てきたけど。

ただ知識を得ることを放棄するよりは
それがどんなものであれ覚えてみることが
自分にとってなんらかの糧にはなることは信じる。

聖書にもこういう言葉はあることだし。

Ask, and it will be given to you; seek, and you will find;
knock, and it will be opened to you.
(New American Standard Bible)

<求めなさい、そうすれば与えられます。
探しなさい、そうすれば見つかります。
たたきなさい、そうすれば開きなさい。>
(マタイ7:7)

この物語の場合
あるていどテキスト説明はあるものの
たぶんテキストの裏になっていそうなところを
まとめてみた方が
整理がついてわかりやすいかも、とも思う。
まあ、この作品が基本的に魅力のある素材だと
思ったからこそ多少の部分で調べてみたわけだ。

結果として?の部分はちょっとだけ薄れたような気はする。
その点は収穫といえばそうなのかな。


得た知識とかそこから受け取った解釈が間違ってたら対応かけます。
…なんせほんのにわか勉強で断定できる事項が少ないので。

ゲーム自体の評価とは別にしてあるつもり。
自分で調べたもので肉付けしたのを含めて
点高くするのは妙な話だし。










・前置き

さて、教会やキリスト教と聞いて思い浮かべるものは何か。

私はそれらはごく身近にあるので普段はそう気にしないが
実際は日本人にとって「異界」と聞いて思い浮かべる
身近なものの一つであり、
キリスト教は身近にある「異文化」ともいえる。

歴史を振り返れば
それまでの自分たちの生活や文化とは
まったく異なる概念であることを
ある人は受け入れ
ある人は畏怖しある人は拒絶し
それ自体が時の権力者によって
忌避として捉えられ激しく弾圧されたりもしながら

明治文化によって
(正確には明治6年2月24日の禁制高令の撤去で
キリスト教が合法的に宗教として認められてから)
教会が全国に建てられたりして今の形態へと至る

そんな身近にありながら
一般人たる私達はよくは知らない、しかし
信者は全世界で億単位という
(2006年現在で約21億人いるらしい。地球の人口の約3分の1はキリスト教の信者のようだ)
それが日本におけるキリスト教の位置のようだ。

古来仏教徒やそうでなくても
仏教や日本古来の神道のほうにかかわりのある
(仮に無神論者と名乗ってても仏教の形式はたいていの家では受け継いでいるはず。
主に坊さん呼んでお経あげたり墓参りのときとか)
私たち日本人には大小の差があれど
異教の教えに違和感があることだろう。
実際完全に理解することは信者になりたい人以外では
(個人的な意見として)ちょっと無理あるような気はする

日本は外国文化は積極的に明治以降取り入れているが
宗教観まで変えるほど取り入れている人は多くない。

日本のキリスト教信者人口は
昔も今も全人口の0.5%~1%以下と変わっていないらしい。
明治以降からも信者とみなされた人が殺されたりもしたり
教会へ暴徒が押し寄せたりもあったところから
迫害は残っていた、と考えるのは自然かと思う
そのことを日本人の独自性を解く
一つの鍵になるかもしれない、と推測している記述なども拝見した。
そこにはキリスト教=私たち日本人にとって
相容れぬ何かである、という捉え方をしている。
それは論理を超えた本能から来ているのかもしれない。

信教の自由が本当の意味で確立されたのは戦後になってからで
今も入るとなると抵抗感はある人は非常に多いはずだ。
ていうか私もそうなのだが。

ただ、キリスト教を信仰するわけではなくとも
キリスト教に影響された文化様式は
今日私たちに大きな影響を与えて様々な場所や形で紹介され、
受け入れられていることは違いない。
西洋絵画しかり、建築様式しかり、
クラシックなどの音楽しかり教会結婚式しかり…
小説しかり、もっと砕けたところだとゲームしかり、アニメしかり…

さまざまな文化を許容し、あるいはそこからさらに
日本独自のアレンジを加えたものを今日世界中へ発信できたことも
日本人の特性には違いはない。

キリスト教を入信とは別に理解しようとすること自体は
悪ではないように思う。以下にちょっとだけまとめてみる。




・キリスト教について

キリスト教はなんで生まれたとかは↓を参照したほうが早いかな。

http://hccweb1.bai.ne.jp/kura/kirisuto/qa1.htm

http://hccweb1.bai.ne.jp/kura/index.htm

ユダヤ、キリスト、イスラムと元の根は一緒なのは初めて知った。
神様の名前が「ヤハウェ」で記されていることは
ゲームにちらっと出てきたので書く。
ちなみにユダヤ教の神様の名前である。

キリスト教はユダヤ教からの派生で生まれた。
(キリスト教も一種のカルト、という見方もある。
無神論者寄りのほうの見方かもしれない)

十の戒律の中では神の名を口にすることを禁じている
(十戒に3番または2番で神の名を徒らに取り上げてはならないことが書かれている)ので
代わりに「主」という言い回しをするのだそうだ。

そこのもとのサイトにはキリスト教についての
簡単豆知識が分かりやすく結構載ってて
へえ、と思ったのでもしよかったらどうぞ。

もうひとつ、実際の教会のページ。
イースターやペンテコステ礼拝については↓ここで。

http://www.sengawac.com/pente.html



・サクラメントについて

さて、作品タイトルのうち「サクラメント」とはwikiには
「神の見えない恩寵を具体的に見える形で表すこと、を指し
それはキリスト教における様々な儀式の形で表されている」のだそうだ。

カトリックではサクラメントを日本流には「秘跡」と称する。
…主人公勇飛とヒカリが住むことになるアパートの名前でもある。

カトリックで考えれば
洗礼、聖体、婚姻、叙階、堅信、告解、終油という7つを
秘跡と称するらしい。それぞれの意味の一つ一つは略。

ただこのうちの「告解」
(罪の赦しを得るのに必要な儀礼や、告白といった行為をいうそうな。つまり懺悔のこと)が
大空部活動にも通じること、と思われる。
ヒカリは悩みを解決すると十字を切りながら「願わくば…」と続け
それを儀式の終了の合図としたのはこうした儀式の一環なわけだ。

代表的な流派の違いを見ていくと
東方正教会は基本的にはカトリックが基調となるのだが
こちらはカトリックにある
7つの定義よりも更に広く定義しようとしている向きはある。

カトリックの秘跡は
東方正教会では日本語流には「機密」と称する。
wikiには、
「より広い意味での機密の概念には、神による救いの計画、福音、神の国、教会が含まれる。
広義においては、教会自体が神と神の民との神秘的結合体であり、機密の場であるとされる」とある。

教会の儀式にきちんと来て神様と接してくれた段階で
全ての人を歓迎しますよ、という感じになるのだろうか。
ただし東方正教会では
ミスティリオン(ミュステーリオン)もしくは機密と呼び
サクラメントという名称では呼ばない。…なんかややこしい。

ちなみにミスティリオンはギリシャ語表記だが
英語表記だとMistery(ミステリー)となる。
謎、不可思議なことと訳す
この言葉の語源がミスティリオンである。
「ミステリー」はもともとは神聖なところから来ている言葉くらいは
調べる以前にもなんとなく聞いたことはあったが、改めて考えてみると
この世に散らばる謎や不可思議なもの(オーパーツとかもそうだ)、とは
それらが全てとはいわないが
いくつかについては神様の起こした所業であり
奇跡、ともいえそうではある。
…根拠はない。
ただそのほうが夢があっていい。

「奇跡」とは、人智を超えた場所にある出来事とか、不思議な出来事のこと。
聖書ではそう呼ばずに神の力とかしるしとか驚きとかで
呼ばれる事象のことである。

プロテスタントでは
洗礼(バプテスマ)と聖餐の2つのみを
サクラメント(日本語だと「礼典」と称する)とし
「告解」は位置づけていないそうだ。

聖公会というのもあって聖公会はカトリック同様に
7つの儀式をサクラメントとして行うが、
イエスキリストの定めは洗礼と聖餐のみに限定している
(日本流だと「聖奠」<せいてん>と称する)
残り5つは聖霊の導きにより
教会が行ってきた式である、としているらしい。
…たぶん、格が一段階下にある、と考えればいいのだろう。

…いい加減きりないのでこのへんで置いといて。

サクラメントの有無や解釈はさまざまなれど
キリスト教関係の儀式でこの名称が用いられる、とだけ
頭に留めておけば正解には近づくはず。




・入信について

勇飛の入信に至るまでの考え方はごく自然なのかな、と

まあ、住むことになるアパートの入居の条件とかあったので
実質選択肢はなかったわけだが
宗教の入信理由はなんとなくからでもいいわけである。
ここの場合は金取らないことも
教会のバイト代がでるということも一つの理由だろうし。
実際のところ理由は大してないけど親が入ってるしその流れで、
とかなんとなく興味あったのでーとかいうの結構ザラにいる。
そういう救いの手やら興味やらで入って見て
間違った方向に向かってしまったのがカルト宗教やらになるわけだが、
救いを求めることや興味を持つこと自体はごく当然の想いなのだろう。
人は、みんながみんなそんなに強くはないし
そう深くも考える必要もないので。
決めたのは誘導ではなく勇飛自身の意志によるものだ。
…こういうことをなんで思うかはすいませんが
自分自身のことも若干入っているので略します





・この教会の流派についての想像メモ

作品中の教会の流派は「中道」ということを掲げている。

検索かけると聖公会でその言葉が垣間見える。
聖公会の中でも色々流派はあるようだが、
「中道」は元はプロテスタントでありながら、
カトリックの教えをも受け継いで
多種多様の考えを持つ人を許容していることが見て取れる。

プロテスタントとカトリックとのバイブリッドに
さらにアレンジ加えてこうなってるっぽいが…
聖公会ともちょっと違うようで。…とはいっても聖公会の中でも流派は色々ある。
特定はなかなかしづらい。
しかし、とりあえずクリスチャン以外の人でも参加しやすいように
取り計らっている、とは考えていいのだろう。
(ノア先生とユダ先生とでは立場的にはノアのほうが上ではあるわけだね)

作品中でミサと呼んでいるのも便宜上、ということらしい。

カトリックや正教会や聖公会などでは
洗礼の際に洗礼名がつくのが主流のようだが
(新聞の葬儀広告欄で洗礼名+自分の名前がつくのを見たことはある)
作品中では特にそういう描写はなかった。
この辺はプロテスタントでは
つけないところが多い、とのことなのでそっちの影響だろうか。
あるいは伏せられているかもしれないが。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E5%9B%BD%E6%95%99%E4%BC%9A

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%81%96%E5%85%AC%E4%BC%9A

作品の中では勧誘や押し付けがましさは
さほど感じなかったように見える。

…お金取るわけじゃないにしろ
(とはいえ間接的には新聞やら本やらで搾取するが…)これなら
某宗教法人Sの勧誘よりかは少なくてもマシには思える。
あっちは正直なところ仏に願えばよいのか僧を拝めばよいのか
説いてる先駆者や現××会長(一部自主規制)を敬うのが
主体なのかよく分からんかった。
(もしそちらの信者の方いたらごめんなさい)
まあ、私自身は改宗する気も必要も
今のところはないけど。


・ロザリオについて

このロザリオを使うのはカトリックが大体である。ほかだとチョトキとかあるようだ。
聖公会ではhttp://www.nskk.org/hokkaido/sapporo-christ/rozario/rozario.htmというのも考案されている。

作中のはカトリックのものっぽい。
…いずれにせよ首にかけて電流流されるのは嫌だ(苦笑



・クリスチャンの恋愛について少し

キリスト教においての愛というのはこんなふうに分けて考えられている。(wikiより)

「エロス」 肉体的な愛。主に男女関係の愛。対象の価値を求める愛。自分本位の愛。見返りを求める愛。
「ストルゲー」 従う愛。尊敬を含む愛。親子関係や師弟関係にある愛。
「フィーリア」 友情愛。自分を与えることで他人を生かす愛。
「アガペー」 無条件の愛。万人に平等な愛。神が私達に与える愛。見返りを求めない愛。キリスト教でいう一般的な「愛」。

まあしかし、一言でいえばそれこそ解釈は人ぞれぞれなんだなあ、ということ。
議論は色々されているが答えは万人にあるようで。



モーセの十戒のうちの「汝姦淫することなかれ」とは
私は不倫のことと聞いたのだが
人により婚前交渉(セックス)が戒律に背くかどうかの解釈も
いろいろ分かれているようでどうも多種多様といえる。

結婚するまで処女でいることこそ美徳である、という人も無論いる。
なので、婚前交渉は不品行に含まれるので禁じている、と主張するもの。

かと思えば本当に愛し合っているのだとしたなら
婚前にセックスすることは戒律破りには当たらない、という解釈の人もいる。
神父様が婚前交渉を禁止したとは明言していない、という主張もあるようなのだ。

いずれにせよ、そこには「本当に好きな人を大事にするなら」という前提がある。
あとは個人次第。
かなくなに禁じていても相手のことを信じているなら
そのバリアは崩れるのかもしれない。
パートナー同士の相互理解が大事になることは間違いなさそう。

「姦淫するなかれ」がなぜ悪いかについては
姦淫が夫婦の間の善き仲や家庭(ホーム)を破壊するもの、とされるからという解釈の論文がある。ホーム、つまり家には神が宿るのだと。
(宗教家内村鑑三氏の文からみた解釈を読んだ)

婚前交渉についての記述は見た限りだが書いてなかったように思う。

戒律は必ず守らなければならないもの、と信じている一方で
柔軟に変われるものでもある。
…こう書くとなんじゃそりゃ、となるが別に
特定の宗教団体に深く属しているわけでもない限りこれは一種の目安としての
ルールに過ぎないのかもしれない。

ごく普通の、クリスチャンにとってこれは
清く正しく生きるためのバリアになりうるもの、といえるのではないかな…と考える。


↓こっちのサイトは興味深い。これを傲慢と思うのか、大事にしようと思うかで信仰度は分かれるかも。少なくとも、ヒカリルートの部分にもリンクしている。

http://blog.goo.ne.jp/eliyah/e/d31388e4a56ae98fa8b96ab39340beef


・原罪について

原罪は人が生まれながらの本能によってなされる罪のこと。
殺人、傷害、強姦、強盗関係。
セックス、というのも原罪には含まれるが
原罪がそれそのものとは言いがたい面はあるようだ。
(「創世記」からの解釈による)

神が最初につくったのはアダム。神の姿を模してつくったとされる。
エヴァはアダムの肋骨から作り出された、不完全な存在と称される。

最初の人類アダムとエヴァが知恵の実を含んだとき
エヴァは狡猾な蛇(リリトとかリリスともいうが)に誘惑されそそのかされ、自分が食べるのと同時にアダムにも食べさせた…そのことは少し書いた。

男性にとって女性は「神の掟を最初に破った者、神の像である男をそそのかし、いともたやすく罪を犯させた者」 として解釈し、女性を憎み恐れる存在として唱え続けた…
これは2世紀あたりから中世へのヨーロッパに広く出回った布教の教えである。
こっちのサイトに詳しい。

http://www.geocities.jp/etranger_plus/glim2.html

さてこれによると女性はエヴァかマリアかといわれた。
理想像としてマリア様を掲げている。

だが、実際のところ子種は当然というか、セックスなしには生まれないものだ。
(特殊な例として現代だと試験管ベビーなどあるけどそれはそれで忌避事項に思うひともいるわけで)
神の遣いの天使から受胎告知(つまり処女懐胎という)された
女性の例は見る限りいたためしはないからね。

女性はすべてエヴァ、アダムを陥れたものとして
掲げられ近代まで差別の対象になったりもした。
「人権」という言葉が比較的よく確立した現代で考えると
化石のような教えにも思うけども。

…セックスが悪とキリスト教は唱えながら
実際はセックスなしには生まれない、というのとか
隣人愛をときながら一方で差別したりするのとかも矛盾しているよなあ、と思える。
しかし、そうした矛盾を抱えながら生きてるのも人間の宿命なのかもしれない。




本編ではヒカリが誘惑しているシーンがあるが
それはきれいなものだけではない、
知恵の実を口にし汚れた部分まで全部受け入れた変化の証。
どんなに清く正しく生きていこう、それに近づいていこうとも、
女性は聖母マリア様そのもののようにはたぶんなれないのだ。
(もし本当にそのものに近づきたいのであれば男性と交渉を持たずに生きるなどになる。修道院とかは格好の場所でもある。外の世界自体が「誘惑する蛇」ともいえるし)

自分の今持っている心を優先し大事にしたことで
ヒカリが持っていたバリアは消えたことになる。



・自分なりの宗教や神様への考え

私は仏教徒であるが
(あえて書けば家の流れでは禅宗。禅組めない、ていうか組もうとしたら足痛くてダメだったけど)
意識はさほどしていないし
たぶんごく一般の目線で見れる…のかな。

結局のところ、迷える子羊も信者の人も
神の教えを説く側も嫌う側もどれも等しく人間なのだ、と考える。

完全な人なんて
仮に信者であろうと当然ながら誰もいない。
嫌な面も当然見せられるわけだし。
神の行いをもとにして正しいと思って行為を働いたことが
理解を得られなかったりいろいろなやっかみで見られることはありうる。

ただ、ひとりひとりが理性を持って
節度ある生活をおくるように努力しようと思うとき。
そこに人が神を見だし、迷いなく行為を行えると信じる。
そのことに対して異論は挟むことはできない。
もしも人が本当に救われるのなら
それはそれでよいのだろう、
ただしそれは一般的日本人の視点において
正しいことに限るが。

私は都合のいいとき、必要なときに神に祈るだけでも
神様のことは無視してはいないと考えている。
「困ったときの神頼み」という言葉もある。
まあ、実効のほどはむろんその人次第なわけだし
絶えない努力によって運がいい方向に振り向くものではあるが。

きっと、時代は変わったとしても
神様の存在はそんなに忘れることはなく
許容する人々の心には教えが根付いて
あるいは受け継がれてどんな宗教であれ、程度であれ
信仰され続けてゆくものであるのだ。

…要は自分と関係ないからといって
それを信じるものを馬鹿にはできない、ということ。
必要としていて、あるいは救われたいと願う人のために
神様や仏様、宗教は存在する。

私は宗教や神様に対しては深く信じるわけではなく、声高く反対するわけでもなく、
理性を持ってとらえたいな、と思う。





むろん見聞きした中では受け入れられないものもいっぱいある。

某宗教団体Eみたいなのはついてけない
(輸血禁じてるから…で分かる人もいそうだが)し
厳格なのは

アメリカのアーミッシュとか
(アメリカの古き時代の生活様式を守り自給自足で生活する人たち。
彼らには厳しい戒律があり破るとコミュニティから絶縁され追い出される、という掟がある。)

ギリシャのアトス山修道院群での生活風景
(半島の南側に標高2000メートル超にもなるアトス山を抱え海から見ると非常に急峻な崖の上に聳え立つそこは
修道院による自治国家として治外法権が認められている場所で女人は中世から今に至るまで禁制の
典院(司祭)や修道士が祈りを捧げ神に仕え労働しながら共同生活することのみを追求する、
東方キリスト教の秘められた聖地と称される場所。世界遺産登録。これはなんかの本で出てきたものをたまたま覚えていた。
電気は近年引かれていて通信手段もあるとか、ただし観光客はほぼ入国は不可能とみていい)

とか

http://park8.wakwak.com/~kasa/Religion/scopti.html

とか

各種カルト教団の話とかいろいろ見てみたのだけど

いつの時代も狂信はあるものかと思う

神の解釈というのは考え方ひとつで
とんでもないことにもなりうる、ということ。
行為を迷いなく行えるということは、
メリットとも取れるし、
ある意味では恐ろしいことにもなる。

純粋さはそれはそれで諸刃の剣だ。
何色にでも染まれるのだから。

いきすぎた知恵を持つことは確かに罪なのかもしれない。
しかし、知識を得て理性を持った上で
何かを受け入れたり発信することは
同時にひとの持ちうるひとつの権利でもあるはずだ。

迷惑かけない範囲でならやるのは勝手ではあるが、
こっちまで巻き込まないでくれ、とは書きたい。

それ以前に信者が押し付けがましいのはそれは本当にうざったいので。



・その他色々

聖書の創世記の時系列。あらためて見ると話としては面白い。
これ見て大体あてはめればどういうつながりなのかは少しは分かる。

http://ja.wikisource.org/wiki/%E5%89%B5%E4%B8%96%E8%A8%98(%E5%8F%A3%E8%AA%9E%E8%A8%B3)

あと物心について分かるような分からないような宗教別な捉え方。
じゃあ「物心を持ってない」というのは、いったいどういうことなんだろう。
人間ではない、ということ?

http://www2.biglobe.ne.jp/~remnant/bukkyokirisuto15.htm

・グライダーは練習飛行という名目で許可証発行した上なら14歳から乗れる、とのこと。
免許取って、ってのはちょっと微妙。まあ年齢一応ぼかしてはいるけど(苦笑
でも進路が大学って描写あるからな…。

・バイトってのは微妙なところだろう。
推定年齢×学に通う年齢でもできなくはないが、
バレたらいろんなところに迷惑がかかるからなあ。
労働基準法に基づいて法で定められているため
できなくなっているところが多い、とだけ書けばいいか。
雇ってもらえる場合(新聞配達など)、親または保護者の承諾が必要となる。
不法バイトというパターンもあるが…。

・推定年齢×学で航空部って結構珍しいかもしれない。
ないとは書かないが探してもほとんどなかった。

・風邪薬から○○○の生成方法は裏サイトどころか
検索サイトで検索かけただけですぐに見つかることが判明。情報通信社会の闇の部分だなこれ…
以下は映画「SPUN」予告編。

http://www.youtube.com/watch?v=lrWD1kVi0ME

価格抜きで考えれば小学生でも簡単にできるって感じに記述があるのは
そうなのかもしれない(調べようがないことだ)、が
リスクも大きいのではないか、ということ。
それ以前に。
○○○○○は絶対にやめましょう。
…ていうかそんなに簡単に検索かけたら
載ってるほうがおかしいのだが。

調べてみたら実際に外国人が風邪薬からそれをつくった例はある
…よくないことかと思うのでソースは伏せます。









・ようやく終わり

最後に理想の神はどこにいるのか、と問いかける。
私は、たぶん、人の良識の中にあるのだろう、と考える。

神の存在を、理性(推論)によって
導出する手順というのはあるらしい(神の存在証明)が
そんな難しいことをひねって考えてるのも根本的なところでは
その人の思考の中に神様は確かにいて
どこかできちんと見守っている、と信じているからだ。

…文雪とノアの会話ってのも
そういうことなのではないだろうか。
人が思考し、あるいは表現する中に人が望む「神様」が生み出され、
考える人が一切滅んでいなくなったとき、
神様は滅び、幻想に彩られた歴史は終わるということ。

そんな私たちへは生きている間
様々な喜びや楽しみも与えてくれると同時に
時に無力さをつきつけ、徹底的に無慈悲な事実をも突きつける。
その災害や事故の数々までが
私個人は神がおこしたものだとは考えたくはないが
掲げる理想の神の像と現実におこっている出来事とは
やっぱりかけはなれているようにも思う。

それでも。どんなに悲しいことがおこったとしても、
変えられる可能性はあるのは未来だけ。

…せめてうちのめされても
そんな今日より明日が少しでもよくなりますように。
そして小さくもささやかな一人一人の力が、たくさん
集まってそこに恵みを少しでも多く見出せますように。

それが、希望につながるのだと思う。
理想の神様というのがもし入る余地があるなら、そこくらいなのかと思う。

人の思考のなかに神などいない、と考えるのも
ごく自然な摂理なのだと考える。
千年王国なんか人が捜し求める「理想郷」の形にしかすぎない。
ただそれを少しでも思い求めようとする、気持ちこそが尊い。

神の名に抵抗あるなら別に神じゃなくてもいい。
人の力で諦めず前に出ることが大事なんだろう、と。

それが未来を創ることにつながる。

…そんなメッセージなのかな、と思った。







…こんなところです。

こんな戯言というか半分メモにここまで読んでくれた
ユーザーの方々がもしもいたなら本当にお疲れ様でした。
どうか、光あれ。

以上感想及び色々なメモ終わり。