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Weather reportさんの春色桜瀬の長文感想

ユーザー
Weather report
ゲーム
春色桜瀬
ブランド
Purple software
得点
66
参照数
744

一言コメント

PLAY時間は39時間15分 中だるみ感はあるが不快よりは退屈のほうがマシ。ただ、ほぼ全ルートにある余計な展開はいらなかったような気がする。あとこのはが個人的に非常にかわいい故になんか歯がゆい。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

咲かない桜に価値があると思う?












○あらすじ

---恋桜
学園に伝わる、一つの噂
その桜の木の下でであった男女は、運命的な恋に落ちるという
主人公、沖田陸にとって、それは特に興味もない、どうでもいい内容だった

そして、季節は春
入学式前に様子を見ておきたいという妹・綾乃にせがまれ足を運んだ学園
満開に咲き誇る桜の木の下で、陸は一人の少女と出会う

どこか不思議な雰囲気をまとったその少女は、陸に思いもよらない言葉を投げかける

「きっと、君は私に恋をするよ」

---恋桜
ただの噂だと思っていた物語が、この時から静かに動き出した







内容は典型的な萌えゲータイプの作品

萌えだけ考えるならある程度及第点なんじゃないかな、と思う
このは、というか遠野そよぎさんの声が
非常にかわいいです。

ただ、点数は辛め。
基本私は萌え重視のユーザーだけど
それでも大きなマイナスが色々存在してるように映った。



○全体的な概要と感想

・システム

システムはCMVS。

セーブ/ロード数は108 クイックセーブは1
難易度は易しめ、選択肢はいくつか程度
共通短め個別が長めの感じ、1周は10~12時間前後

タイトル画面放置後に流れる
人物紹介色々を消したのは寂しい。
♯その次の作品(明日の七海と逢うために)からまた復活しましたが

演出はバスとか噴水とかあとは
日付表示のとき挿入される桜の花びら・・・
まあ、このへんはよく考えるよね。

PLAY時間の目安:
共通4時間30分、1周あたり11時間から13時間
意外に長かった印象。

クリア後に開くもの:1周クリアで回想シーン(H)鑑賞、CG鑑賞、音楽鑑賞
コンプ後にタイトル画面が変わります

システムボイスは一部あり(起動して最初とタイトルコールくらい)

・絵、塗り

原画が少し微妙。
劣化というよりは背景の細やかさに比べて
立ち絵関係が浮いているように思い、
違和感が若干残る。慣れ次第か?

ヒロイン一人当たりのCGは
21から25枚と比較的多め(ほぼ24~25枚)
結構2枚ほど1シーンでCGが固まって出てくる

・音楽、ボイスについて

BGM:普通。
お祭りのときの曲は印象的。

主題歌は橋本みゆきさん。

OP主題歌「恋桜」はよいが
ED主題歌の「Duzzle Pink」は雰囲気として浮いてしまう。
なんかOPみたいな曲。
本編ラストと
この曲とではギャップがあるルートもあり
曲の質はまだしもちょっとタイミング的には
いただけないところはあるかと思う。

声のほうはまあ全体的には良好でしょう。


・OP映像

OP映像は
アニメーションで動きとしてはよい。若干本編と違うが・・・
ただあすきみのときよりは劣化している。


・キャラクター

これはなんといってもこのはに尽きる。
個人的にツボなんだよなあ、ほんとうに。

主人公陸の妹の綾乃は
もしらばのつばさと被るが
綾乃のほうがとっつきやすいので評価は高いと思う。

撫子はちょっときつい。
性格的なところで損をしている役割なんだろうが
・・・ただ桔梗ルートの撫子については難だな。

主人公は鈍感とは違うしそこまでヘタレてもいない
受身体質で恋について気付かなくて、という
性格的なところはあるがこんな性格なのには
このはルートで明確な理由は出てきてあるわけなので
感情移入はしにくいものの仕方ないのだろう。

・・・ああ、白鳥だけいらね、単にうるさいだけなんでダメ。
白鳥と千夏がほとんど同タイプなのに
千夏のほうが魅力的なのは単に男女の差であるところが大きい。

しかし問題はキャラの素材ではなく
むしろキャラの出番の出し方にある。

人と人の絡む接点とか人物描写とか
描き方がだいぶ足りなく
個別に行くと出てこないヒロインが複数いる。

つまるところ
この物語に絶対必要なのか?と考えると?になってしまう。

人と人が絡む描写が足りないように思うから
この子は今頃何やっているんだろう?と
想像させる余地も足りなくなる。

春奈と桔梗は
立場上もしくは性格上仕方ないところもあるとはいえ
これではサブキャラと変わりありません。
彼女たちの代わりに
千夏が出てもなんらおかしくはない。
むしろ華がある分まあ個別ルートではそこそこ好みだったので
代えろ、とはいわないのだが
少なくても千夏会長も加えて攻略させろといいたいくらい。

というか共通ルートでもうちょい出番増やして
もっと騒がしくできませんでしたか・・・?

なんか攻略不可のヒロイン同士で
主人公の取り合い(?)しているような
シーンがあってこれって
なんか意味ってあるのかなあ、とも思うし。

FDを狙った、とかもあるけど

出なきゃ出ないで
なんかキャラクターをそこで殺したような気がして
もったいない、というのはあるなあ・・・・と。

でも出すのならテキストやキャラをあるていど
きちんと描かないとFDは望めないわけで。



・テキスト

雰囲気としては穏やかだが
風がとまってしまっているようなイメージ。
薄い味付けのまま基本的に進む。

あとちょっと展開が間延びしているなあ、と思ったり
唐突すぎたり箇所もある。
欲しいところが入ってなかったりするのもいただけないと思う。

基本的には流れとしては読めなくはない。

しかしうまくテキストを削るのも
きっちりメリハリ入れてフォローしとくのも
ひとつの技術ではないだろうか。
退屈してしまうことがある。

・Hシーンについて

1人3回ずつ(このはは2回+1回)
尺はそれなり。濃さは普通程度。いつもの恋愛系。
一応、服装は全部違う。


・おすすめの向き及びまとめ

現在安価で購入可能なのでテイストが合えば
萌えゲとしてはさほど損はしません。
・・・たぶん。

このは、というか遠野そよぎさんの声が大好きです。
それだけでも楽しめたからやった価値はあったように思う。
ほかもキャラとしてはそこまできつくはないし。
♯撫子以外は・・・

人から見て不快、よりは
まったり萌えゲのほうが私的にはいいのです。
その割りに得点つけるときにあんまり得点には直結してこない

原因はシナリオとテキスト
これはネタバレなんでPLAYに興味あるなら
この先は見ないほうがいいかな。

以下個別感想(ネタバレ注意)














・シナリオ

一番問題にしたところがシナリオ。

これがもっとも微妙
というのも普通の萌えゲーで収まる範囲で
考えたほうがよかったような気はする。

例えばくーとあと春奈もだった、
急展開で事故とか盛り込む必要あったのかな・・・と
なんか後味悪いんだよね。

少なくとも重大アクシデントを入れる場合
その後のフォローくらい入れるべきだろう絶対。
それがほとんどない。
本人達が幸せならそれでいいじゃん、というのは
納得いかないことなのだ。
(春奈の場合は重くなったと思ったらすぐあっけらかんと終わってしまった)

もうひとつ、このはのいる意味が
本人達以外の他ルートでは説明が足りなく
定義があいまいになってしまっている点、
これもマイナスとして挙げられる。
物語全体にもっとこのはの役割を練って考えて
ほしかった、と思うのだけどなあ。

客観視した感想だとこのはルートをやって
あとはお好みで攻略してもし飽きたら
セーブデータ入れとけば
いいんじゃないかなあ、と思えたりもする。

早い話がこのは以外は
ストーリーは一応あるものの消化試合の感がある。
そのこのはについてもシナリオとしては結構微妙な感じは残る。
なので結論として、得点を低くせざるを得なかった。








○個別感想

○くー(青野・クーデルハイツ・鈴蘭)ルート

ロリのツインテールの子。

キャラはそこそこよい。

ストーリーは
迷い犬の世話をしているうちにくーに惹かれていく話
くーの過去にあった出来事から
消えた笑顔と失くした歌声を取り戻していく、というのが軸

ただ不満点が最後あたりに集中している。

明らかに状況的にすっとんでないかい?

これだけ大きなこと(事故)なんだから
その後のフォローくらいはちゃんと入れて欲しい。
本人達が幸せならいいやって
読者が納得できる問題じゃないよこれ。

なんか唐突に急展開になってエピローグが明らかに手抜きである。




○桜木このはルート

この物語全体の核心・・・かな

このは、というより遠野そよぎさんの声を楽しむルート。

ここでは妹と千夏が評価高いような感じはしますが
キャラクターに関しては一番のお気に入りが私はこのは。
妹と千夏が2番目と3番目。

なかなか思わせぶりでかつ
積極的な子で陸の恋の導き手としては
とてもよかったのだが・・・
このはは当初から
本心を見せて陸へアプローチしていたのに
最後あたりでごまかして心を見せなくなってしまうので
この辺がちょっとだけきつくなった

くーとは逆にこのはについては
フラグ撒きすぎの気がする。
この幸せがいつまでも続くように思えた、とか
いくつか強調されると
後の展開がなんか読めてしまう。

告白後~Hシーンまでがテンポが遅く間延びしている感じもある。

それでもシナリオは途中まではすんなりと進む。
どこかで見た話が混ざっているけどね。
ただそこには目を瞑るとしても
最後もうちょいどうにかしてください。
・・・なんじゃそりゃって思うのは私だけじゃなかろう。

同じネタでも眠って目覚めるまで、
恋桜側の描写と変化を付け加えるだけでも違うと思うんだけどな・・・
多少強引でも母桜みたいなのを出すとか。

ネタをただ使うのではなく
描写でどう表現していくかは大事なことのように思う。

陸がこれだけ鈍感なのには理由は
ここで語ってあるので
主人公への不満評はあるていどなくなったが

ただ真実を告げられた後だったら
もっとこのはへの愛という部分を伝えられなかっただろうか。
つまりはキーワードの「恋心」というところを
もっと生かせられなかったかな?と考える。
2回目のHシーンだけじゃなく。
淡さや儚さだけじゃなくよりはじけるところも見たい。

なんか想い入れ出せた分
こっちの期待とずれてる気がして歯がゆいのです、色々と。

美沙先輩はヒマなんですねえ(これはいい意味で(笑))




○愛沢撫子ルート

不快というよりは
不器用で素直になれないが
かなり嫉妬深い、王道だけど損な役回りの幼馴染の子。
このはといいこの子といい
何故そのヘドの出そうな料理で
自信満々でいられるのか非常に不思議。まあネタなのだろうが。

ストーリーはこのはとの争いごとから
(なんか春祭りの日の件はなんだかうやむやになる)
撫子の家族問題に話がつながっていく、というのが軸。


撫子に思いいれはない。
個別ルート入っても魅力はない。
実際の分担までは分からないが
撫子ルートは他のルートと
明らかにライター違うように思う

話の流れ自体はごくあっさりと進む。
まあ思い入れがないので
ある意味ありがたいといやありがたいわけだが。
ただあっさり進むのはいいとして
恋愛過程も急すぎ、というか
ほとんどなし崩し的に進むので微妙である。

ていうかこのルートで
印象に残ったものは全部マイナス印象。
途中飛ばそうか少し迷った。

・綾乃とくーに怒られている撫子とこのは

そりゃそうだ。陸は2人の所有物じゃないんだから。

・保健室

撫子の性格から考えれば違和感あるでしょう。
昼休みにコトに、というのは不自然じゃないのかな・・・と

・終盤の婚約話

果たしてこんなの必要だったのかしら?
答え出ていることをややこしくしすぎでしょう(主に撫子が)

ここだけ今まで微妙で済んでたのが
通りこして不快になってしまった。

とりあえず話の上手いところは
全部陸とおばちゃんが支えている。
撫子ではない。
というわけで全然いろんな意味でダメな子でした。



○菅原桔梗ルート

ウエイトレスの先輩。
共通でも他ルートの個別でも
ほとんど目立たないポジションなので
プレイヤーとしては
ヒロインの数合わせとしてしか見れないところのある、
撫子とも違った損な役回りの子。

桔梗はくーとこのはの後にやったほうがいいのかな・・・と
そんなにひどくないが一部くールートのネタバレがある。
このはのほうは先にやったほうがすっきりしそうだと思える。

桔梗自体は悪くない素材だしいいと思う、皐月も美沙も好き
(美沙の出番のシーンで若干テンポ遅くなるものの)
しかしキャラが悪くないのになんか微妙な感じがある。

ひとつはこのルートでの
撫子の印象が3割増しくらい悪いせいはあるな。
なにも彼女でもないのに報告義務なかろうに。
あるていど心を許した相手なら割り切れるけど
まったく接点ないと
獲られてしまうという想いが強くなるからか。
・・・しかし自分自身で想いを伝えられないくせに
他の人に獲られるのは嫌で嫉妬だとかちょっとひどくね?

このはとくーが中盤でさっさと退場していったのにはちょっと驚いた。

ストーリーは中盤から菅原家のゴタゴタで
桔梗が家出し転がりこむくだり

しかし急展開あるのかと思ったら
ぶっちゃけ逆に何にも起こらない話でした。
問題自動的に解決してるし・・・。

一番個別ルートが長いのは桔梗かな。
実際のところ菅原姉妹の独壇場みたいなシナリオ。

見所は萌え、それ一点だけです。
まあその点を見ればそこそこ楽しかったので
悪くはないんだけどキャラ的には
このはには及ばずかなあ、というのが私的印象。




○岡崎春奈ルート

漫画家のお姉さん。
共通ルートだけでいくなら
行き倒れているところと
食べてるところしか印象がない。
この子もヒロインの数合わせかな・・・という感じはあるが
個別ルート入ればテンポだけでいけば
春奈が一番楽しいと思う。

ただ春奈ルートをやってて?が浮かんだわけだが
なんで桔梗ルートで
春奈がまったく出てこないのかな・・・と
首をひねることになった。
春奈は実はもう1人のお姉さん、という設定なのである。
だが桔梗ルートでは
もう1人の姉さんが誰、というのが明かされない。

皐月と桔梗が家出するんなら
そこで春奈と会って3姉妹揃い踏み、ということになっても
まったくおかしくはないと思うが。
ちょくちょく共通で春奈は倒れていた(腹を空かせて)ようだし・・・
むしろ桔梗ルートで
春奈と会わないほうが不自然のように思うが。

個人的には恋人関係になってから
呼び名呼び捨てに変えないほうがいいのではないかと思った。
年の差考えるとちょっと妙だ。

春奈の最後の展開も別にいらないでしょう・・・。

5人攻略したら
最後にこのはのシーン(Hシーンもうひとつ)入れて終わり
あまり特筆事項はなし。




お気に入り順

このは>綾乃>千夏>春奈>皐月=桔梗>美沙>くー>>>>撫子

明らかに皐月、桔梗、春奈の3姉妹は出番の少なくて損していると思う
撫子は嫉妬深い子な上シナリオまで弱いのでやっててきつかった。

シナリオの優劣順

桔梗>>このは=春奈>くー>撫子

私視点では桔梗のみ及第です
展開を変にいじくるよりなにもないほうが
私にはマシだと思います。




以上感想終わり。