CLANNADとは異なったベクトルの感動が今ここに・・・
CLANNADで家族愛を描き切った麻枝氏が次に何を書くのか、そんな期待感をもちながらKeyの新作を待ちわびていた・・・。
正直不安はあった、もうCLANNAD並みの作品は作れないのではないか・・・。
麻枝氏もCLANNADですべてを出し切った的なことを言っていたし・・・。
しかしKeyはやってくれた!
このリトルバスターズ!はCLANNADとは泣きのベクトルが違う作品だった。
CLANNADは一つの街という括りでの中で恋人や様々な人たちとの繋がりを通して、成長し家族になっていくといういわば「家族愛」をテーマにした作品。
リトルバスターズ!友達グループという括りの中で、様々な面で友達に支えられながら成長する友情物語。
しかし、この2つの作品の共通点。
それは、周りに自分を支えてくれる人たちがいるということだ。
CLANNADの古河家、多くの町の人々、リトバスの野球チームのメンバー、どちらも自分を優しく包んでくれるような暖かな雰囲気。
いつまでも浸かっていたくなる・・・。
そう、この雰囲気のおかげで日常パートも全く飽きることなくプレイできるのだ。
Key特有のギャグも健在。
今回は登場人物の多さを生かした、キャラ同士の掛け合いが印象的。
CLANNADでは春原、風子などとの朋也とのギャグ、ツッコミが中心だったが、今作はヒロイン同士の横の繋がりも面白かった。
この絶妙なギャグとシリアスな雰囲気の独特な融合。
自分の知る限りこの雰囲気はKeyにしか出すことが出来ない。
これが自分がKeyのゲームが好きな理由だったりする。
さて、このリトバス。さすがにKeyだけあって音楽は相も変わらず素晴らしいの一言。
過去作品に比べてクオリティが落ちたと感じている人もいるかもしれない。
たしかにKanon,Airなどは音楽を聴くだけで涙がでてくるような、そんな曲が多かった。しかし、主題歌Little Busters!を筆頭にVocal曲、BGM共に何度も聞きたくなるような所謂スルメ曲が多い。
今でもサントラを聞くほど。
シナリオはリフレインについては多くは語るまい。
確かに麻枝氏以外にも多数ライターが参加しており個別シナリオごとにクオリティ差が生まれていることに異論は無い。
しかし、決して個別シナリオが面白くないとは言わない。
む し ろ 面 白 い。
どのシナリオもプレイしていて楽しいのだ。そう、ただただ楽しい。
キャラ同士の掛け合いを見ているだけでこんなにも楽しいものなのか。
そう思える程に、キャラに愛着が沸く。
必然的にキャラが好きになり、リフレインに向けての地盤が完成する。
アフター以外は、無理に感動を期待せずに、ただ日常を楽しんで欲しい。
これがリトバスを最大限に楽しむコツ。
Keyのギャグが肌に合わないって人は最初から回避して欲しい。
自分はこの作品全体が醸し出すこの雰囲気が気に入っていて、個別からラストまですべてが楽しかった。
そして麻枝氏は今作をもってKeyのシナリオから退くそうだが、音楽、企画、シナリオすべてこなせる人なので、他の方面での活躍を期待しています。
追記:リトバスEXでの沙耶シナリオ、非常に期待しております。
何かこのレビュー書いてて、自分は本当にKeyというブランドが好きなんだなと改めて実感した。
とりわけ自分は麻枝氏の書くシナリオ、テキストに惚れ込んでいる。
麻枝氏の書かないKeyはこれからどうなるのだろうか?
不安ではあるが、いつまでも応援していくつもりだ。
本当は100点をつけたい心境なのだが、同ブランドにCLANNADという自身の中で不動の作品があるから・・・
99点とする