「終わり良ければ全て良し」のシナリオ構成にしてしまった作品。
今までのオーガスト作品は例外なく睡眠促進効果で評価出来る段階までプレイ出来ずに放棄していたが、この作品は男性陣が脇役ではなく確りシナリオに絡んでくるため従来作と比べてキャラ同士の掛け合いにメリハリがあり飽きずにプレイ出来た。それでも個別に入った直後は生徒会活動中心の話になるためダレ易いがそれ程長く続かずシナリオは動き出す。主人公以外の視点が用意されている事と、最後までそうではないとはいえ悪役が登場するのも新鮮だった。
ただトゥルーにシナリオの美味しい所を全て集約させてしまった事と伏線を張るのに慣れていないためか個別シナリオが消化不良気味に終わってしまい、プレイヤーがつまらないと感じて投げ出してしまう可能性は高い。実際自分はかなで→陽菜→白→桐葉→瑛里華の順でクリアしたが、陽菜をクリアした時点で吸血鬼の設定に疑問を感じて投げ出しかけた。強引と言われようともクリア順制御をかけた方が良かったと思う。またトゥルーも後半がご都合主義が過ぎてクリア後に余韻が残らない。
キャラに関してはアクティブ、ロリ、クール、元気、優しいと定番が揃っているが、余り魅力は感じなかった。ただアクティブヒロインの瑛里華と元気系のかなでは割と好印象。逆に皆が名を連ねる白はキャラの魅力がシナリオで削がれていてる。
CGは綺麗だが背景に凝り過ぎたためかキャラ絵と上手くマッチしていない感がある。またエロ等一部でデッサンが狂っている印象を受ける絵もあった。
エンディングは個別5+バッド相当1+トゥルー1。エロは基本2回戦ありでメイン2～3+おまけ1～2の各4回(陽菜のみ3回)。
システムはEthornell(Buriko General Interpreter)。
立ち絵のバックに炎を出したり湯気や煙、雨等様々な特殊効果を駆使しているが、多重に画像を重ね合わせる所で透過処理が加わると非力なグラボでは処理落ちする。ただそれ程深刻ではない。立ち絵で若干引っかかるもののスキップは文章が表示されない程の超高速で、文章履歴にはバックジャンプ機能で少し前からシーンをやり直す事も可能。またエロシーンでは縦幅の低いコンパクトなウィンドウを選択する事も出来る。中盤の分岐エリアが事実上バッドルートのためだけに用意されていてなおかつ3画面に分ける意味がない点、セーブ⇔ロード画面を行き来出来ない、視点が変わった時に終了を表す「○○ END」は蛇足等、若干問題はあるが基本的に操作面で不満を感じる事はないはず。
従来のまったり感を保ちつつ新たな挑戦をした事は評価するが、少々予定調和が過ぎたか。
次回作でどんな冒険をしてくれるのか期待。