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Visiongroveさんのスキャンダルの長文感想

ユーザー
Visiongrove
ゲーム
スキャンダル
ブランド
SIEJA(SCEI)
得点
45
参照数
48

一言コメント

ただひたすら危機から逃げるだけの単調な展開。シナリオ全体を見てもありきたりで飽きるのが早い。

長文感想

芸能スクープを撮ったらそれ以上の『何か』が含まれていたらしく、主人公が命の危険に晒されるサスペンス作品。相手が相手だけに途中で迎えるEDは極一部の例外を除いて言わずもがな。それ故展開が読み易く、主人公が危機的状況なのに醒めた目で成り行きを見てしまいがち。終盤は少しご都合主義に見える場面もある。特に物語の核心に迫る部分に主人公が気付く場面は(その時の状況から気付いたと考えるには)無理がある。

この作品からやるドラには制限時間のある選択肢が登場したが、このシリーズはプレイヤーが主人公になると同時に物語をじっくりと堪能する事も魅力の一つだったはずだ。それがリアルタイムな選択を強要されて物語が頭に入りにくいと同時に攻略資料も作成し辛い。ただでさえやるドラは細かいフラグが分岐条件になり易いのに落ち着いて選択出来ず何度もロードをやり直すのは苦痛でしかない。ただ選択肢全てが時間制限ありのモードが解禁される頃には展開もほぼ頭に入っているはずなので、繰り返しプレイの中で慣れる程度の難関とも言える。このモードでないと見られないEDが僅かにあるが、通常モードのグッドEDと比べるとすっきりしない終わり方をするので苦労して見た甲斐がない。

セーブは50個所でシステムデータが独立しているため(但し更新にはED後のセーブが必須)、達成率を上げるために途中のセーブデータをロードして使う事が出来る。但し序盤で立てたフラグが終盤で使われる事もあるので注意。セーブ/ロード画面でファイルを選択する際に方向キーのオートリピートが働かないため、遠くのデータを選択するには何度も方向キーを押す必要がある。PS1のやるドラと違い、達成率は設定で簡単に常時表示出来る。

話自体は極めて平凡で、キャラデザインも一般受けを狙うにしては作画崩壊している場面が結構目立ち、主人公の声もオバサン臭くてかなり堪える。無駄なアクション性は中身の薄さを誤魔化すための手段としてしか使われていない。褒められるのは演技の上手い男性声優陣のみ。数日後にはすっかり話を忘れていそうだ。