ErogameScape -エロゲー批評空間-

Visiongroveさんの七つのふしぎの終わるときの長文感想

ユーザー
Visiongrove
ゲーム
七つのふしぎの終わるとき
ブランド
etude
得点
65
参照数
1109

一言コメント

共通ルートで話を膨らませた割にこぢんまりと纏まってしまった作品。

長文感想

時間を操る能力を持つ時計を手にした主人公とそれにまつわる7つの時計と七不思議のお話。不治の病のため時間を止め、主人公の時計の力で目覚めた七穗を7つの時計全てを集めで元の時代に戻す事を軸に展開する。

それなりにコメディやシリアスはあり効果的な演出もあるものの絵柄も手伝ってか全体的に地味に纏まって淡泊な印象を受ける。最終的に明らかになる主人公の性質上仕方がないのかも知れないが常人では判断し得ない判断をするし、主人公とヒロイン達が好きになっていく過程の描写が欠落していて何故2人が恋人になれたのかどのルートでも首を傾げるため恋愛物として読むのはほぼ無理。ヒロイン毎に話の傾向が完全に異なり七穗>ふみ>エリス>深咲の順でシリアス度と非現実度が強まっていく。クリア順はふみor深咲→エリス→七穗の順が理解を助ける意味でお勧めだが七穗ルートは時計を考慮しても超展開でプレイヤー置き去りのまま話が進むためこの作品の雰囲気を気に入って落胆したくない人は一番最初にプレイした方が良いかも知れない。ありがちだがルートによっては本来の目的とは真逆の結末を迎える。4人全員クリアすると最初からプレイした際に新たな選択肢が出現してグランドルートに入る事が出来る。故意に、と言うより苦しい言い訳でずっと放置されていた伏線が回収されるが七穗ルート以上に何でもありの展開になっているので寧ろ呆れと怒りしか感じなかった。とはいえ最後は丸く収まるので心配は無用。

絵柄は癖が強く万人向けではないし一部デッサンが崩れている個所も見受けられるが作品の雰囲気には合っていると思う。エロは各ヒロイン毎に3回で複数ラウンド。中外の選択はない。3回目が後日談に回されているヒロインもいる。ただ作風からエロを楽しむ作品ではないので過度の期待は禁物。

システムはQLiE。基本的な機能は揃っていてスキップも立ち絵の乱立時を除き超高速(50ms未満)になっているが選択肢スキップはない。本編同様システム面でも演出に凝っているためシステム設定で調整しないと全体的に重くなるかも知れない。コンフィグの項目移動時等無駄で無意味な演出も多く洗練されてない印象も同時に受ける。セーブ/ロード画面はページ毎に全てのファイル表示が画面内に収まっていないため目的のファイルが遠いと一々方向ボタンを何度もクリックするかカーソルキー押しっ放しですっ飛ばす必要があり非常に使い勝手が悪い。また前記の通りマウス、キーボード共に対応が不完全で全体的に操作性が悪い。タイトルメニューの操作にカーソルキーが使えないのは致命的。

音量設定で何故かBGM音量が余り大きく出来ず、本編では適切な音量でもED曲が殆ど聴こえなくなるバグがある。また一部メニューの記述にも間違いが存在する。フルスクリーンでプレイするとフォント選択とAlt+F4で呼び出す終了確認のダイアログがプレイ画面より手前に表示されない事が多いがゲームエンジン側の問題なので修正は難しい。

題材の料理の仕方が下手で予想とはかなり違う方向に緊急着陸した印象だけが残り非常に残念だった。