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Visiongroveさんのすく~るふぁいぶ ~五つの秘密の物語~の長文感想

ユーザー
Visiongrove
ゲーム
すく~るふぁいぶ ~五つの秘密の物語~
ブランド
DisAbel
得点
60
参照数
2785

一言コメント

後出し設定は反則。

長文感想

ある期間に起こった出来事を5人の異なる視点から綴ったオムニバス形式のゲームもどき。選択肢はエロのみで、最後の最後でちょっとした記憶力テストのような事をやらされる位。これは選択肢ではなく直接言葉を入力するがはっきり言って簡単なので臆する必要はない。開始直後は実質4人の視点しか選べず、章仕立てになっている文章をひたすら読んで4人の全ての章を読み終えると5人目の視点(実質解明編)が解禁となる。1つの章を読む度にシナリオ選択画面が出るので1人の視点を一気に読んでもいいし章単位で4人の視点を順番に読む事も出来るが5人目の視点が最後まで解禁されないのなら章選択画面で選択出来る意味がないような気がする。

通販サイトの紹介を見れば判る通り(OHPには商品紹介ページしかない)、キャラ設定に対する裏付けが薄く「ああそう」と納得するしかない方が多数。それなりに戦闘場面があるがバトル物と言う程でもない。男の友情も語られるがそれがメインという訳でもない。そして最初に指摘した通りプロットの段階できちんと話を煮詰めていなかったのか、それまでの伏線なしに5人目の視点で明らかになる事が多過ぎて何に驚いて良いのか正直困ってしまう。ライターの実力のなさに驚愕しろという事なのだろうか。

キャラデザインは正直今一だか体型自体は比較的肉感的。妙に尻に拘ったイベント絵が多い気がする。立ち絵の表情とパターンが絶望的に少なく、文章と噛み合っていない場面が多過ぎる。気のせいか制服が某作品に似ている気も。声も正直今一だが感情が昂ぶった時の声が本当に感情が昂ぶっているように聞こえる希有な作品である事は明記しておく(個人的にこれがきちんと出来ている作品はこれを除けば『Lの季節』位しか浮かばない)。

エロはカノン、星歌、灯、瑠璃、クロエ、それぞれ各2回で2回目は複数ラウンド。主人公毎に担当は決まっている。実際にはエロ原画担当が2人いるのか絵柄が2種類存在し、破瓜の表現がある娘とない娘がある。効果音が貧弱で白ける場面が若干ある。またシステム音声でセーブ/ロード時はその章のヒロインの声で「セーブしますか」等と喋るが、キャラによっては素の声のせいで折角の盛り上がりに水を差してしまう。

音楽は戦闘場面等若干大袈裟な曲もあるものの基本的にイージーリスニング系。正直余り音質が良くないのでストリング系の音色が使われている曲で不快に感じる人もいるかも知れない。

システムは一通り揃っていて文章スキップも超高速(50~75ms?)。ただ文章スキップしない場合は効果音が飛ばせなかったり、シナリオ選択画面で視点を選択して章を選択する画面に移るとシナリオ選択画面に戻る術がなかったりと、細かい部分で不満点が残る。また光の演出が全て白ベタ等、全体的に演出が貧弱で戦闘場面が全然盛り上がらない。そしてこれを言ったらお終いだが、複数視点にする必要性が全く感じられない。現在の書き方なら普通に場面転換するだけで十分書けるレベル。明らかなスクリプトミスもある。

正直何処を評価して良いのか困る作品。