私のカラダ、逝かせて下さい。……あれ?
様々な事情で心に深い傷を負った生徒達を集めた学園に生徒として潜入し、カウンセリングをする主人公…のはずだが実際はエッチしまくりの脱ぎゲと化している。シナリオは意図的に波風を立てないようにしているのか起承転結が不明瞭のまま山場もなくEDを迎える。故にヒロイン達の心の闇の描写も主人公との衝突も皆無に等しくカウンセリングで変わっていく過程も何故変われたのか首を傾げたくなる位説得力がない。ヒロイン視点の描写が多過ぎるのもカウンセリングの観点から見ればマイナスに働いている。相手の心が見えないからそこに衝突が生じてドラマが生まれるのにこれでは波風が立たないのも当然と言える。
絵柄は少女漫画にありそうな繊細なタッチだが魅せ方は押さえているのでどうしても駄目な人以外は問題ないと思われる。
エロはヒロインにより1～5回。小鳥、アリス、奈巳がメイン、咲耶は準メイン、詠美は事実上サブの扱いで少ない。アリスは絶頂で放尿、奈巳は尻スパンキングで濡れと、妙な性癖のヒロインが含まれるので人を選ぶかも知れない。各ヒロインのルートのほかにハーレムルートも存在している。
音楽は可もなし不可もなし。ただマスタリングに難があり全曲の調和が取れていないように感じる。OPは電波ではないものの微妙に外しているアレな曲だが妙に癖になる印象に残る曲でもある。
システムは吉里吉里2。パフォーマンスを低下させる演出はないのでアニメーションをオフにしてしまえば非常に快適にプレイ出来る。セーブ⇔ロードの移動も可能でスキップも100ms前後。文章ウィンドウの縦幅が高く若干圧迫感を覚えるが許容範囲。ただもう少し明度を落とした方が良いとは思った。吉里吉里2は素のままだと文章ウィンドウに画像を使用した場合透過度の調整が出来ないのでこの辺りは機能を拡張するか配色に気を配って欲しい。またエンジン設定.exeが付属していないため『JoyToKey』等を使ってゲームパッドでプレイする場合は吉里吉里公式サイトから吉里吉里2.28rev2を入手してそこからコピーし、設定でゲームパッドを無効にしてからでないと二重に認識されて正常なプレイが出来ない。ほかにも基本的なパフォーマンスに関する設定も変更出来るので可能な限り快適にプレイしたいのなら導入した方が良い。
シナリオ重視かと思いきや抜きゲ、しかも波風なしは中途半端過ぎて他の作品に埋もれてしまう可能性が高い。徹底的にシナリオ重視でシリアス全開にするか、開き直ってコメディ全開にした方がもっと注目されたような気がする。
まだまだこれからのメーカーなので次回作に期待。