OHPから受ける印象と実際にプレイした時に感じる印象が異なると低評価になる好例。体験版序盤のような重い展開やヒロイン達との衝突を許容出来るかが判断の分かれ目。
まず始めにこの作品の女装は手段でありそれがメインではない。そこを勘違いすると確実に地雷なので注意。ヒロイン達をいついかなる時も思い通りに出来ないと許せない人や旧家のお家騒動が嫌いな人も不快になるだけなので回避推奨。
序盤で住む家さえも失いそうになる主人公の言動が極めて現実的である事からも解る通り、話の根底にあるのは暗さと真面目さ。コメディ要素はそこかしこに散りばめられているものの決してコメディ中心の話ではない。序盤に見せる梗花の反応は当然だし、しがらみに縛られながらも最善の策を見出そうと時には協力し、時には衝突する登場人物の姿には好感が持てる。その解決策も奇蹟に頼らず極めて現実的な方法で解決する点も良い。尤もご都合主義に見えてその内訳が他のルートで明かされる事もあれば、はっきりしないまま何となく解決するものもあるので手放しには誉められない。まるで切ってつなげたかのような唐突な場面転換が起こりプレイヤーを置き去りにする事もある。
エロは各3～4回(おまけの1回を含む)で複数ラウンド。デートの待ち合わせで主人公がヒロインの元を訪れる→何かエッチな雰囲気に→デートそっちのけでそのままエロ突入…のように主人公もヒロイン達も節操なく始めてしまう事が多い。特におまけはこの作品の世界観を根底から崩しかねない非現実的なシチュエーションが多く、特殊な性癖の持ち主しか楽しめない恐れがある。内外の選択は場面によるが出来るものが多い。
絵柄は立ち絵を見る限りはそうでもないがややムチッとした可愛い系。特に楓のない胸を必死に大きく見せようとしているアングルに苦労(?)の様子が見て取れる。
曲はポップス、ロック等を織り交ぜた一般的なもの。OP曲はポップなテクノ風味のポップス(電波ではない)。
システムに大きな不満はなく一通りの機能は揃っているが、2種類あるスキップ(最大20～30ms)のカスタマイズ可能な方で「次の選択肢までスキップ」にしてしまうとそこに至る文章が未読でも判定なしに飛ばしてしまう致命的な欠点がある。また通常のスキップは強制スキップ固定で、前記の設定と「既読のみスキップ」を両方使おうとすると一々設定を変えなければならない煩わしさがある。また履歴、環境設定、アルバム等の画面切り換え時のフェードイン/アウトが非常に遅い上に強制スキップキーによる演出カットも行えないため非常に苛々する。アニメーションをオフにしたらシステムの演出もそれに追従するのが常識で、それが嫌ならシステム演出オン/オフの設定項目を用意すべき。そしてこれは使用しているエンジン自体のバグだと思うが、フルスクリーン時のリフレッシュレートを記憶してくれない。初回起動時にはウィンドウ時と同じ周波数が選択されるが、その後ゲームを終了して再び起動すると何故か60Hzになってしまう。しかも既に設定ファイルがある状態だとウィンドウ→フルスクリーンとしても60Hz固定になってしまう謎の挙動を見せる。これは早急に修正してもらいたい。
最後にバグ。「@chgb "bs_aki01d1"」って…。
個人的に彰人ルートがないのが残念。
サ○テンダー欲しい…。