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UIさんの家族計画 ~絆箱~(家族計画 ~追憶~)の長文感想

ユーザー
UI
ゲーム
家族計画 ~絆箱~(家族計画 ~追憶~)
ブランド
D.O.(ディーオー)
得点
100
参照数
569

一言コメント

家族という組織形態について考えさせられる笑いもシリアスもクオリティの高い名作

長文感想

何の縁か家族や社会に対して問題や傷を負っている者達が、擬似家族を形成し、互いに助け合う互助計画を立ち上げる。その名も家族計画、というのがタイトルにもある物語の起点となっている。

主人公も家族に対してトラウマ、心の傷を抱え、家族という組織形態に足して不信を持っているような人間で、本人も望まない形で止むを得ず渋々ながら家族計画という互助計画に参加していく事になる。

この後の展開がどうなっていくのかがこの作品の見所であり、評価が分かれると思うのだが、この作品は互いに傷を持つ者たちが触れ合う作品となっているので、ご都合主義的に安易に「家族とは素晴らしいものだ」となってしまう良いお話にはなっていない。あくまでも家族というものに対し懐疑的な立場から悩み、進展していく物語となっている。

そしてさすが田中ロミオ(山田一)と言えるロミオ節もすごく、ギャグのセンスも高く、シリアスな内容ながらも笑いの絶えない作品となっている(それ目当てでも良いと言える作品だ)。そして名作特有のどこかいつまでも終わって欲しくない温かい空間を生み出す秀逸な作品となっている。福永ユミ氏の画もそれを引き立てていると思う。

設定自体は冷静に客観的に見るなら、あり得ない、異常で奇怪というものなのかもしれないが、家族を組織として捉え、家族という組織について考えさせられる名作で感動作だと思う。ロットアップしていて入手が困難だと思われていたが、ギュッと!やDLsite.comなどの様々なダウンロード販売サイトでDL販売されている。(余談だが「そしてまた家族計画を」は高屋敷開発の作品として販売されている。「家族計画~追憶~」だけでなく「Crescendo~永遠だと思っていたあの頃~Full Voice Version」などのロットアップしていたD.Oの名作はDL販売されている)。ぜひおすすめの作品です。