非常に洗練された文章。短く一本道だが言葉の魔法、カッコ良さに酔える秀逸な作品
ストーリーは選択肢も無く一本道。内容はサイバネティクスといった要素を含んだ近未来の中国を舞台にした男の復讐劇。冷静に客観的に見れば深いテーマ性がある訳ではなく、あっさりとした短い物語かもしれない。だが非常に洗練された文章、感性が洗練された表現の文章がそんなストーリーを無意識にも盛り上げ、プレイヤー(読者)を物語へと引きずり込み欠点を感じさせない。
特に武道家の「気」が絡んだ流れるような武術格闘、アクションシーンは圧巻(さすが虚淵玄氏と言ったところ)。サウンドや中央東口氏の画も非常にマッチしていて盛り上げていく。本当に男気溢れ、目に浮かぶようなカッコ良さ。個人的には「こういう作品を究極のエンターテイメントと言えるのかもしれない」と思えるようなベタ惚れな作品で、好きな人には堪らない作品だと思う。
18禁シーンそっちのけで選択肢も無い作品なのでエロ要素を求める人やゲーム性を求める人には絶対に向かないが、感性が洗練された文章や、「男気」「格闘」というカッコ良さで燃えたい燃えゲーを求める人には短い作品かもしれないが是非おすすめ(ただ何となくだが虚淵玄氏ファンで、Phamtomのようなストーリー性を求める人には向かないかもしれない。上手くいえないが、どちらかと言うと虚淵玄氏の文体目当ての人向けかも)。個人的には一番燃えたゲームだった(個人的には18禁要素のない作品にして大々的に知名度を広げて欲しい勿体無い埋もれた作品という感がする)。
余談だが角川スニーカー文庫でも「鬼哭街」「鬼哭街―鬼眼麗人」の2冊で出版されている。ゲームの内容をそのままコンパクトにまとめた感じなのでボリュームという点では大分劣るが、例の同じ文体なのでゲームができない人にはこちらもおすすめ。