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Tyrantさんの月光のカルネヴァーレの長文感想

ユーザー
Tyrant
ゲーム
月光のカルネヴァーレ
ブランド
NitroPlus
得点
85
参照数
1504

一言コメント

Nitro+の復活だ!あとカルメロ最高!!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

久しぶりにファントム、ヴェドゴニア系のハードボイルドをプレイできた。


長かったねー・・・でもまたいつかニトロ持ち味のハードボイルドをプレイできると信じていた(笑

まずこの作品で特筆すべき点は。
「憎める悪役が皆無」という点。
私はピウスさえ憎めなかった。

明確な悪がないので、ありきたりな展開になりようがない。
それぞれのルートで、まったく展開が違ってきて、
その枝分かれたルートの中でもさらに展開が2分される。

数あるエンドの全ては、あーこういうのもありだなー。と思える展開ばかり。
多少後半急展開に思えますが、共通ルートが少し長いためにそう感じるだけかもしれません。

お気に入りキャラはノエル、レベッカ、シルヴィオ、カルメロと多い・・・。
それだけ魅力的に描かれているということなんでしょうけど。

ノエルは、日常の描写の濃さが大きい。
ロメオが彼女を気に入るまでの過程がゆっくりと焦らすように綿密に描かれていて、
血を分け与える儀式の場面で感情移入度はMAXに。
そりゃ気に入りますわい。

レベッカ。
シルヴィオが本当にレベッカを愛していたなら、このキャラ気に入ることはなかったかもしれない。
お互い道具としか見てなかったというのがあるから、あっさりと主人公になびいても許せたんでしょう・・・多分。
何をおいても、どんな目にあっても、愛する人のためならば・・・というキャラは大好物。
全てをなげうって尽くしてくれるキャラに弱いんだろうか。

シルヴィオ。
本作の不遇キャラ・・・。
シルヴィオルートが欲しかったくらいです。
ありがちな、親の七光り馬鹿じゃありません。
自分を誰よりも理解し、カーポには到底相応しくないということを理解して尚、
"道を曲げる"ことを知らない不器用さのために悲運の道を歩むキャラ。
傍に、彼に足りないものを補えるロメオがいれば・・・・・・と思わずにはいられません。

カルメロ。
嫌悪感抱くためのキャラのはずなのに、愛嬌満点という矛盾したキャラクター(笑
「歯痒ぃぜ!」「ままならねぇ!」が口癖の、ちょっとお馬鹿でドラッガーでスプラッターな彼。
もー、こいつが可愛く見えてしょうがない(笑

兄貴一筋の一途さも、脳タリンな行動も、薬でラリってるとこも、子供相手にムキになっちゃうとこも、
果たし状書くのに一晩悩み続けるとこも、実は結構な切れ者なとこも。
悪役でここまで気に入るキャラはほんと珍しい。


ファントムとヴェドゴニア好きな人なら是非やるべき。
少々武器の描写が減っちゃってますが、背景とかは相変わらず実写がほとんどですんで、
雰囲気、臨場感は抜群。

あと、主人公にボイスがあるのがかなり大きい。
照れ隠ししてるクール気取りの餓鬼が言ってるような台詞も、
この声で聞くとまた全然違って聞こえる。

ヒロインから脇役まで。
声優陣もことごとく豪華。
演技力に不安は皆無です。

文句があるとすれば、システム面。
というか文字サイズ。
もう少し大きくして欲しかった。
まぁ途中から気にならなくなりましたが。

とにかく完成度が高い作品。
ニトロにはやっぱりハードボイルド路線一直線で行ってもらいたい。