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TyrantさんのG線上の魔王の長文感想

ユーザー
Tyrant
ゲーム
G線上の魔王
ブランド
あかべぇそふとつぅ
得点
82
参照数
805

一言コメント

ヒロインはクソばっかり。 堀部さん、最高っす・・・。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ハルは、死人。

表では、生涯後悔していたとか、愛しているだとか、一生一緒だとかうそぶきながら、
その内は、G線上の魔王に取り付かれ、殺意に身を任せて"愛する人"を簡単に裏切ることができる。

頭が切れるように描かれていますが、
結局、ただの一度も魔王に勝利することはありませんでしたし。

最後まで魔王に翻弄され、最後には殺意に駆られて、
主人公を窮地に陥らせ、ことここに至ってさらに冷静さを欠き、
主人公を殺人犯として実刑にまで至らせた、張本人。

え。 彼女の、どこを愛せと、おっしゃるのか。

ラストの公園。
ハルに魔王撃ち殺させて、
そのハルを主人公が救うという名目で殺す、という、
魔王が見てたら"我が事成れり!"と狂喜しそうな展開が欲しかったくらいです。



椿姫は、宇宙人。

頭の中は狂人です。
彼女が言うには、

「 私は、こうしたい! あなた方と私、どちらが正しいか、正しくないか、そんなことはどうでもいい! とにかく、私の邪魔をしないでください!」

この型に、奇麗事と、家族愛と、詭弁を感情的に当てはめれば、
椿姫の台詞となります。

また、例のお涙頂戴"予定"シーンが、
車輪のさちのシーンと少し被っちゃったのも、個人的に痛かった。

まぁ、さちのシーンとは違い、こっちは説得力皆無で、
ぽかーんとして見てただけでしたけどね。

宇 宙 人 を 見 る 目 で 。



花音は、生き仏様。

彼女は、無我の境地に至りました。

思い至った人は多数いるかと思いますが、
もう、そのまんま車輪の冬花シナリオと被ってますね。

こっちも、椿姫と同じく、説得力皆無です。

母親は最悪の、人間の屑。
父親は最恐の人外である、血も涙もない極道。
世間は自分を悪に祭り上げようと必死な、仮面を被った偽善者共。

これらを前に、花音は言いました。

「おっけぇ~! 全部それでOK! 私が全部悪い! パパママ大好き!」


あ わ わ わ わ わ ! 


ここに生き仏様がいらっしゃる!
後光が差していらっしゃる!

花音がもう、逝っちゃってるアヘ顔のヤバイキャラクターにしか見えなくなっちゃいました。

なんか、花音が物凄い度量のキャラクター、みたいに描かれてますが、

そ れ 、 単 に 諦 め て る だ け で す か ら 。

冬 花 と 大 違 い 。



水羽は、ただ単に、小さい子供なんです。

子供ですので、どんな行動、言動をしようと、別にいいんじゃないでしょうか。
子供に罪はないです。
これ以上書くことないです。



ヒロイン達を押しのけて、本作での一番のお気に入りキャラになったのは、
若頭、堀部さん。

もう、尋常じゃない演技力です、この声優。

脇役の雑魚という安っぽさと、ヤクザ若頭というキレ者の二面性を、
 完 璧 に表現しきっていた。
完璧にです。

文面だけ見ても全然伝わってこないものが、
この堀部役の声優さんの声を通すだけで、
冷静で在りながら狂っている、という堀部の残忍さ、狡猾さが滲み出てくる。

全然期待してなかった悪役の声優の演技力にこんなにブルっちまったのは、
バルドフォースのゲンハ以来です。
いけねぇいけねぇ。

で、そんな堀部さんが、いくつかのルートで主人公を持ち上げるんですよ。

背 中 が ブ ル っ と き た ぁ ぁ ぁ ぁ あ ! !

堀部自体がブルっちゃうほどに気に入ってるキャラだというのに、
そんなキャラが、主人公に対して、ビビってる。

あ 、 何 、 こ の 快 感 。

そんな私は、設定厨。