良作。
田舎の雰囲気を、非常に上手く表現しています。
背景は枚数少ないので、そこからはいまいち感じ取れなかったのですが、
効果音や、何より文章での表現が非常に繊細で、
物語の舞台がどのような場所なのか、読み手によく伝わります。
BGMと言えるものはあまりなく、風の音や川のセセラギのみという場面が多く、
それもまた雰囲気作りに一役かっていたように思います。
堂島や斉臥について。
ありがちな悪役ですが、この二人が作る狂気が非常に雰囲気出ています。
ただ、絶対的な存在感を持った悪役かといわれればそうでもなく、
「あ~、こいつ死に役だな」と序盤に確信してしまう程度の脇役キャラとなっています。
個人的に堀田さんのが圧倒的に光ってました。悪役としてという意味ではありませんが。
主人公について。
この手の徐々に明らかになっていく謎を紐解いていくタイプの伝奇物の主人公に
ありがちなキャラクターです。
頭はやや弱いけど、驚異的な行動力と正義感。
ただ、話自体の全容が途中で見えてしまうような方にとっては、
なかなか苦痛なキャラに見えると思います。
正解にたどり着くまでに時間をかけますので、
焦らされている気分がして、結構イライラします。
物語自体は、非常に面白い。
相当練られて完成したのだと想像できます。
思いもしなかったところから物語の核に迫っていき、
1人、2人とクリアするたびに徐々に明らかになっていく様は
非常に楽しめました。