満点はそう簡単につけたくはありませんが、このゲームに関しては100か0しかないだろうなということで例外的に100をつけます。絵、BGM、声、ストーリーの全てが演出によって奇跡的なまでに一つの世界観を構築し、一個の芸術作品として昇華されています。この極彩色のタピストリを織り上げたスタッフ一同に最大級の賛辞を送りたい。
徹底的に考察できる人か、徹底的に頭を空にして雰囲気に飲み込まれられる人だけが味わえる極上のキッシュです。ちなみに自分は後者でした。
迂遠すぎる物語表現に陶酔し、そんなに意味はないけどきちんと意味は込められている持って回った言い回しを演出と共に味わうことこそが、この作品を楽しむ上で大事な部分です。
イギリス文学の教養が大切……などと言う人もおられるでしょうが、徹底的に考察をしない限り、正直その辺りはさほど重要ではありません。とにかく「そういうものがあるんだ」と納得しつつ、次から次へと現れる「物語」たちに目を輝かせ、彼らの織り成すめくるめくストーリーに酔いしれることこそが何よりも重要です。
そういう意味では、「わけが分からないものを楽しむ」ための素質が試される作品であるとも言えるでしょう。
正直、私はそこまで教養があるわけでもないので、この作品に関する深い考察を行うことができるわけではありません。全容を把握できている自信もありません。
ですが、それでもこう言い切れます。私はこの物語を心ゆくまで楽しんだ――と。