低得点も当たり前の問題作
今作のライターは、インターハートで姉系をやる時は大抵結構尖った事をしでかしていましたが
今回は姉系ではなく題材としてはそれなりにポピュラーな「ハーレム」なので、少しは毒が抜けるかと思いきや
まさか飛び抜けて尖ったゲームが出てくるとはお釈迦様でも思うめえって奴ですね
尖った「十全」とそれを受け入れた「インターハート」、どちらかが欠けてもこのゲームは世に出なかったんじゃないかと。
シナリオは、ギャグゲー風味のちょい不思議なハーレムゲーではあるけど
最初からいきなり「女性は妊娠してなんぼ、処女とかくせえ」って世界観で「あれ？」と思ったのを皮切りに
ゲーム関連のメタ、しかも受け狙いのメタというよりも「おい馬鹿止めろ」と言いたくなるぐらいの
急角度で思考を叩きつけるようなネタの数々にもう面食らい、あまりのパワーに圧巻されている内に
今度はハーレムゲーなのにハーレムを作らないといけない主人公の悲哀なんていう
普通のハーレムゲーで触れないだろという展開が始まってもうタジタジ
販売前に「十全が普通のハーレムゲーを書くんだろうか？」とは内心思ってはいたものの
まさかここまで破天荒な立ち上がりになるとは思わず、正直あっけに取られました。
「無駄シリアス」と呼ばれてシリアスが敬遠される今日で
世界観設定レベルでそれをねじ込み、糞野郎やクソな連中を出演させて
覚醒主人公にそれらをねじ伏せさせるというテンプレ展開は最近では逆に新鮮な感じすらしたぐらいです。
しかし、ある程度の時が過ぎて、主人公がハーレムゲームの主人公である事を受け入れてからは
ギャグ重視、妊娠欲求最重視のハーレムの日常が描かれるのですが
こうなると序盤の破天荒、無茶苦茶でありながらそれぞれの考えや立ち位置が描かれていた部分が
このハーレム部分の日常とマッチして、同じ事が繰り返される事が多いハーレム展開のエッセンスとなり
序盤程メチャクチャな事が出来ない純ハーレム部分でも展開を縦横に動かす潤滑剤になる、という
この良い仕事とテキスト全体のテンポの良さが相まって、最後まで退屈せずに進められました。
三年間という長い劇中世界、そして驚きの「選択肢無し」という暴挙を支えたのは
この無茶苦茶さにあると思っていますが、逆にこれが難点だとも思えます
ラインを越えないで過激な事をいう、よくある過激なメタと違い普通にライン踏み越える過激なメタをぶちまけたり
このゲームは「万人受け？ハハハ御冗談を」と言わんばかりに尖りまくっているので、人を選ぶと思われます
気に入らない人なら、最初の展開部分でついていけずに即止めてしまうというのも十分ありえるかと。
そして、エロゲ肝心要のエロについてですが、こちらは何はともあれまず妊娠重視
主人公も孕ませる気満々、女性も孕む気満々、世界感で「妊娠はステータス」となっていますが
そんな事より「愛する男の子を孕むのは当たり前」というヒロイン達の思想の方が強く出た結果
ラブラブ系の台詞と妊娠欲丸出しの台詞を混ぜこぜて連呼するような奇妙なエロシーンが誕生
「今日は危険日だから外出しはダメ！」とかいう迷言まで生まれる程で
妊娠欲求の強さはエロゲ界屈指だと思われます、少し前の裸足少女ゲーの女教師＋５ぐらいの勢い。
テキストはそんな感じで馬鹿っぽいのですが奇妙にエロく、尺も長いのでその点はいいのですが
ＣＧが多少荒くなったり、差分が少ないのが悩みどころではあります
良くて４枚、普通のシーンでは挿入前と射精後に一枚ずつで計２枚とかも多く
絵の変化という部分では物足りないものがあると思います。
あと、シナリオの要所で場繋ぎの様なエロシーンがありますが、こちらは背景絵も用意されず
ＣＧも使い回し、尺も短いというエロシーンというよりはただの日常風景の一コマなので気にしない方がよいかと
「朝起きた、ご飯を食べて身支度もした、嫁も孕ませた、さあ出かけよう」ぐらいの気軽さでヤッてます。
良くも悪くもとことん癖が強いゲームなので、気軽におススメなどとはとても言えたもんじゃありませんが
個人的には凄く好きなゲームです、死んだ時に棺桶に入れるエロゲ５本選べと言われたら間違いなく入りますね。