”悪”という概念をどのように定義し、
”悪”という概念をどのように定義し、
"正義"という言葉の意味をどのように認識するのか。
本作品には三つの正義があり、悪がある。
それを決めるのはプレイヤーでもなく、ヒロイン達でもない。
『主人公』
ただ一人なのである。
◆ ◇
人生にはいくつか大きな選択があると言える。
………………。
一時の迷いで運転を誤った男が悔やんだ。
娘を事故で亡くした母がふと零した。
妻が知らぬ男とホテルから出るのを見た夫が哭いた。
『あの時にああしていれば……』
………………。
結末は変えられない。
どんなにも不幸な結末が待ち構えていたとしても、やり直しは効かない。
自らが選んだ選択。
それ故、何かを得たとしても、何かを失ったとしても、
事実を受け入れざるを得ない……。
ただ、
私はふと、思うのだ。
『何故、死ぬべきではない人間が死なねばならないのだ』
と。
◆ ◇
臨場感溢れる戦闘。
つい見守りたくなる、主人公とヒロインとの不器用な恋。
そんな要素が含まれているのにも関わらず、
何かが心にひっかかるのは何故だろうか。
他ルートと内容が被り、スキップ多用が必須だからか?
それともBGMの善し悪しが激しいからか?
否。
この作品『僕がサダメ、君には翼を』は、
本当の意味でのハッピーエンドが存在しないのである。
◆ ◇
或るルートでは環境が違い、或るルートでは正義が違う。
種々さまざまであり、何が正しく何が間違いなのかは分からない。
個人個人に信じるものがあり、許せないものがあるように。
あるところでは妥協するものの、あるところでは譲れないものがあるように。
"正義"か"悪"か。
たった二つの選択では計りきれない。
そんな中。
主人公は決めねばならない。
誰の正義を信じ、誰を憎むのか。
ヒロイン達は、さまざまな状況に置かれている。
そして分岐点はいくつか存在する。
選択一つで、結末がはっきりと変わってくるのだ。
この作品の中で、
死ぬか、生きるかとは、
即ち、
正義と悪を決めるという事、なのである。
そして、
"死"というものが、ここでは美しいものの象徴として扱われていた。
悲しすぎる。
死とは終わりだ。
その先に待っているものなど一つも無く、
考えることも、思いを伝えることも、喜びを得ることも、
出来なくなる。
それが、"死"というものなのだ。
◆ ◇
決意が違うのならば、分かり合えないのだろうか。
信じるものが違うのならば、憎しみあわねばならないのだろうか。
私は主人公に期待していた。
彼が、彼女たちの本当の意味での幸せを見つけてやれる事を。
そして、それが出来てこそ、
この作品は初めて"終わる"のだ。
本質に気付け。
目先以外での敵を探せ。
何も解決などしていない。
物語は何一つ終わってなどいない。
故にこの作品、『未完成』であると私は思う。
◆ ◇
【終末感想】
点数的に言えば、75点。
魅力的なキャラも多く存在し、前半から中盤にかけて非常に楽しませてもらった。
しかし後半での同じ内容のシナリオや、展開がほとんど変わらない、
といった決定的なミスは否めない。
また、メインヒロインのシナリオの薄さはどうかと思う。
過去を思い出したからといってすぐにHシーンとは如何なのか。
このことを取り上げてみても、展開の早さは凄まじいものがある。
悪い意味で。(苦笑)
酷評になってしまっているが、駄作ではない。
飽くまでも未完成作品なのだ。
事件は終わったように見えて、根本は何も変わっておらず、
それが主人公やヒロイン達には全く見えていないのは残念だ。
そして最後に一つ言いたいことがある。
『人の話を聞けゴラアア!!』
全然、キャラが話を聞かないw
普通に話をすれば、お前は死なねえのに…てか聞けよw
聞いても曖昧に濁す主人公。
氏ね。
いや、本当にどうにかして欲しい。
自分はご都合主義でもいいからハッピーエンドを望む派なので、
このような展開は苦痛だった。
ただ、新ブランドとしては中々の出来だったと思う。
将来性は十分にある。
今後、
今回の酷評や批判をより良いものに変え、頑張って欲しいものだ。
次回作、期待しております。
【時の降る街】http://blue2matiger.blog96.fc2.com/
体験版の感想などもしているので是非。