プレイ後、画面の前で一人で拍手をしていた悲しい自分がいた……。(長文感想より)
プレイ後、画面の前で一人で拍手をしていた悲しい自分がいた……。
名作と呼ばれる続ける作品、
駄作と罵られる作品。
本作品が如何にしてどちらに当てはまるか、本人の目でしっかりと確かめて欲しい。
以下、深くは語っていない。ただ、自分がこの作品を通して感じたことを噛み締めながら書いているだけである。
◆ ◇
三人の少女がいた。
一人は主人公の実妹で、両親を三年前に亡くしていた。
一人は主人公の幼なじみで、過去に何かを置き忘れていた。
一人は主人公の友人で、密かな想いをひた向きに隠し続けていた。
……………………。
そう、三人の少女がいる。
そしてこの物語は、三人の少女の思いが『愛』へと繋がる幸せを掴み取るまでの過程だ。
◆ ◇
『恋』──
恋をして初めて人は感情の奥底を知るのだろう。
『愛』──
愛を感じで初めて人は幸せという言葉を理解するのだろう。
両者の思いが通じたからといって『愛』は形を成さない。そこにあるのは未だ、『愛』が成すまでの必要過程なのだと思
う。
故に、片方が死んでしまったら、記憶を失ったら、遂げれない障害があるのなら、それは『愛』とは言えない。
それはまだ『思いが通じ合った』という事実だけだ。
でももし、時にはその障害を乗り越え、二人になることが出来たのなら、
時には何の障害も無く、事がうまく運んだならば、
それこそが幸せ、愛が実った、と呼べるのだろう。
この作品は、
そんな幸せを、愛を、
掴み取ろうと必死になる、主人公たちの物語。
最後に残るのは嬉しいという何処にでもある感情なのに、ふと涙が溢れてしまうそんなお話。
“頑張れ!”
そう応援したくなってしまうのはきっと私だけではないだろう……。
◆ ◇
少し矛盾が生じたので誤解を解いておく。
三人のうちの一人、実妹の由衣の問題は少々複雑だった。
血。
絶対的な家族の絆。
『愛』にとっては障害でしかなく、他の問題に比べ、一生変えることの出来ない壁だ。
友情や夫婦の絆よりも遥かに強く、解けることのない絆。
社会的に認められず、遠ざかっていく人たちも大勢いることだろう。他にも失うものは多くある。
そんな重みを持ってまで、由衣と主人公はどのような幸せを掴むというのか。
それは本当に幸せと言えることが出来るのだろうか。
私は幸せを二人が手に入れたと信じている。他の者たちとは違う、二人だけの幸せを。
最後の方で由衣が主人公に言う言葉を聞き、納得して欲しいと思う。
「………あたし……お兄ちゃんと────」
◆ ◇
【終末感想】
久しぶりの九十点代である。納得のいく出来で、やって良かったと心から思う事が出来た。すこし誤解しているかもしれ
ないので加えておくと、攻略キャラは全部で五人+αいる。αの意味は自分で攻略ページにいくなり、試行錯誤して辿り着
いてくれ。私はそのシナリオで泣いてしまった。
コンプ後、ライターさんは誰かなと思ったので確認してみると『Key』の作品を多く手がけている魁氏であった。
言われてみれば、納得の一言だ。笑える箇所も多くあったし、何と言っても読んでいて苦にならない、テンポのいい文章
だった。
ちなみにBGMもこれまた良かった。歌も文句なしである。これほどまでの出来映えでなぜに『Bonbee!』はあのような質
の作品を作っているのだろうか。もったいないの一言である。新作も糞とは言ってはいけないが、それほどまでレベルが
落ちている。
麻枝氏ファンや、魁氏ファンなら知っていることだと思うが、VisualArt's系で今度『5』という新作を出すようだ。
この作品はシナリオ魁氏、音楽麻枝氏の待望のコラボレーション(CLANNADとか普通にそうであるが)で、失敗など有
り得そうもない。しかし、発売日が一向に決まっていないところを見ると少々心配だ。
ブランド名は『RaM』で、HPは以下に書いておいた。応援の方はメッセージをどしどし送って欲しいと思う。
http://ram.product.co.jp/
(実妹のまた違った感じの話としては、『何処へ行くの、あの日』がお勧めである。いろいろ考えさせられる物語だ)
時の降る街。 http://blue2matiger.blog96.fc2.com/