はは、Waffleがやりやがったよ……。エロが冷遇されるシナリオゲーが横行する中、エロゲーとは何かを見事示してくれた。抜きゲーブランドはこれに追随し、売り上げを大いに伸ばすべし。陵辱ではない抜きゲーという部分もかなり高評価だ。
本作品『巨乳ファンタジー』はWaffle十周年記念第二弾の作品である。
ライターは巨乳をこよなく愛する鏡裕之。彼の嗜好が正しく全面に出た作品と言えよう。
貧乳がヒロインに一人もいないことからもライターの巨乳に対する力の入れようが伺える。
この辺り、バランスを考えて貧乳ヒロインを一人は入れてしまう他ブランドとは一線を画する。
やつは本気だ。貧乳が多くのユーザーに好まれる時代でも、やつは巨乳一本で勝負するつもりなのだ。
結果は……
抜けた。
ただ、抜けた。
完全にやられた。このゲームは鋭い牙をうまく隠しているのだ。
ただのエロに突入する、悪い意味での"いつもの"抜きゲーでは決してない。
うまく分岐を利用することでキャラクターやヒロイン一人一人の味を出し、
ストーリーを純粋に楽しむ傍らも、見事エロとしての役割を欠かさなかった。
これぞ、エロゲー。
やってくれたな……Waffleさんよ、鏡裕之よ。
抜きゲーの真骨頂をまざまざと見せつけられた……。
方向性を見失っている真っ暗闇のエロゲー界に、一筋の光が差し込んだようだ。
それは、エロとシナリオの融合という、本来あるべきエロゲーの姿だった。
◆ ◇
和姦と陵辱というものがある。
男性の潜在的本能なのかどうかは分からないが、大半の男は後者が抜ける。
認めたくなくても自然と起こってしまう生理的現象。
自分は大の陵辱嫌いだが『超昂閃忍ハルカ』などの抜きゲーにお世話になってしまう自分もいる。
抜きゲーとして割り切り、ヒロインたちに感情移入をしなければ何とか大丈夫。
しかし、事を済ましたあとにいるのは賢者モードの自分。
可哀想な思いをしているヒロインが目に入ったときに自分の下劣さを改めて認識される。
どことなくしっくりこない。
一時の快感はあったものの、なんとなしに気分が悪い。
一方、純愛ゲーで抜けるエロは意外と難しい。
ほのぼのさを感じることは良いことだが、エロとしては微妙だ。
シナリオの良さが光るエロゲーは大半がこれに属する。
エロとシナリオの融合は非常に難しい。簡単のように見えて一筋縄ではいかない。
しかし、本作『巨乳ファンタジー』は抜ける。これでもかと抜ける(勿論個人差あり)。
何故だ? 他のエロゲーと何が違う?
特に原画の絵が素晴らしいという訳ではない。
執拗に母乳が出るシーンも個人的にはいらない。
では何が自分にエロを感じさせるのか。
一体それはなんなんだ?
答えはすぐ見つかった。
他の抜けない抜きゲーと本作を比べれば一目瞭然だった。
シナリオだ。
そう、純愛でエロの障害となっていたシナリオだった。
普段の作品ならシナリオのベクトルは自ずと結末へと向かう。
物語の評価と繋がるのはプレイ後の後味の良さだ。
いくらテキストがうまかったとしても最後の展開に納得が出来ないと評価はある程度低くなる。
しかし本作のシナリオのベクトルはエロへと向かった。
ルート分岐をしっかりと設けたことでエロのマンネリ化を防いだ。
共通部分がほとんどないことや、その後の展開(正確には舞台)が全く異なるということは高評価だ。
特に序盤の『親衛隊を拝命する』『司令官を拝命する』の選択肢は秀逸だった。
そして、なんと言っても。
じらし。
エロはじらすことで増大する。
本作品では、すぐさまヒロインとエッチというわけにはいかない。
展開構成がしっかりしているからであるが、ある程度話が進んでからだ。
しかもその間にきちんとキャラの魅力を見せつける。
例えば、下乳だけ出ている敵将のグラディス。
立ち絵でしっかりセックス(性)アピールをして、その割には自分ことを「オレ」と呼ぶ
そのギャップもさることながら、手が届かない高貴な存在という部分も魅力的だ。
エリート騎士のアイシスも良い。
主人公のことを下衆の如く扱う序盤。同じく最低な言動を主人公にする、女たらしのモテールの婚約者でもある。
しかし何故か素直になれない高飛車な性格から、キスすらしたこともなく勿論おぼこ。
そんな子を奪ってやれる展開は待ち遠しい。
しかし繰り返すが、そう早く彼女たちとあれこれ出来るわけではない。
上のようにうまく魅力を見せつけられれば、こちらもそろそろいいだろ…と思い始める。
基本的にシナリオゲーで魅力的なキャラが居る場合は大半がこうなのだが、
エロの展開があるのは相当終盤なので、その時には案外冷めていたりする。
じらしも…じらしすぎては効果がない。
そこで活躍するのが、サキュバスのシャムシェル(CV:金松由花)だ。
シャムシェルはお話の軸となるキャラクターではあるが、
他ヒロインまでのエロの持続を見事に果たす役割を兼ね備えている。
コンプ後におまけの回想シーンを見てみると、他キャラに比べシャムシェルのエロシーンの数は断然多い。
これが、メインディシュまでのおつまみになる。
いや、人によっては彼女のエロこそがメインといって差し障りないかもしれない。
とにかく本作品におけるMVPは、シャムシェルといって間違いない。
そしてやっときたヒロインとのエッチ。
ここからも凄い。
今までのじらしと打って変わって、濃いエロシーンがこれでもか!これでもか!と続く。
怒濤のエロシーンラッシュだ。
これに大半のユーザーたちが終わる。つきる。逝く。
そして起承転結の結の部分を軽く、けれどもきちんと終わらせて、1ルートが終わる。
話は、主人公の王道サクセスストーリー。
そこまで練れているとはお世辞とも言い難いが、悪くない。いや、むしろその程度でいいのかもしれない。
納得のできる軽いシナリオに、抜けるエロ。
これ以上に何を望むか。
完成度が凄まじい、本当に素晴らしい作品だった。
Waffleはこの作品を軸にして今後頑張って欲しいと思う。
今回は巨乳という一つのジャンルにとにもかくにも拘った作品だったが、他でも幾らでも使えるはずだ。
他ブランドもこれを参考にして、新たな抜きゲーの時代を作ってくれ。
陵辱以外でここまで抜けたのは、姉汁以来。久しいな……。
最後に、この作品が突発的に生まれた名作でないことを祈る。
シナリオの鏡裕之氏には最大の賛辞を。
以上。
【終末感想】(思ったことをただ羅列)
点数は抜きゲーの最高峰として、今後の自分の基準という意味合いを含む90点。
本音を言えば満点を上げたいくらい。久しぶりに濃いエロをやらせて貰った。グッジョブ。
『しあわせなお姫さま ~エンゲージは子作りのために~』もかなり抜けたが、
魅力的なヒロインが一人だけだったのが痛い。比べて本作品は全てのキャラが良かった。
それと抜きゲーの長文感想は初めてだったので、何故かくだくだと書いてしまった。
しかし、久しぶりの感想だな……最近はプレイしても感想を書く気があまり起こらない。
それと本作にハーレムルートがあったことをここに補足しておく。
いろいろ枯れた後にクリアしたので、印象はあまり残らなかったが結構面白かった。
あと男キャラのモテールが与えるエロの優越感についても言及したかったが、字数的に断念。
またいつか他作品で同じ傾向が見られたら述べてみたい。
非常に良い作品だった。とりあえず、そんなところでまた次回。