話題選択とかなつかs…あれ?
昔のゲームのようにある程度同時攻略できると信じていたら出来なかった。
登場人物たちは「公称」ダメ人間である。
けれど、実際にプレイしてどう感じるかどうかは別という話。
彼らは自身をダメ人間だと思い、ダメ人間コミュに入り、そして出会う。
当然、それぞれが自身をダメ人間だと思う理由が存在するのだが、それがシナリオになんとも言えない「気味悪さ」を演出している。
そのなんとも言えない気味悪さがこの作品の魅力だと思う。
一応、その理由は書かずにシナリオの大筋を書いてみたい。
その気味悪さの象徴とも言えるのが、怜奈シナリオである。
共通で追いかけているときには、死ねとかキモイとか変態とかひたすら詰ってくるお方。
僕は、「個別エロではきっと踏んでくれるに違いない」と祈りを込めつつ凸した。
…結果的には足コキはなかった。悲しい。
というか、この娘Sツンデレかと思ったら違ったんだ。ある程度仲良くなるとはいえ、最後までデレないと言ってもいい。
だからそもそもツンデレじゃないというのが正しいのだろう。
この娘に告白した際に言われるのが「キライじゃないけど、好きかどうかはわからない」という物。
結局、最後までそんな関係だったように思える。
真夏の気だるさと、なんとなく心地よいから一緒にいるという程度の、たしかにダメ人間的な話だった。
逆に、美悠はデレデレである。依存していると言ってもいい。
共通の時点である程度好感を持たれていることが誰の目にも明らかではある。けれど、だからこそか、逆に好感度を上げるのが難しい。
共通個別を通して彼女からはデレデレして、尽くしてくれているけれど何かを隠している、という少しリアルな気味悪さを感じることとなる。
ただもう少し、病み分を多くしてかつ過去の話を匂わせるべきだったという感じである。
過去の話自体は、TRUEルートである程度解明されるわけだけど、「何かあったみたい」という伏線だけでなく「こんなことがあったんじゃないか?」と推測できるような伏線が欲しかったと思う。
ある意味最も疑問があったのは古都音シナリオ。
腐女子的趣味をお手伝いしてたら適度なシリアスが盛り込まれて、それを乗り越えキャッキャウフフする素敵シナリオなのだが、ラストがなんとも妙というか「?」と首をかしげたくなる展開だった。
たしかにシナリオ長さ的にギリギリだったような印象なのだが、もう少し何とかなったんじゃないかと思う。
それを書こうとすると古都音先輩の過去のお話を書かなければならないのでぼかさせてもらうが、このシナリオの魅力は古都音との距離感だったと思う。それを急に変化させるのは良い。それによる両者の戸惑いを眺めるのはきっと楽しいからだ。
そう、「きっと」。実際は変化した理由が弱いので前述のように「?」となるのである。
3つの中で一番もったいないシナリオだった。
で、この3つをクリアしたあとに出るのがツクヨミルート。
ここで、散々臭わさせられた過去の話の結末が見える。
…僕はハッピーエンド厨だし、幸せになることに不満はない。
けれど、この話のラストは蛇足だったんじゃないかと思う。
一言で言えば、あっさりしているのである。
前ヒロイン分あるバッドエンドはもちろんこの娘の分も用意されているのだが、その病みっぷりは全ヒロイン一。
そう、病んでいたはずだった。
けれど、彼女はヤンデレワールドからあっさり帰ってくる。
ここだけはぼかすか、書くならもっと綿密に書いていくべきだったと思う。
というわけで割と悪いことを書いてきたのだけれど、総合してみればそれなりに満足している。
満足している……のだが、もったいないなあとも思う。
名作になる要素は各所にあったし、実際うまくやればなったと思う。
だが、残念ながら佳作~良作といったところ。個人的には良作だけど、佳作やそれ以下って人もいるとおもう。
本当、もったいない。