ErogameScape -エロゲー批評空間-

Suxamethonium28さんの見上げてごらん、夜空の星を Interstellar Focusの長文感想

ユーザー
Suxamethonium28
ゲーム
見上げてごらん、夜空の星を Interstellar Focus
ブランド
PULLTOP
得点
79
参照数
434

一言コメント

沙夜ちゃんかわいい がかなり短い

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

見上げてごらん、夜空の星を Interstellar focus 感想
執筆者:やーみ@suxamethonium28

 天ノ川沙夜ちゃんかわいい!

 さてこの作品は「見上げてごらん、夜空の星を」シリーズ三作目の物語であって、天ノ川沙夜・箒星ひかり・宙見暁斗の三人でイチャラブする物語である(1)。この物語はある種のバクチであって、下手をすると「みあげて」の基本設定における禁忌を踏むが如き展開である。筆者としては、この禁忌からある程度正面切って向かい合ってくれた本作は大変満足の行く作品であった。

 禁忌とはなにかについて述べていく。弊ブログで前に指摘した事柄を改めて転記する(3)。
”以下引用(①、②は本稿にて追加)”
 さて「見上げてごらん、夜空の星を」という作品においては、ひかりも沙夜もお互いへの友情と、共通の友人である暁斗への恋慕の情の板挟みになっているということが一つ大きな要素であった。

 なかでも沙夜は「みかづき天文クラブへの回帰を求める感情①」、「あっくんへの想いで、他のことが目に入らなくなる感情②」を胸に抱えている(正確には更に「理想のあっくんを希求する要素もある」)注1。

 これらの板挟み的状況があったからこそ、本編においては「みかづき天文クラブ」メンバーによる「三人カップル」の成立は許されなかった、という側面が存在していた。よって「三人カップル」をみあげてIFで達成することを考えた場合、この辺の処理をどう取るかが重要になる。

 無論この辺りの三角関係は、「三人カップル」のいちゃラブにおいては邪魔になるのは明らかであり、場合によっては端折られる可能性もある。とはいえこの辺りの「ほんのちょっとめんどくさい」要素も含めての「天ノ川沙夜」であるため、丸っと無視されると少々天ノ川沙夜ちゃんフリークとしてはツライものがある。

 冒頭でサラッと触れるだけでも良いので、「あっくん以外目に入らない私」である沙夜の要素を盛り込んでほしいと思う次第だ。
”以上引用”

 上記のように「みあげて本編沙夜ルート」は(もちろん本編で沙夜ほど明瞭に記載されていないが、ひかりにも同様のものはあったであろう)板挟みの心情にどのように折り合いをつけていくか、という形式でシナリオが進んでいた。「みあげてIF」の事前の触れ込みであった「三人カップル」は、その折り合いをつけることを拒否するものであった。故にこれは劇薬であって、実際にシナリオライターの紺野アスタ氏もTwitter上でかかる事象を懸念していたことを明かしている(4)。
https://twitter.com/asta_konno/status/1013372814357753856

 さて実際に本作において上述のテーマをどのように回避したかを述べていく。まずひかりの想いの吐露を沙夜が目撃する。そして沙夜はひかりと距離を置くためにわざとひかりに喧嘩を仕掛ける(明記されていないが半分嘆き、半分ひかりを応援しようとした、といったところであろう)。
 そして暁斗が沙夜とひかり両者に想いを告白し、一度告白は玉砕する。沙夜は小金井さん(部活の後輩)に「3人カップルにおいては沙夜とひかりも恋人同士だ」と諭される。これで上述①の沙夜の願いを救済している。
 そして沙夜のひかりへの遠慮を打ち砕く方法として、暁斗による沙夜への改めての告白が成される。決して同情ではなく、暁斗の「好き」という想いが沙夜に向いていることを示して、上述②の沙夜の願いが救済される。
 ここでファインプレーというべき「3人カップルにおいては沙夜とひかりも恋人同士だ」論を持ち出した小金井さんは、「みあげてFD」からの登場人物であって、「みあげてFD」においても沙夜の「黒さ」吐露における受け手として機能していた。なるほどみかづき天文クラブ組には吐き出せない沙夜の感情に関して吐露を促すキャラとして小金井さんは実装されたのかと勘ぐってしまう(笑)。いいキャラしている。


 ところで「みあげてIF」ではもう一つ大きなテーマが消化された。それは暁斗の家族愛を希求する感情である。暁斗は事故で両親を亡くし、親戚の家を転々とする生活を送っていた。そして祖父の家へと至り、数年を過ごした。しかしその祖父も他界した。結果彼は星野第一の天文部室に住み着くようになったという経緯だ。

 端的に言えば、彼は「家族」を求めていた。甲斐甲斐しく通い妻をする沙夜はその最たるものであって、彼はある種沙夜に依存していたとも言える。沙夜は沙夜である種の未練に依存していたし、やや沙夜の身体的苦労が大きいきらいもあるが、相互依存関係と言えなくもない。
 暁斗はひかりに対しても同様の感情を抱いていた。「みあげてIF」内で暁斗は幾度となく自らに問いかけている。

 この意味ではひかりと沙夜(ここだけ羅列の順番がいつもと違うことに注意せよ)が、暁斗を攻略する物語と言えるかもしれない。

 暁斗・沙夜・ひかり三者三様にお互いがお互いの求めるものを残りの二人で満たしているという状況が作り出すハーレムは、暁斗ハーレムでもあって、沙夜ハーレムでもあって、ひかりハーレムでもある。願わくは三人が末永く幸せにならんことを。


 以下本編
 沙夜たんかわいい。
 エアコンにも認められる沙夜たんかわいい。
 キスしたことを指摘されて照れる沙夜たんかわいい。
 勝手にお祭りの中心に据えられる沙夜たんかわいい。
 電柱にしがみついて駄々っ子する沙夜たんかわいい。
 電柱に隠れちゃう沙夜たんかわいい。
 告白する沙夜たんかわいい。
コタちゃんに報告する沙夜たんかわいい。
 扇風機沙夜たんかわいい。
 結婚言われてくねくねする沙夜たんかわいい。
 デートという語感に喜ぶ沙夜たんかわいい。
 前髪決まらなかった沙夜たんかわいい。
 水着沙夜たんといい、かき氷をあーんする沙夜たんといい、とにかく沙夜たんはかわいいのだ。




(1)見上げてごらん、夜空の星を Intersellar focus公式サイト(R18)
http://www.pulltop.com/full-of-stars/if/
(2)見上げてごらん、夜空の星を Intersellar focus 制作告知Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=ThTHma-kyKo
(3)湯豆腐のようななにか 見上げてごらん、夜空の星を Interstellar Focus 製作決定!
http://suxamethonium28.hatenadiary.jp/entry/2017/12/19/224104
(4)Twitter 紺野アスタ
https://twitter.com/asta_konno/status/1013372814357753856