感情の欠落を上手く描けていると思う。etc…
◆感想◆
異様な名作。エロゲーと言う市場に出す物ではない。けれどもこの感動は小説では味わう事は出来なかったと思う。細かい演出部分があった故に感動。突出しているわけではないがまとまっていた演出はシナリオを引き立てていたと思う。
シナリオに関しては書き手の正気を疑った。上手く表現できないのだが、忍の葛藤は理解し、なお共感出来たのでこの点数。細かい部分を見るとマイナスも多いが(例えば章二が死んでいたりジーン放置されてたり未完成っぽいetc…)しかし、それでも色あせずに心に残ってくれたのでこの点数。
忍の考え方については幼少期の欠落などは実際よくあるのだが、抱えているものが違った。彼は王なのだ。まともな倫理を手に入れなかった場合は灰野のような人間になっていた可能性もある。人類を救うには十分ではない。知識のみで人の救済がなしえないという事を書いていたようにも思える。
だからこその心情を友達と言う形によって学び、狂気と人の作った平常の狭間を行き来する事によって初めて制御可能な領域。人を消費して、人を救う。そして人の作り出した化け物殺す。なんてウロボロスとは素晴らしい例であったと思う。
それに、もしも正常な社会に適応出来る倫理を手に入れられなかった場合は忍は殺されるしかなかったかもしれない。全てが自らに嫌悪を抱かない世界。他人はいない。全て自分の延長。どれだけ嫌われる事をしても肯定される世界。発狂物である。故に待っている物は地獄。全てが手に入る世界を忍は求めていなかったし、全てあるという事は何もないに等しいと言う事であると語っている。(この場合は全てが自分の延長と言う事は自分を確かめる術は完全には無く自らを定義するものが無いという意味)私はそう読み取った。
色々書いてきたがなんにせよ天才天才天才。ロミオの真髄を見たと思った。ただ頭が異様に疲れる作品だった。もうやりたいとは思わない。ただ、この作品で得られた物は大切にしていけそうな気がした。
あと葉子愛してる。