ぶっちゃけウソツキいらなかったよね?いろんなところが説明不足の惜しい作品 【12/6追記】追加ルートプレイ後に再評価(62点→74点)。最終ルートが追加されることによって納得のいく作品になりました。しかしすっかり騙された…悔しい…
※最下段に追加ルートプレイ後の追記あり。すぐ下の感想はルート追加パッチがリリースされる前の感想です。
衣織→彩紀・芙蓉→3人娘→百夜と進んだが、彩紀・芙蓉ルートの完成度が飛び抜けている。
衣織ルートと3人娘ルートは正直ガッカリ。百夜ルートは短すぎる。
3人娘編はルートそのものに攻略キャラ水増しの側面があるから多少仕方がないとして
バリバリのメインキャラである衣織ルートが微妙だったのは残念(衣織はかわいかったけどね)。
百夜ルートは悪くなかったがこのゲームのまとめにあたるルートとしては色々説明不足すぎる。
わざとかと思うほどに謎を残したまま物語が終わってしまった(それともまだ何か残ってるのかな?最後のパスワードはなんだったんだろう…)。
作品全体に言えるがとにかく放りっぱなしの設定や伏線が多い。
こうも説明不足ではとりあえずそれっぽい伏線を置いたようにしか思えない。
特にこの作品の設定放りっぱなしで一番酷いのが「ウソツキ」について。
ゲームの表題にもなっていて物語に(一応)深く関わってくるウソツキという
キャラクターについて正体も目的もほぼ明かされないまま物語が終わってしまった。
敵方の最重要人物に全く説明がないのはどうなの…。
一応いなくてはならない位置に置いてはいるけど、いなくても全く問題なくストーリーは進むし。
(無理やりストーリーに絡ませているとしか思えない場面も多かった)
彼の目的や正体など、作品中で明かされなかっただけで設定上はちゃんと存在するのかもしれないが…。
私にはライターさんがなにも考えずにそれっぽいキャラを用意したようにしか思えなかった。
目的があったとしてもそれが作品中で明かされなくても問題ないほど存在が薄い。
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とにかく重要な設定について説明不足すぎる。
ゲームの雰囲気はいいし、設定自体も魅力的だっただけに非常に惜しい。
テキストは有名なライターさんだけあってスラスラ読めたが、
シナリオ全体はというと設定の説明不足から中身がない(設定先行?)ように感じてしまう。
全てを明らかにする総まとめのようなルートがあればもしかしたら評価が180度変わったかもしれないが…。
シナリオ面以外では絵が総CG枚数31枚(差枚数含まず)と少ないのも大きくマイナス。
システムも起動ディスクが必要な上に起動ごとにディスクチェックが必要とかなりの不親切仕様。
シナリオは作り込み不足(キャラや設定は良いが)、絵は枚数少ない、システム最悪…と褒める所がない。
数少ない伝奇もの、しかも18禁でない作品ということで
このジャンルのいちファンとしては応援したくなるが、これでは高評価は出来ない。
体験版の時点で伝奇ものの名作になるかもしれない、と思ったけど空振りでした。
以下ルートごとの感想。
【衣織ルート】
狙いすぎなほど狙った設定のキャラクター。これだけあざといと逆にすがすがしい。
ストーリーも衣織のキャラクター性を見せることが中心になっている。
むしろ「衣織が主人公に対して好意を持っている」という設定を見せるためだけのルート。
要するに主人公と衣織がキャッキャウフフするだけのお話だったのでストーリーの筋書き自体はどうでも良かった。
主人公と妹のハッピーエンドのために出番与えられて殺されたヒマワリとクラスメイト二人カワイソス…。ヒマワリだけでも生き返ってよかったよ。
彩紀・芙蓉ルートのようにストーリーにしっかりとした筋がない。
メインとなる親友とその幼馴染みとの三角関係の話も無理やりお話を作って無理やり締めた感がある。
クライマックスの主人公たちが黄泉の国に行くくだりはあまりにも唐突過ぎてポカーンとしてしまった。
衣織のキャラクター性に頼り切ったルート。
【彩紀・芙蓉ルート】
本作のメインと言っていいルート。
物語序盤からきちんと話を積み上げていて、ストーリーに一本筋が通っていた。
逆にこのゲームできちんと筋が通っているシナリオはこのルートだけ。
一応途中から彩紀と芙蓉でルートは分かれるが大まかな流れはほぼ共通。
【3人娘ルート】
「これが物語だったら反則もいいところですよ」
え、ライターやる気ないの?
やたら引っ張った3人娘の「不幸」があまりにもテンプレすぎて笑った。
話の転換(サトリや黒装束の登場)がちょっと唐突で色々ご都合的。
それに加え他のルートと比べて犬彦の出番が不自然に少ないし性格も違うような…。
無駄に長いがルート水増し、文章量水増し以上の意味がなかった。
【百夜ルート】
上記3ルートクリアでオープンするルート。本作のまとめにあたるが非常に短い。
残された謎もほとんど明かされないまま終わってしまった。
ヒロインである百夜にしてもルート自体が短いだけに絡みも必然的に少ない。
立ち位置的に衣織に対抗できる唯一のキャラなのだがなぜかサブキャラのような扱いに…。
不遇すぎる。いいキャラだけに非常に残念。百夜との絡みをもっと見たかったのと、
このゲームの伏線を消化するという2つの意味で、もうちょっとこのルートをしっかり作って欲しかった。
正直3人娘ルートを無駄に長くするくらいならこちらに力を注いだほうが良かったのでは…。
【総評】
百夜はまとめ(おまけ)編扱いで非常に短く、彩紀と芙蓉はストーリーがほぼ共通なので
実質「衣織」、「彩紀・芙蓉」、「3人娘」の3つがメイン。
文章量的にはそこそこあると思うが共通する箇所が多いのと設定の消化不良感のせいでかなり短く感じた。
全ての謎を明かす総まとめのルートが必須だと思う。あと百夜の扱いが不遇すぎる。
このふたつさえしっかりしていればこのゲームの評価は180度変わったかもしれない。
このまま終わりではあまりにも説明不足すぎると思うのだが…。
まあここまで好意的でない評価を書いたが、流石工画堂、ゲームのつくりそのものは丁寧ですんなり最後までプレイできた。
ただしひとつの物語としては、枠組みがブレブレ、設定先行、作り込み不足で中身がない。
体験版までの内容は伝奇ノベルの名作を期待させるものだっただけに、しっかり作りこんでくれればと思わずにいられない。
続編や完全版が出ても金を出す気にはとてもならないが、無料のルート追加パッチが出たら喜んでプレイするよ。
その時に初めてこのゲームの真の評価ができると思う。
そのうえでボイス追加版が出たら買うかもね。
まあ売れてないようだからどちらも無理か…。
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【12/6追記】
このゲーム…ここまでやるか…。あざとい…あざといぞ…。
実は女の子だったとか…しかも見た目ロリとか…。
衣織もあざといが、ロリ犬彦も相当あざとい。
だがそれがいい!クソッ!(どうせなら男の娘だったらよかったのに!)
ああ、びっくりしたさ。
あまりの驚きぶりに犬彦とのエッチシーンあるのか?!とか考えてしまった。
おかしいよね、非18禁ゲームなのに。
暮らしにくいから本来の姿(女の子の外見)に戻ったって
オメーそれ別に他のルートでも戻ろうと思えば戻れるだろうが!
ライターがロリ婆を出したかっただけだろうが!読み手びっくりさせるためだろうが!オラッ!
くそうやられた。
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このゲームの発売日が11月20日。
そして発売から約2週間が経った12月4日、ルート追加パッチ(!)が公式サイトにて公開されました。
最終ルートが追加され、物語がきちんと終わりを迎えます。伏線も一気に回収されました(そのかわり新たな謎は増えたけど)。
「二度と会うことはないだろう」
ただの放りっ放しだと思ったウソツキのこの捨て台詞にもちゃんと理由があったのには素直にやられました。
正直、一度駄作と評価したものを再度評価するのはかなり難しいですが…。
追加されたルートを「はじめからあったもの」と考え、
追加ルートを含めて一つの作品として一から評価しなおしました。
(ちなみにルート追加パッチをあてる前の評価は62点)
結果、名作(80点)には届かないが、佳作(70点)には十分届く作品であると。
加えてキャラが抜群に良く、日常会話のテキストが楽しいので+4点。74点としました。
最後のルートが追加されただけでプラス12点。ちょっと評価上げすぎ?
でもパッチ当てる前は作品として未完成品といっていい内容でしたから。
ルート追加前と追加後では比べ物にはなりません。
追加されたルートを含めて一本の作品と見た場合、伝奇ものの作品として十分佳作以上と評価できます。
まあ正直、この作品を低評価とした理由の全てがルート追加パッチで解消されたとは思いません。
衣織ルートや3人娘ルートが微妙だったのは変わらないし、百夜さんの扱いが悪かったのも変わらない。
パッチの容量も289MBと大きかったけどその9割はエンディングムービー(250MBくらい)だったから追加された内容自体は少なくて少々肩透かしでした。
残された謎が解消された代わりに、新たな謎は残ったし…(バッドエンド以降の全てが「夢」だったとして、じゃあ「現実」は?
現実の芙蓉とか3人娘とか衣織のクラスメイトの子達の問題はどうなったの?解消されたの?まさかされてないの?
そもそも九十九が犬彦の世界から解放されたのは何月何日なんだ?等々)。
でもまあ一応明らかにされるべきところまでは明らかになったし、ウソツキも正体わかったし、なによりロリ犬彦かわいい!
ジャンルが伝奇、プラス非18禁の意欲作ってことで少し甘めに点数をつけました。
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追加ルートをシークレット扱いにしたのは失敗でしたね。
追加されたルートが別に無くても良いような類のものならともかく、
それが物語の核心部分で無くてはならないものだったのに、それを隠しちゃったのは工画堂の作戦失敗。
ルート追加される前の本作品はあまりにも酷すぎた(未完成なんだから当たり前ですね)。
レビューは酷評の嵐ですし、発売日購入組が一度下した駄作の評価を覆すのは難しいでしょう。
かくいう私も一度は伏線放りっ放しの駄作と評価しちゃったので、その先入観が抜けません。
このパッチが公開される前に手放した、もしくはアンインストールした人も結構いると思うし…。
ちょっとパッチ公開するの遅かったですね。
発売日購入組が正当な評価をするのは難しいかも。
これからプレイする人は、安心してください。
とりあえず物語は綺麗にまとまります。
名作と呼ばれるほどの作品ではないかもしれないけど私は好きです。
なによりこれだけ読んでて楽しいテキストを書けるライターさんはそういない。それだけでも価値がある。
また同じ面子で伝奇ものを作るならチェックすると思います。
良い作品でした。
※POVは「なりそこね(A)」「期待はずれ(A)」を取り下げ、「テキストが良い(B)」「人外のヒロインが魅力的(B→A)」を新たに追加・評価変更