前作と比べると良い所も悪い所もある。青空ほどの「唯一無二」感は無く、普通のエロゲに近い。「前作に何を求めたか」によって評価が変わる作品。ただ青空の続編としてはこれ以上のものは作れないと思う。続編としては100点満点。前作から10年近くも経って、よくこれほどの作品を作ってくれたTOPCAT!(とライター)。
いやあ面白かった!
これほど良い続編ができあがるとは発表時点では思いもよらなかった。
なにせ前作から約10年経つ作品、しかも一度綺麗にまとまった作品の続編、
象徴的だった原画が前作とは異なる、と続編を作るには相当不利になる条件が揃っていた。
にも関わらず、これほど続編として自然で、かつ面白い作品が出来上がったのは奇跡。
個人の感覚で面白い面白くないはあるかもしれないけど、青空の続編としては100点満点のできあがりでしょう。
しかし前作と比べると良いところと悪いところもあり、両作品の長所と短所がはっきり違います。
・悪いところ
①田舎の雰囲気が薄れている。
一応田舎が舞台ではあるけど前作ほどその雰囲気は強くない(時代設定も前作から進んでるしね)。
前作で田舎の雰囲気を高く評価し、名作とした人にとっては近作は「普通」のエロゲになるかもしれない。
あと神様が前に出てきすぎ。
②堂島さんしょぼい
しょぼいっす。弟と比べてキャラの魅力が段違い。
まあ雇ったメイドのスペックが高すぎたのが彼の運の尽きか。
(いや雨音ちゃんのスペックはある意味とても高いのだけど…)
③前作ほど多重視点の意味がない
最初にプレイできる立花、三葉、朝、砌のどのルートも大まかな流れがほぼ同じで後半は正直飽きた。
まあそのおかげで共通から作り直した最後の文乃・月乃ルートがより映えるのでこれは一長一短か。
・良いところ
①ボイスの存在
元々地の文が多いライターさんなので、ボイスが無くても評価に関係しない
作品ではあると思うのですが、それを差し引いても今作の声優さんは良い仕事しすぎ!
特に前作でイメージがガッチリ固まっている文乃の声がぴったりだったのが大きい。
そのほかの面々もベテランで固めていこともあり、どの登場人物もはずれがありませんでした。
②インターフェース、システム
これは流石に9年経っているので前作よりかなり洗練されていました。
ほかのメーカーと比べても高レベル。
③まとめルートの存在
これがなければ凡作でした。
共通から作り直し。ライターさん頑張った!
総括。
全体のクオリティはアトリの方が高い。
しかし田舎ゲー、堂島さんのキャラ、たかみち氏の原画など、
前作にあったこのゲームでしか味わえないという「唯一無二」感は薄れている。
この手の伝奇ものは数自体少ないからそれだけで珍しくはあるのだが、前作と比べるとやはり普通のエロゲに近い。
そういう意味で青空のような「エロゲ史に残る名作」にはならないだろう。
そう評価したうえで今作の評価を前作より上としたのは
まとめルートの存在と前作よりヒロインが好きになれたこと(前作の一癖も二癖もあるヒロインたちも好きだけどね)。
もうだいぶ昔の話で記憶が曖昧だけど、青空も最後のルート(文乃ルート)をプレイするまで
「田舎の雰囲気が良い、佳作程度の作品」程度の評価だったのが文乃ルートを読了後は評価が「名作」に一変したように、
アトリも最終ルート(月乃・文乃ルート)で評価が段違いに上がりました。
なんせ最終ルートは共通ルートから書き直す気合いの入れっぷり。
朝、三葉、立花、砌はほとんど展開が同じで、正直また同じような展開を
読まないといけないのかとウンザリしていたのでこの共通書き直しは大正解。
最初から飽きずに読むことが出来ました。
あと最終ルートだけ輩人君の性格がちょっと変わるのも面白かった。
「月乃ちゃんとの初めてのHは、後ろに入れてしまいました」
「俺は痛くても我慢できます」(文乃ちゃんの尻に敷かれながら)
「先輩、こんな風になりました!」「うん…良かったね…」 等々
「後ろに入れてしまいました」じゃねーよ!(笑
最終ルートの輩人君のはっちゃけっぷりには好感が持てます。
複数回同じルートを進むことを皮肉った楽屋オチ的なギャグもあり、
(輩人君が知らないはずの檻の番号を”なぜか”知ってたり)
ここらへんの少しとぼけた感じが『かまいたちの夜』のピンクのしおりみたいで面白かったです。
まとめルートがなかったら凡作でした。
・・・・・
まあ色々理由を並べたけど、ぶっちゃけ立花がかわいかったこと。
前作より評価を上にしたのはそれだけが理由かも。
前作プレイ済みで今作をやろうか迷っている人はまず体験版をやれば良い。
それで立花にやられたなら、迷わず購入しましょう。