ErogameScape -エロゲー批評空間-

Seirenesさんの少女たちは荒野を目指すの長文感想

ユーザー
Seirenes
ゲーム
少女たちは荒野を目指す
ブランド
みなとそふと
得点
75
参照数
1081

一言コメント

全体的に物足りない印象が強い

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

面白いには面白く、エロゲ業界を舞台とした作品をプレイするのは初めてで、ライターがロミオだからこそ、ここまで面白おかしく書けるのだろうというのは感じた。
テキストはテンポよく進み、主人公にも声があったのでそのおかげかも知れないが、苦はなく読み進めることが出来た。
しかし、シナリオが「これはロミオが書いたのか」というくらいには物足りない。
他の方も仰っているが、「テキストはロミオだがシナリオがロミオらしくない」というのは、ロミオ作品をプレイしたことのある人なら感じるであろう。自分も感じた。

まず不満を持ったのは、公式サイトに書かれていた作品概要についてだ。
「部活内で、ゲームを作るまでが第一部。第二部からは、社会人感が強めの話となります。」
と書かれているが、二部でも実際にヒロインや主人公たち、六波羅メンバーが卒業して企業勤めしたり、しない。
朝森さんFDを在学中に作り、販売して終わり。
一部では、主に部活内のいざこざ解決やタイフーンとの対決があり、二部では、企業からの引き抜き(在学中)だったり、部活内から少し出た企業関係だったりのいざこざを解決していくという流れ。
自分としては二部では卒業して企業に入ったりして荒野の厳しさを更に実感しながら成長していくものかと思っていたので肩透かしを食らった。
そのせいで熱血漫画などでよくある展開「俺達の冒険はこれからだ」というなんとも消化不良で終わった。
しかも、荒野の厳しさというものを余り感じられなかったのは自分だけだろうか。
タイフーンはともかくとしても、ベテランで長年活躍してきた細川さんとの勝負でポッとでの高校生が勝つところなど、理解に苦しむ。実際にもそのようなことが起こるのだろうか。オーバーに書き過ぎだと感じたし、主人公に対して甘すぎるのじゃなかろうか。
もっとネット炎上や、批評なども多くあってよかったと思う。

それから人間模様が結構淡白だったのもキツかった。
あっさりと、終わりすぎていてこれならば18禁でもっと生々しく厳しい世界を書いた方がよかったのではなかろうか。

と、長ったらしく書いてきたが、それでもヒロインは立っていて良かったと思うし、ビジュアルも可愛く、内容が短い割にCGも多く、話も無駄に長ったらしくなく、サクサクと軽く進むため、言い部分も少なくない。

だが、クロチャンや最果てのような作品を期待して買えば裏切られるだろう。
ただ1つ、タカヒロェ……