日常コメディの楽しさと日本神話の世界観。トンデモな独自解釈も物語として面白い。
全体を通してキャラクターがいいという印象。特に圧倒的メインヒロインの和香様は素晴らしく、超然とした性格かつ上位存在気質の彼女が徐々に主人公に対して執着や寵愛を向ける変化、独占欲じみた嫉妬心、Hシーンでの愛情表現など破壊力抜群。会話ノリの緩さや現代社会を楽しそうに謳歌する様も可愛らしく、文字通りの神ヒロイン。るるは様や妖怪、祈祷師たちもコミカルかつ人間味のあるキャラ付けで、憎めない人物ばかりだった。
導入が長めだがそこで読み手がダレないみなと風味なキャラと楽しい掛け合いが嬉しい。
国産み疑似体験セックス(シュールすぎる...)からは神話の流れを追いつつ、日本神話の再演/改変という要素が加わる。天津神との対峙で意図的に再演を起こす、相手の改変を防ぎこちらに都合の良い改変を起こそうとしたり、エピソードや俗説を基にしたライタ-の独自解釈が入ることで展開や設定が想像しにくく、物語的にも面白かった。
終盤に明かされる和香様の出自、玉依姫=蛭子という設定。日本神話における悲劇の神だが、生みの親に「良くないもの」として捨てられ、育ての親とも絶縁し、地上を追われ地下深くに封印されていた彼女がこの新しく創られた世界に自らの座する場所を見つけた、という優しい結末を迎えられて良かったと思う。
女神二柱と主人公の関係性が神武誕生に至る系譜と重なり、神話の再演となるのも綺麗だった。終盤のるるは様の扱いや叔母の存在もこの終わり方のためだったのだと納得出来る。和香様との出会いも神話の再演の一環として導かれたものだったのだろうか。
過去作品と比べると男キャラがカッコよくなってて◎