つよきすらしい賑やかなノリが共通から個別まで続き、シナリオは単体でも面白いが一学期と比較するとより味わい深い。グランドフィナーレでは卒業、つよきすという作品の一区切り、楽しい時間が終わることへの寂寥感が余韻を残す。楽しさも切なさも詰まった学園モノの傑作
・乙女さん
共通ルートから出番多め、他ヒロインのルートでも全方位にお姉ちゃん/先輩として頼りになる存在、今作のテーマが卒業ということもあってかなり美味しいポジションにいたイメージ。お姉ちゃんの飴と鞭とお節介は前作から変わらずで、くすぐったさ半分ウザったさ半分、姉弟特有の一歩近い距離感が心地よい。一学期と比べ声や言動がやや柔らかくなったのはそれだけ仲良くなったということかな。その分日常シーンが本当に楽しくなって良かったんじゃないかと。いつものドタバタしたノリが楽しいのは勿論、なんとなくお気に入りなのは帰り道に駄弁りながらコンビニに寄り道するシーンで、三学期はこういう些細な日常描写の雰囲気も良かったと思う。
個別ルートでは乙女さんの説教が印象的。ただなにかに頑張れる人間になって欲しかったのに、自分の鍛え方がレオから自発性を奪っていた。乙女さんの真っすぐな愛情と不器用さが素晴らしい。エキシビションマッチでは、乙女さんの一声でレオが何回も立ち上がるシーンは燃えたし、最後まで世話焼きな姉と甘ったれな弟の関係のまま終わったのもこの二人らしいエンディングで良かったんじゃないかと。いつか自立する時が来るとしても、この二人にはもうちょっとだけこのままでいて欲しい。不満点を挙げるなら瀬田と法野は陰湿&胸糞でつよきすっぽくないなあと思った。
・素奈緒
個別ルートとアフターの〆のセリフで二回もタイトル回収をこなす真ヒロイン。レオと素奈緒は甘酸っぱいシチュエーションが多くて良かった。消しゴムや相合傘のおまじない、塾帰り30分の逢瀬、アフターのゲーセン→ファミレスのデート、村田夫婦の冷やかしなど、いかにも青い春という感じの甘酸っぱさが微笑ましい。
個別ルートはテンション理論を軸に二人の関係性を描き切った。乙女さんのお節介などを切っ掛けに再接近し、互いに惹かれ合いつつも、だからこそ相手との在り方の違いが許容できないという寂しさ。そのままならない想いをぶつけあった弁論大会は作中最もとにかくドラマチックで、勢い余って公開告白までしてしまう青さも含めてこの二人らしいシーンだった。一学期との相違点は、変わってしまったのは自分のためだったと理解して、今のレオを受け入れたこと。ラストシーンでは「あの頃の対馬が好きだった」とレオの変化を許せなかった素奈緒が「どんなに変わってもいいよ。対馬が対馬でいる限り、アタシはずーーっと大好きだから」とまで言い切った。二人の関係の着地点としてはこの上ないと思う。残念なのは拳法部絡みで乙女さんを助ける下りでこの二人はほとんど何もしてなかったこと。
・カニ
フカヒレと並ぶギャグメイカー。若干言葉遣いがマイルドになりつつも相変わらずのクソガキDQNぶりに笑顔。共通ルートの徹夜ファミレスやケーキ争奪戦、なごみ√の格ゲー煽りは声優の好演もあってお気に入りシーン。
個別ルートはファミリーの離別と成長の物語だった一学期に対して、三学期は対馬ファミリーという居場所を守るお話だった。友情とは頑張って頑張ってようやく守り抜けるほど繊細で失いやすいが、そいつを守り抜くために頑張るのは辛くない、という一学期とは異なる友情観で対馬ファミリーの絆を描いた。やはりこのルートで光るのは伊達スバルで、カニに対する一途さや、それでも最後はレオカニのために一人泥をかぶる友情の篤さは一学期と変わらず。それだけに彼の背負うものが大きくて心配になるが、三学期ではレオもフカヒレも(ヒロイン以上に)スバルを気にかける描写が多く、皆で今の関係を守ろうとしてたのが良かった。一学期のようなアツい青春ドラマはないものの、幼馴染達の優しくてちょっと切ない雰囲気が沁みるルートだった。対馬ファミリーのために想いを秘めたまま身を引いたスバル、そんなスバルにそっと寄り添うフカヒレ、タイムカプセルを埋めながら俺たちあの頃から変わらないねって笑い合う...どのシーンでも対馬ファミリーが愛おしい。対馬ファミリーの日常で幕を閉じる幼馴染END、一学期ではレオが何も行動を起こさず惰性で過ごした結果だが、三学期では葛藤と努力の末にようやくたどり着いた景色であり、それだけにより感慨深く感じられる。
・よっぴー
・姫
・セレブ
・なごみ
・その他
個人的にギャグ、というか日常シーンの会話や雰囲気も一学期より良かったと思う。一学期の殺伐路線より三学期の仲良し路線が好き
三学期で一番扱い良くなったキャラは村田?一学期みたく難儀な役回りから解放されて態度も軟化気味。セレブルートのお泊り会ではしゃぐ対馬ファミリー+村田は個人的お気に入りシーン。毒キノコの副作用で声優の好演が光り、くーとの仲も微笑ましい。乙女/素奈緒√では熱い一面も見られて良かった。
姫→乙女さんのデレが凄まじかった。三学期はキャラ同士横のつながりが厚くなったと思う