抜きゲーと思うなかれ、シナリオも音楽もハイレベルに纏まっている
・シナリオ
上手くまとまっている。どのルートも、夏葉の異常成長の原因を探る過程でヒロインとの関係性に変化が起きる……という流れで、グランドルートの夏葉√で核心が明かされる形式。
でも、個人的にはすみ√のほうがグランドルートとして相応しい気がします。
「人と妖の共生」という作品のテーマの一つを体現したキャラが登場しますし、登場人物の過去に踏み込むシナリオ、そして何より飛車角の大活躍等、もっとも魅力的なルートでした。
このルートに限らず飛車角は活躍しますが、すみ√での魅力は段違い。その侠気に泣かされます。あのシーンで主人公に呼びかけるときの「ある変化」に泣きました。
そんなわけで攻略順はありす→夏葉→すみがオススメですが、夏葉√では先述の通り核心が明かされるので、すみと夏葉の順序を入れ替えてプレイするのもアリだと思います。
・絵
背景が本当に綺麗で、舞台となる「夏の田舎」をしっかりと感じることができ、しっとりとした情景に浸れます。立ち絵の目パチ・口パク機能も地味だけど、作品に花を添えています。
・BGM
全体にまったりとした曲調のものが多いです。インパクトは控えめですが、情景によくマッチした曲ばかりで魅力は十分です。
ボーカル曲が結構たくさん使われているので、お気に入りの曲が一曲はできると思います。
・Hシーン
かなり多い上、濃いです。プレイ内容も結構多岐に渡っています。
シナリオも良い抜きゲーと言えば聞こえはいいですが、シナリオ重視の人にとってはHシーンが多すぎて邪魔で、R18要素重視の人にとってはストーリーが冗長で邪魔くさい……というジレンマも抱えています。
シナリオ重視でロリキャラが好きと言う人にとっては正しく神ゲーであること請け合いです。
・総評
夏、田舎、妖怪、伝承…といった要素をハートフルに纏め上げた作品です。プレイすればするほど、登場人物たちの優しさに触れられて、優しい気分になれるんじゃないでしょうか。