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SakuRambo_sonさんのサクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-の長文感想

ユーザー
SakuRambo_son
ゲーム
サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-
ブランド
得点
10
参照数
2413

一言コメント

引用に引用、引用に次ぐ引用、そして引用。もう箱にゲームディスクじゃなくて宮澤賢治と哲学書入れて売れよ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

今作はすばひびのようなホラー・ミステリーな要素はほとんどない。伯奇関連は謎めいてはいるが、真相が気になる描き方はされておらず、謎を追うような楽しみはない。
そして、すばひびの数少ないおもしろかったところがそのホラー・ミステリー部分なので、そこがなくなったただの学園モノのサク詩はというと、おもしろかったところを探す方が難しいぐらいに退屈であった。





全Ⅵ章構成で、Ⅰ・Ⅱ章が共通、Ⅲ章の4(5)ルートが各ヒロインの個別、Ⅳ〜Ⅵ章がトゥルールートやグランドルートに相当する内容。
すばひびではⅠ〜Ⅲ章とⅣ〜Ⅵ章の内容にかなりの温度差がありそこが問題だったわけだが、サク詩でまたしても同じミスを犯している。そもそもその問題に気づいてすらいなさそうだが。



まず、Ⅰ・Ⅱ章。美術部でワイワイ活動する、多くのエロゲのそれと内容的には大差ない共通ルート。
稟や吹、雫のことで思わせぶりな描写はあるものの、メインは普通の日常シーンである。
日常シーンで大事なものといえば何か?萌えとギャグだろう。これらはすかじが恋愛の次に苦手とするところである(たぶん)。

すかぢの書けるギャグシーンは、キチガイ、下ネタ、暴力。これだけ。
稟や川内野はエロ妄想をするだけだし、雫や吹はひたすら下ネタに話をもっていくだけだし、圭、明石、トーマスは頭のおかしなことを言うだけ。
ツッコミも真面目な否定か暴力のみで、ボケを活かせない。
人の話を聞かないボケとテンプレのツッコミのワンパターンですぐにでも飽きる。
ヒロインが下ネタで迫って主人公がつまらんツッコミで逃げる流れ、すばひびから何も成長していない。

萌えの方も、稟は自分を卑下するのが謙遜に見せた自慢のようでいやらしく、真琴は傍若無人、氷川内野は下ネタ漫才しか芸がなく、話の通じない雫や吹は張り倒したくなるなど、てんでダメ。
楽しいはずのギャグシーンがストレスにしかならないわけだから、ヒロインがマイナスに映り続けるのも仕方ない。

ヒロイン以外の男性陣は会話にすらならない場面がほとんどなので、存在を意識外に追いやりたいほど。
キャラクターを魅せるべき共通ルートがこれなので、以降仲を深めたり活躍を見たりしたい気持ちは皆無のまま、個別ルートやその先へ進むことになる。

キャラクター面は残念な共通ルートだが、壁画を描く部分のストーリーは全体通して一番マシ。
いろいろと美術やらなんやらの小難しい話をされるが、結局「楽しむ」ことが大事なんだと思わされる。みんなが笑顔で作品を完成させていくシーンは輝ける青春。こういうのでいいんだよ。ここはほんとに悪くなかった。

個別直前、折り返してすらいないこのシーンが、既におもしろさのピークであることを除けば。



Ⅲ章は各ヒロイン個別ルート。稟・真琴→氷川内野→雫のルートロックあり。

稟ルートでは稟と吹との関係や草薙の腕の怪我のことが明らかになる。稟は天才なんだなーってなるだけで特におもしろくはない。
稟の妄想が正直気持ち悪く、吹も相変わらず話が通じなくてウザいので、萌えもエロもギャグも全てクソ。とってつけたような微ヤンデレも浅い。
せめてこの2人好きになれてたら楽しめたかもしれないけど、共通からずっと魅力引き出せてないんだからしょうがないよね。
稟は既に堕ちている状態で物語が始まるので、恋愛の過程は楽しむ余地がない。

真琴ルートはお家問題の話。
単に集中できていなかっただけかもしれないが、家族関係がごちゃごちゃしすぎていてさっぱり頭に入ってこなかった。
敵役のおっさんが小物なので盛り上がらない。ポッと出の小物悪役とか並の萌えゲーと変わらんやん、これでよく名作扱いされれたな。
家族関係は重要だが、話の内容自体は全ルートの中で最もどうでもいい。以降のストーリーに一切関係ない。なんだったんこのルート。
真琴は既に堕ちている状態で物語が始まるので、恋愛の過程は楽しむ余地がない。

氷川内野ルートは、個別では一番マシ。
氷川草薙は天才スゴイネーだけなのでゴミだが、二人の関係を妬む川内野の心情描写には多少は見応えを感じた。
川内野のとりあえず下ネタとりあえず暴力なところは嫌いだが、このルートでかなり評価は変わった。
丘沢くんは見る目あるので君が主人公をやってくれ。草薙みたいなクールぶった嘘つきより彼の方が主人公適正高いだろ。
川内野の百合ックスはかなり楽しみにしていたのだが、いつまで経ってもコネコネコネコネコネコネコネコネ。CGすら変わる気配がなく続けられるダラダラと長い愛撫に萎えてしまった。唯一期待していたHシーンだったのに……。

氷川の方は共通の描き方から川内野の相方としか見ていなかったので、特に印象に残っていない。なんか目立つシーンあったっけこいつ。
糸杉云々で草薙がSUGEEEしてた記憶しかない。
このルート川内野ルートだったら完璧だったのに、草薙SUGEEEで台無しになった。
氷川は既に堕ちている状態で物語が始まるので、恋愛の過程は楽しむ余地がない。

これだけ個別で強烈なインパクトを与えてきた川内野(と氷川)だが、これ以降



出 番 は な い。



なんでや……。

あれ、前半目立ってたのに後半影も形もなくなるキャラクター、なんか見覚えがあるなぁ……?
そう。こいつ希実香だよ。
レズなのも同じ(希実香はバイと言った方が正しそうだが)。
こいつがいると多少内容がマシになるのも同じ。
そして前半で出番終えて後半消滅するのも同じ。
なんだ、結局すかぢが同じこと繰り返してるだけかよ……。キャラクターを大事にできないやつはキャラクターを産むな。

雫ルートでは伯奇のことや草薙の六相図?だかなんだかのことがあったりで、シナリオ上はⅢ章で一番大事



に見えるが、最後までやってみると伯奇のこととかマジでどうでもいいので、全く重要ではない。



雫もこのルートを最後に出番が激減する。重要そうに見えて途中で使い捨てられていなくなるヒロイン、すばひびで言えばざくろだな。
おなじみの下ネタばかりで話が通じないキャラクターで、しかも同じようなキャラクターである吹の出番も多いため、日常会話で感じるのは萌えでなくストレスのみ。
草薙が吹のために熱くなったりするんだけど、吹はうるさいだけなので早く消えろという感情しか起きない。カッコいいシーンだったはずなのに残念だったね草薙。
雫は既に堕ちている状態で物語が始まるので、恋愛の過程は楽しむ余地がない。

Ⅳ章は健一郎の話、Ⅴ章は藍ルートに見せかけた 長 山 ル ー ト 、Ⅵ章は草薙青年編。
このⅣ〜Ⅵ章では、氷川内野・明石の霊圧が完全に、真琴・トーマスの霊圧がほとんど消える。稟もⅤ、Ⅵ章で僅かに登場するだけである。消えすぎだろ……。今までの話はなんだったんだ。

Ⅳ章はまあ、健一郎の過去の話が主なのでしょうがない。大事な人の死をエネルギーに名作生みましたよって話。
考えなしに交渉を台無しにする水菜に殺意を覚えることができる。レ○プシーンもないしお前何のために存在してるんだよ。
水菜は知らん間に即堕ちしているので、恋愛の過程は楽しむ余地がない。

Ⅴ章は吹とのアートバトルを長山に見せつけたりして、ラストも長山で締めて、もうこれ長山ルートだろ。
凡人と天才、才能と技術(努力)云々についてがメイン。これはⅥ章終盤でも語られるがⅤ章エピローグの稟との対話の場面で既にかなりどうでもよくなる。

長山ルートかと思われたⅤ章で突然ぶっ込まれる圭の死。時間になっても来なかったりオンボロバイクで向かってたりあかん空気が漂っていたが、予想どおり死んだ。
圭といえば、終始何言ってるかわからんバカでしかなかったので、死んでも感情の揺れはない。草薙が哀しむのはまあわかるけど、見ている側としては冷静そのものである。
大事なのは圭が死んだことよりも圭の死が草薙に与えた衝撃の方なので、圭はバカでもなんでもいいんだけどね。

ただ、死んだ理由が女の子を庇ったことなのは、納得がいかない。ここに美談を挟む必要はあっただろうか?
死生観を描いた作品なら、ここはもっと無常な、本当に何でもないただの事故死であるべきだったんじゃないか?事実、子どもを庇ったということは特に重要には扱われず、草薙も藍も話すのは圭が死んだことそのものである。
死の理由を無駄に美談にしたりせず、ありふれたものにすることでこそ、死生観というものを語れると思うのだが。圭の死に苦しむ草薙という構図に、それは必要のないものだ。

いや、泣いてたかと思ったら知らん間に慰めックス始まってるぐらいだから、そもそもまともに死生観描く気なんてなかったんですよね、失礼いたしました。
大事な人が死んだ直後にエロシーン挟む神経すげーよ、一番笑ったギャグシーンだわ。

突然のHシーンでヒロイン面するが、Ⅴ章で目立つのは長山(と吹)ばかりなので、藍ルートと呼べるような内容ではとてもない。エピローグも稟と長山だしな。
これがⅥ章にも響いてくることになる。
当然、恋愛の過程は楽しむ余地がない。

Ⅵ章は先も述べたとおり草薙青年編。モテモテ先生ライフを送るハーレムストーリーである。
生徒たちと触れ合ったり、プルコギ()の宣戦布告を受けたりする中で、描く楽しみを思い出した草薙が、みんなと楽しく新たな作品を完成させて大団円。
一番おもしろかったところはⅡ章ラストなので、それを思い出させるような作品作りはちょっとワクワクした。



のに、お前みんなで作業してるCGないのかよ……。



Ⅱ章でさ、みんなが笑顔で壁画描いてるCGからさ、楽しさが伝わってきたわけよ。描くことを楽しんでるっていうのがさ、伝わってきたわけよ。
それはさ、作中で草薙も言ってたことじゃん。楽しさが伝わってくる作品が云々って。



なんでここでCGないんだよ……。



というかCGどころか作ってる描写がまずないからな。それが一番大事だろうに、準備までって。これのどこから楽しさ感じればいいんだよ。
そもそも、作品は楽しければそれでいい!!みたいな結論になってんのに、このサクラノ詩自体が、客観的に見て到底楽しくなんてないことがわかるであろう哲学垂れ流しまくってる時点で。
「作品から重厚さや高尚さを感じたらその作品は死んでいる」なーんて書いた作品が、すかぢ信者の皆様から大変高尚なものとして崇拝されているの素晴らしい皮肉ですね。
下ネタよりおもしろいギャグ書けんじゃん。

楽しく作ったステンドグラスどーん!で終わりかと思えば、急に草薙がトーマスを殴り始める。なんでや。
「役に立たない努力なんてない!!」とか言うんだけど……これについては後述。

その後も草薙が咲崎でオナニーをしようとして見つかるというここへ来て最低の下ネタ。なんであとちょっとのところでこんな寒くしたんだ。こんなん書くやつもう凍死しろ。

ところでなんの説明もないまま急にプルコギが震災の話始めたけど、これは東北のやつってことでいいのかな?フィクションの作品で急に現代の、比較的近い出来事を起こったものとして扱われるとやや戸惑う。



さて、ストーリーを一通り追ったので(エンディングについてはちょっと待ってね)、サクラノ詩が問いかけてきたことを考えよう。

「幸福」がメインテーマであるのは疑うべくもないだろう。
稟と草薙は、美の絶対性について語り合う。
稟は、美の神は絶対であると言う。いついかなるときも美の絶対的な価値は不変であるという主張であり、美を追求し続ける。
一方草薙は、美の神はもっと弱いものだと言う。弱い神、と比喩で表現されるとわかりづらいが、要は時と場合、見る人間によってその価値が変動する、美とは相対的なものであるという主張だ。変動し揺らいでしまうことを「弱い」と喩えているのであろう。
美術作品が人に見られることによって完成する、という主張もここに通ずる。美が神による絶対のものであれば、誰に見られずとも完成されたものであるはずだからだ。
そして、同様に何度も問答されてきたのが幸福。
幸福とはどんな状態を言うのか?常に幸福であったら幸福であることを知覚できないのではないか?
それはつまり、幸福が過去の体験から相対的に得られる感覚だということである。
過去に辛いことがあるからこそ、楽しいときが幸福に感じられる。それは相対に他ならない。
この相対性から、辛いとき、苦しいときというのは後の幸福を輝かせるための経験であり、それもまた最高の時の一部だというのだ。

堅苦しく書いたが、もう少しわかりやすく言うと「辛くてもその先には楽しいことが待ってるはずだから、前向いていこうぜっ☆」ということである。



………………うっっっっっっす。
こんな遠回りした結論がそれですか……。



そしてそんな結論に至った草薙は、藍と共に二人で歩いていくのである。





………………いやいやいやいやいやいやいや待て待て待て待て待て待て!!!!!!

なんでそこで藍!?何故!!お前、そこで出てくるほど重要なキャラクターだったか!?Ⅴ章の分岐でセックスしただけじゃん!!後半消滅した美術部員より影薄かったじゃん!!なんで急に出張ってきたの!?草薙と藍の絆、そんなに強かった!?どこ!!どこで強まった絆!!

もうさあ。最後これで〆られたらさあ。評価できるわけないよこんなん。

前半の美術部キャラは後半出番無し。氷川内野はただのサブキャラ。超重要キャラに見えた雫も気づけば空気。センターヒロインの稟はすかぢの大便しに現れるだけ。吹やら長山やらのサブキャラなんぞが目立って、メインだったはずのキャラが尽く不遇な扱いを受けているところで、唐突な藍の大抜擢。なんだこれ。明石なんかはⅡ章でもう見せ場が終わって。圭も死んだだけのバカで。トーマスは無意味に殴られて。どこで絆結んだのかもわからん藍。なんだこれ。メインヒロインを差し置いて生徒とハーレムして、最後に藍。なんで?

キャラクターを大事にしているんだと、少しも感じられない。
最高の時はいつなんだろうな?って言ってくれた若田さんの酒も、結局飲まずじまいだしな。いや若田とか誰かわからんぐらい印象なかったから酒の話ぶっ込まれたのも戸惑ったけど。
ノノ未とかほんとになんだったんだよ。存在意義ないだろ要らなかったよあいつ。存在意義すら持たせられないキャラクター出すぐらいなら既存キャラを大事にしてくれ。

やっぱり、すかぢにとってキャラクターっていうのは、自分の話を代弁させる道具でしかないんだろうな。だから誰でもいいんだよ。すかぢの大好きな話してくれれば誰でも。
だってそうだろ?草薙も稟もその他諸々も、すかぢの大好きな文を引用するばかりじゃないか。
特定のキャラクターが哲学の話ばかりをするならまだわかる。だが、すかぢの書くキャラクターはみんなが哲学大好きだ。あいつもこいつもそいつもどいつも哲学に明るい。
それは何故かって、すかぢが好きなときに好きなやつに引用した言葉を代弁させてるだけだからなんだよ。
すばひびからずっと、引用引用引用。宮澤賢治から引用、哲学書から引用、言葉遊びを引用。大事なところはいつも引用ばかり。引用厨だわ、Tinkerbellかよ。
誰かの言葉の引用はいいから、お前の言葉を書けよ。これは誰の作品だ?お前の作品なんだろ?だったら自分の言葉で書け。うっっっっっっすい結論を、他人の言葉でごまかしてんじゃねえ。最初から最後まで、自分で伝えてみせろよ。

そんな引用厨の人形でしかないキャラクターだから、そりゃ誰一人として惹かれないのも当然だよ(川内野丘沢は多少評価してるが)。まず草薙からして、何故モテてるのかわからんぐらい魅力のない主人公だからな。
主人公なだけあって、すかぢの大便者としての役割が最も多いから、知識自慢のいやらしいこといやらしいこと。美術の知識はいいとしても、哲学知識で自慢、音楽知識で自慢、料理知識で自慢。おっさん丸出しじゃねえか。
そしてクールぶってスカしてるくせにムッツリスケベでキモい。そのクセヒロインの好意には向き合わない。そこらのラノベ主人公のがずっとマシだよ。

何より嫌いなのは、嘘をついてばかりなところ。
まず俺はもう描かない描けないって言いながら描く嘘つき。
壁画は明石が描いたと嘘をつき続ける。みんなで描いたでいいだろ。
Ⅵ章では、美術部とは、稟とは、長山とは関係ないとやっぱり嘘。
自分自身にも嘘をついていて、実力を認めないところがもう。「別にあんなのすごくない」とか嫌味でしかない。舌裂けろ。

自分すら認めない草薙の嘘は、どこか無気力さを感じさせる。これはⅠ章からずっとであった。
だから、圭の死を経た後、Ⅵ章での草薙の無気力さも、特別無気力に見えない。圭の死で病んでるって言われても、もともとこんなだったじゃんとしか思えない。
Ⅵ章で圭の死にろくに触れもしないこともあって、本当に圭の死が軽かった。ちょっと名前出てきたときにカッとなるだけだったじゃんね。
幸福に関する結論を見ても、圭の死は数ある辛いことの一つでしかなかったように思う。

そんな草薙にも快く思っていたところがあった。唯一と言ってよかった。見栄を張って遺産を放棄してしまうところである。
あのちょっと間抜けな場面にこそ愛嬌を感じていただけに、後にそれが直哉くんSUGEEEEE!!になってしまったときの落胆といったら。主人公の最後の魅力が掻き消えた瞬間であった。

本当に、何故ヒロインはこんなやつに惚れたのか?顔ぐらいしか思い当たる部分がない。
メインヒロインどころかⅥ章のサブヒロインたちまで、いきなりあなたに恋している状態なので、どこに惚れたのかはほとんどが不明。
過去にいろいろあった面々も、いろいろある前から好意的だったしな。
恋愛の過程が見当たらないので、少なくともこれは恋愛ゲームとは言えないだろう。



話がだいぶ遡るが、本作のメインテーマは幸福の相対性であろうと先に述べた。
作品描くのを楽しめというのも、楽しさを人が感じとることと人が見ることによって完成する美とが、共通するようにも解釈できる。

では、凡人と天才、才能と技術(努力)についてはどうか?
作中で描かれたことといえば、天才も努力に努力を重ねて実力を身につけるんだということ、何事でも努力すればトーマスを殴るぐらいの役には立つかもしれないということである。

………………幸福との関連性、どこよ。

明らかにこのテーマはメインテーマから浮いていて、トーマスに草薙天才ぱーんち!!をやりたかっただけとしか受け取れない。草薙TUEEE!!(遠い目)

だからね。すばひびのときも言ったけど、結局すかぢは書きたいものを好きに書き散らかしてるだけなのよ。あれこれこじつけて考えたところで無駄。好きなものを思いつきで書き連ねてるだけなんだもの。そうでなきゃこんなテーマから逸れた主張が最終盤で出てくるわけがないよ。
そもそもテーマが間違ってるってんなら、伝えたかったこと何一つ伝わってないってことだろうね。

何度も何度も引用されるNo matter云々も、だから何?以上のものなかったしね。気に入ってたから連呼させただけだろ?そもそもただの言葉遊びなんだから意味なんてねえよ。

美術部員や伯奇やら千年桜やらが後半一切出てこなかったのも、思いついたものてきとーに混ぜて一作にまとめたからだろ?
すばひびのときもそうだったもんな。ざくろも希実香もスパイラルマタイもアタマリバースも、終わってみればなんでもなかったもんな。
全体のことちゃんと考えて書いてたら、こんなに毎回前後半の温度差生まれないよなぁ?



相変わらず、文章の不自然さも健在。直前のセリフをオウム返しで聞き返す会話が非常に多く、多いときでは3連続で聞き返したりする。「い」入り言葉(して「い」る)や「ん」に変化しない「の」(のだから)など、書き言葉でこそ正しいもののおおよそ日常的な会話では耳にすることのないであろう文法に固執する。他作でも見られる悪癖である。





本文の大事なところが引用引用引用。
すかぢが自分で考えたであろう結論はぺらぺらに薄っぺらい。
これだけ他人の言葉で立派な講釈たれておいて、自分で出した答えがこれって。
実質哲学や文学についてまとめた参考書(イラスト付きのやつ)みたいなもんなので、これについて考察することは参考書について考察するようなもんだよね。いやもう考察までするなら最初から引用元読めよ。
信者たちは目を覚ませ。いや、覚める前にどこが良かったのか聞いてみたいぐらいには、良さがわからなかった。
何千歩か譲って、美術に素養のある人なら楽しめそうかな、とは思った。僕が思っている以上にエロゲーマーって美術好きな人たちばかりだったんだなあ()






すかぢ作品がこんなんだって知らなかったから何作も買っちゃったけど、今度こそこいつの作品とはお別れ。
永遠の葬だわ。