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SakuRambo_sonさんの恋し彩る正義爛漫の長文感想

ユーザー
SakuRambo_son
ゲーム
恋し彩る正義爛漫
ブランド
CUBE
得点
62
参照数
385

一言コメント

終わりがひどかったね……。ヒーローなのかギャグなのかSFなのか何をやりたいのか定まっていない中途半端なエロゲだった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ヒーローや悪の組織のキャラクターはもちろん、必殺技の名前を叫ぶところとか、悪の組織のガバガバ作戦とか、爆発オチとか、そういった昭和の特撮の要素は抑えている。
要素だけは。

昭和のヒーローモノはね、平行世界とかそんな平成のラノベみたいな話しないし、悪の組織はあんな回りくどくなくもっと単純な世界征服とか地球侵略とかを掲げてるものなんだよ。
もちろん、そういった昭和テイストをベースに現代風なSFを盛り込んで昇華させた作品もある。けどしるまんは、ウケそうだからいろいろ混ぜてみたようにしか感じない。
技名叫んだりキーキー言ったりするのが好きなんでしょ?wほらオタクくん大好きな量子力学と並行世界だよ?wって浅い考えが透けて見える。

技名叫ぶったって、特撮には映えるアクションがあるわけで。しるまんはただ技の名前叫んでるだけじゃん。それはどんな技なの?戦闘の駆け引き描けなくて次々に技名叫ばせる力業、強引すぎる。誰ですか書けない人にこの企画任せたの。
会話や回想挟みすぎて勢いが完全に死んでる戦闘シーンもあったし、そもそも原画の迫力がないし、なんかマロンブランシェとブラックスノーの戦闘CG構図似てるし、バトルはひどいもんだった。

まあでも、バトルではなくヒーローネタのコメディをやりたかったんだと考えれば、アクションのクオリティが低いのも納得ができる。
何度も擦り続けていたブラック企業ネタからも、はなから真面目にバトルとかシリアスとかはやろうとは思ってなくて、ヒーローコメディやりたいんだろうなって。

そう思ってたのに、並行世界ですよ。実は宇宙人で怪人を売り出してうんぬんかんぬんですよ。
コメディをやるなら、ちゃんとやろう?なんで中途半端に小難しい話を入れて、明るいノリに水差しちゃうかなあ。

ほんなら今度は、そのSFをちゃんとやれたのかって話をすると。
各個別にヒントを散りばめて、TRUEで答え合わせしたところまではがんばってたけど、並行世界のこともアークナーのことも申し訳程度の説明だけで投げっぱ。
並行世界がアークナーに滅ぼされてそうだけど解決どころか何の心配もしないし、TRUEの世界のアークナーも知らん間に大気汚染にやられてたけど本星とかどうなったんだって話も消化不良だし。
設定をこねくり回してたどり着いたクライマックスでは、アラフォーだの童貞だのいきなり後ろからパンチ!だの巫山戯たケンカ。なんだこの茶番。
個別は出来はともかく一応ヒーローできてなくはなかったのに。愛のパワーで力を引き出してたり。最後がこれかよ。

ヒーローはほとんどネタでしかなくアクションは真面目にやる気がない、ギャグにはシリアスで水を差しシリアスにはギャグで水を差す。
どれもこれも中途半端。おもしろいことやったったろ!wで雑にいろいろやろうとするな三流が。

正体を隠した変身ヒーロー(ヒロイン、女幹部、etc.…)であることもあんま活かされてなかったしな。正体明かして、えー!そうだったの!?で終わり。
美栗と不二花の友情の連携とか見たかったし、美栗と雪朱が戦い合うことの葛藤とかもっと深く描いてほしかったし、変身ヒーローコメディとしては鉄板の正体バレネタもやってほしかった。
全員正体隠してるんだからすれ違いギャグとか絶対おもしろくなると思うのに。同じく鉄板の悪の組織企業ネタがロークオリティで擦られ続けててちょっとイタいことを鑑みると、正体バレネタもうまく書けない可能性はあるけど。



エロゲとしての最重要ポイント、「エロ」だけはなんとか死守してたね。
お風呂とか無防備な姿とか、一緒に生活してることを活かした日常シーンのエロが良かった。
公式サイト開いたときなんでこいつら全員発情顔してんだよって思ったけど、なるほど全員常に発情してるわ。

特に脳内真っピンクの美栗がエロかった。妄想一人芝居かわいい。ドプドプゥッ!
ローションプレイなのにCGに少しのぬるぬるも感じられないHシーンは大減点だけど。
個別ルートは、モンパルナス白河でのみんなのその後の生活が見られたエピローグが楽しそうで良かったね、それ以外はともかく。エピローグのくせにだらだら長すぎたけど、みんな楽しそうなのは良かったよね、それ以外はともかく。
掘り下げもしない雪朱と不二花の失恋描写とか必要あった?
準備したのに学園祭のシーンがなくてなんかかわいそうだなとかも思ったり。

真面目な委員長が乱れるところも共通では大いに期待してたんだけど、保住が担当してくれてて号泣。
イチャラブの内容がもう、俺不可知とかでつい最近見せてくれたものと変わらなくて……ほんと、まったく同じもの書いてくれるから、保住だってわかりやすすぎるにも程があるって……!
人気ライターなだけあってファンのことを考えられるので、ゲーム大好きなオタクくんのために、完全に忘れられてたゲーム設定を最終戦に持ち出してきてくれてるんだぞ?戦闘の内容まで「褒め」で表現してくれてるの、もう草すぎるからな?
「乳首が浮いてたのはノーブラで誘惑してきてたのかもしれない!!今から訪ねて確かめよう!!」←この主人公も、この主人公書いてくれた保住も、頭大丈夫か?確認のために胸ガン見してくれる正義の味方さん、アサルトコップはちゃんと逮捕して。
借金返さなきゃいけないのに宝くじ買ってる親を「うちの親はそういう人だからHAHAHA」で済ませる倫理観は近江谷リスペクトか?(とばっちり) こいつらのために娘は身体まで売ろうとしたんだよな。しかも反省もせずギャンブル続けて、ギャグオチのつもりなんだろうけど、これは少しも笑えないよ。

雪朱がダメだった辛さをひかりママに癒してもらおうと思ったのに、お姉さんに好きなだけ甘えていいぞ?→あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ちんぽだいしゅきちんぽちんぽきもぢいいいいい!!は死刑。
授乳手コキからなんで逆転させちゃうんだよ。おねショタ逆転は許されないってあんだけ言われてるのに(これはショタではないけど)。
言うほど気を張ってる描写なんてなかったハヤトを何故急に甘やかしてくれたのかとか疑問に思ってたのが一瞬で吹っ飛んだ。
保住が引退してくれてありがたいにも程がある。

他ルートがはっきり言って全滅している中、不二花ルートだけはめちゃくちゃ楽しかった。
他ルートより日常シーンでのエロが控えめで(前半はあったけど後半ほぼ無い)、「普通のキャラゲー」として丁寧に書かれていたルートだと思う。他ルートがスケベスケベドスケベ!!!を押し付けてくるので、不二花ルートの普通さが実家のような安心感だった。あくまで「普通」なので凄い盛り上がりとかがあったわけではないのだけど、これでいいんだよっていう楽しさがあった。
不二花が純粋な娘なので、ガールズトークでの素直な反応が多くて楽しい。このルートまず女子会の頻度が他より高い、それだけで楽しい。ヒロイン同士が仲良くするところも見たいので。カニや肉に即堕ちする貧乏少女とか、他ヒロインのかわいいところも見られた。何故これを個別でやってくれなかった。ところで雪朱ルートでは無いと言っていたような気がする雪朱の自慰経験が不二花ルートのガールズトークではあるような反応なのは、設定擦り合わせミスですかね。
キスシーンもそこに至る流れ含め良かったし、美少女ゲームとして求めていたのはやっぱこのルートだったな。お嬢様なのでおしっこもあるし。
アサルトコップ方面はそんなにおもしろくなかったけど。
不二花の「正義」がカギだったはずなのになんかよくわからんまま終わったし。
共通ルートのほんと最初の方だけだった、マロンブランシェとアサルトコップも味方というわけではないみたいな話はどこいったんですかね。
あとほんと、オタクの目線に合わせるために無理してゲーム要素入れなくていいんですよ?

主人公は初変身の後ぐらいから常に勃起し続けてるから正義の味方というよりもただの公然猥褻犯だった。
ヒロインにバレバレだからきっと他のクラスメイトとかにもバレてるはずだし、陰キャ寄り(自称)でそれなら絶対良くて総シカトコースだと思うんだけど、何故か周りからの評価は高い。ヒロインなんてむしろ勃起に惚れてそうである。それでいいのか。
最序盤はそんなに勃起してなかったし、陰キャっぽいときもあれば全然そんなこともなかったりするし、シリアスなシーンでは熱くなってたりしてキャラがぶれているように見えるが、決して複数ライターであることやその技量のせいではなく、平行世界の人格が一時的に現れているだけなのである。
主人公が普段大人しいのに急にオラオラセックスし始めるのも並行世界の人格だし、ヒロインがあっさり性奴隷オナホになるのも並行世界の人格である。
まったく透けても浮いてもいない乳首を見れているのもたぶん並行世界のなんやかんやである。
青山先生の桃代に対する憎しみの強さがルートによってまちまちなのも並行世界の人格が混ざっているのである。
決して、複数ライターが性格を統一できていないわけでも、各々のライターが一貫したキャラクターを書けていないわけでも、ないのである。





※サメナナの話をちょっとだけするので、ネタバレ注意





なんかこの、「ヒーローモノをやろうとしたのに小難しいSFを入れたせいでヒーローモノとは遠い内容になった」っていうのが、「B級映画を作ろうとしたのに凝った超展開のせいでまったくB級じゃない仕上がりになった」サメナナに似てるなって思った。
各個別ルートに散りばめた要素をTRUEで回収する構成とかも似てる。
ついでに細かいところを宇宙人設定で片づけてるところも。
サメナナもそんなに評価してるわけではないけど、しるまんはへたくそなサメナナみたいなものを感じたエロゲだった。