現代日本から大正へと舞台を移した乙女シリーズ。時代だけでなく主人公が女装・女子校編入に積極的だったりしていつもとはちょっと違った趣きだった。
乙女シリーズといえばかわいい女装主人公が見どころだが、今作の凛ちゃんはいつにも増してかわいい主人公だった。
女子校やお嬢様にわくわくして無邪気にはしゃぐところ、ちょっと世間知らずで天然なところ、実はぼっちでお友だちができて喜んでるところ、普段はいい子なのに顔のことになるとナルシストでドヤっちゃうところ、かわいいところを上げ出したらきりがない。
精通がまだなところもかわいいが、そこはもっと性知識に乏しい方がいろいろとおもしろくなりそうだったかな。しのぶルートで暴発しちゃったシーンはめっちゃ好き。
主人公だけでなくヒロインも当然かわいい。
共通ルートではヒロイン格差がありクリス以外はあまり目立たないが、個別ルートでかわいい姿を目一杯見られるのでよし。
キャラクター格差こそあるものの、起承転結がしっかりしており共通ルートの出来は良い。
クリスと凛がぶつかり合うシーンが多いが、二人とも子どもっぽいところがあるため空気の悪さは感じず、子どものケンカのようで微笑ましい。
クライマックスの舞踏会のシーンはCGが贅沢に使われていてとても盛り上がる。それ以外もCGの使いどころがいいし、力の入れどころよくわかってんなあ。
凛ちゃんが自分の気持ちと向き合うストーリーで、ここまでだけでも一つの話として完成していた。
ただ女装要素は影薄め。
個別ルートで特によかったのはしのぶルート。ストーリーも、CG演出も、最高だった。
しのぶとブリジットの友情が美しく、はっきりと自分で相手を選んだ凛はカッコよかった。ブリジットも凛を好きだから遠慮する、みたいなうじうじ展開がなく、しのぶもちゃんと自分の気持ちに正直に凛と結ばれたのがよかった。
失恋したのにもかかわらず太陽のような笑顔で二人を祝福し、彼女なりの形で応援し続けたブリジットさんが健気で優しすぎるので報われてほしい。FDでルート作って彼女も幸せにしてあげて。
凛が姉バカすぎる小春ルートもおもしろかった。小春はいい子だなあ。
小春を勇気づけようと自ら男であることをバラすお姉様がカッコいい。女装バレってハプニングが多いから、たまにはこういうのもあり。
あとお姉様の王子さまってワードセンスすこ。
小春のおしりすごくいい形してるなって思いましたまる
メリッサルートは凛ちゃんが襲われちゃうところが良かった。SM逆転してからはそこまで。
むしろ周りの反応がおもしろかったかも(性癖について語るシーンとか)。
ここまでは正直女装要素は薄めだったが、クリスルートでは男嫌いに悩むところで女装設定が重要になっていた。でも女装バレの流れは少し無理やり。
不器用なツンデレクリスが終始かわいい。二人きりのときは特に。
おしっこ要員としても活躍。Hシーンで漏らすならプロローグでもちゃんとCGにおしっこ描いてほしかったなあ。
触ってもいないのにクリスの声だけで精通してしまう凛も見どころ。
女学校編入の目的だったはずの凛と凛パパの話はこのクリスルートで最後に多少触れるのみ。はっきりと超えたり認められたりすることはなく、ほぼ空気で死に設定気味。
個別ルートはどれも凛がヒロインを成長させるようなストーリーになっており、当初の目的であった歌舞伎役者としての凛の成長はあまり描かれていない。
モブキャラには全員名前がないが、登場頻度の高い百合園さんとかはちゃんと名前で表示してあげてもよかったんじゃないかな。あんなに個性強いのに女生徒Bじゃかわいそうだよ。
必要なところでのCGの活用の他、プロローグのタイトル演出が凝っていたり、凛がツッこむときに吹き出しを使ったりと、演出面はかなり良好。
OP・EDともに良曲。ノリノリのベース好き。
ミニFDはいつもどおりの女装男子ネタだけでなく、タイムスリップネタが多く新鮮だった。凛ちゃんのお尻がまさかあんなことになるとは……。
マンネリからの脱却を狙ったのか時代も主人公の性格も挑戦的な乙女シリーズだったが、ちゃんといつもどおりの楽しさを損っておらずおもしろかった。
一方女装要素は凛ちゃんが堂々としてるせいかいつもより弱め。恥じらうことなく風呂や更衣室に突撃するから日常シーンだと普通に女の子の主人公に見えることも。
次回作からをどうしていくのかが気になるわね(ミニFD含め)。
ブリジットさんのためにもFD出して!!