社会からドロップアウトした人生の迷子たちが生き方を学んで幸せを探す物語
夜間学校の話ということもあり、教師である主人公も含め全員がまっとうに生きられない中で、それぞれの幸せを探すようなストーリー。
はやてとりこはどちらも家族がテーマだったが、それぞれ父親と母親について描かれていて、主人公の両親に対する気持ちの整理も片方ずつ処理されていた。
ヒロインたちが泣きながら気持ちを吐き出していくシーンはどのルートも必見。
また、主人公が救うだけで終わらずに、その後に今度はヒロインが主人公を救うのも、主人公本位でなくて良い。主人公も社会から溢れた一人だという設定を大事にしている。
きなルートはいじめられっ子がいじめっ子を見返すためにがんばる話。いじめの描写がエグいことで有名。
暴力という警察沙汰の犯罪行為が比較的穏便(とはいっても退学にはなっているが)に済まされていることや、店長や主人公がいる前でキレて本性表すいじめっ子にはちょっと違和感があったが、まぁおかしいってほどでもないか。でもレジ挟んでどうやって暴力ふるったのかだけはツッコませてほしい。
暴力により肉体的苦痛を与えることには成功したものの退学というそれ以上の対価を支払ってしまって復讐が失敗したのは残念だが、しちゃったらしちゃったでヒロインが悪人になったりして後味悪そうだし周囲の信頼を失ったってのは妥当な決着か。いじめっ子が店長から何か言われた可能性は高いが、その後はのうのうと彼氏とキャンパスライフ送るんやろうなぁって思うともうちょっと広範囲で信頼失ってほしかった。最後に全部もってったこしみちゃんはカッコよすぎ。
きなの受験合否に本文で直接触れず、エンディングの背景で示すっていうのはすごく良い演出。
しっかり幸せな家庭も築いて、主人公も主人公で教職に戻って、さりげなく虫へのトラウマまで克服してる描写があったり、エンディングの魅せ方は素晴らしかった。
りこルートのメインテーマは何かを見つけることで、それを親子の愛情を通して描いていた感じか。見つけたことではなく、探すことが大事ってことが伝えたかったんじゃないかと思う。教える立場の主人公は、教える立場だからこそ見つけることができなかった。親子の愛情に触れたことで、相手を愛すること、見つけて呼びかけることを知った。とかそんな感じなんじゃないかな。
終盤がHシーンの連続=集中してシナリオを読み進められないことで、どうにも没入感がなく、テーマが曖昧にしか伝わってこなかった。Hシーンをスキップしないからシナリオ読み進められないプレイスタイルにも問題があるかもしれないが、終盤にHシーンを詰め込んでるのにも問題があると思う。
性に積極的で何をしても受け容れてくれる母性ロリのりこちゃんはめちゃくちゃエロかった。母親として覚醒して母性そのものとなった綾子さんと組んだ時の破壊力ときたら……。
りこちゃんはかわいいけど、ロリものでもないのにJSに手を出しちゃう主人公はヤバいんじゃないですかね……?しかも全ルートで一番ヤりまくってるっていうのがもう。ランドセル背負ってるように見えても18歳以上だから問題ないか!
はやてルートは唯一卒業式が描かれたりと少し優遇。
ツンツンしてるかと思いきや主人公にべったりだったり、冷たいかと思いきや優しかったり、澄ましてるかと思えばりこ相手にドヤ顔する幼さがあったり。ここまでかわいいヒロインもそうそういない。ギャップ萌えの権化。
優しいけどはやてにはいじわるな主人公も魅力的。はやての魅力は単体ではなく主人公とセットでの魅力と言ってもいいんじゃないか。
はやて母は頭イカれてるから何かしらの罰があってもよかったと思うんだけど。
各ルートの終盤はHシーンばかりで感動のシナリオが断続的になってしまうのは短所。その結果、エンディングを迎えたときにこれで終わりかと感じてしまうところはある。
みんな人生が辛いときはこれやって前向きに生きることを学ぼう。そんな作品。