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SakuRambo_sonさんのフローラル・フローラブの長文感想

ユーザー
SakuRambo_son
ゲーム
フローラル・フローラブ
ブランド
SAGA PLANETS
得点
87
参照数
593

一言コメント

花咲でやりたかったのはこれなのでは……?

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

友達思いだけど素直になれないツンデレ七緒がかわいくていいやつすぎた。恋人としてはもちろん、友達としてもいい役であり続けられていた。ちょっとめんどくさいところもあるけど。お母さんになる宣言はフェティシズムを刺激させる。授乳手コキとかあっても良かったのでは。咥えるの大好きだっただけでも十分すぎるほどエロかったけど。
碧衣さんはチョロいお姉さんだからエロかわいかった。一番抜けたのはこの人。
メインヒロインっぽいアーデルハイトは全然メインヒロインじゃなかった。女の子としての魅力は感じないけどキャラクターは好き。トゥルールートのクライマックスでみんなが声をかけてくれるのに一人だけ声が小さくて何も聞こえないのは笑う。感動的なところでやめてくれw
こはねさんは良い人止まり。

問題は以下2人で、まずは夏乃。少し抜けたデレッデレな幼馴染、ということで共通での評価は高かった(共通終わり頃にはめんどくささが垣間見得ていたが)のだが、いざ個別に入ってみるとHシーンまで出てくる「〜なんだよ」口調が大きく足を引っ張り失墜。
さらに、一人だけ莉玖が見えていたり柾鷹から特別に見られていたりとでしゃばってくるのが鬱陶しい。口調など明らかに頭が悪そうなキャラクターなのに聡明なアピールも印象が悪い。共通前半で攫われたときの要領を得ない会話、共通後半で勝手に動き回って柾鷹の心を掻き乱したことなどは、多くのプレイヤーが苛ついたのではないだろうか。あろうことかトゥルールートのクライマックスでさえあの間の抜けた口調で一気に熱を冷ましてくるのだから……。結局魅力は胸だけだった。

莉玖については同時にトゥルールートについても語る必要があるだろう。
共通、個別の時点でわがままな態度でイライラさせてくるのだが、個別でもそれは変わらず。柾鷹とのすれ違い具合も見ていてなんとも焦れったい。言ってもわからないというのに子供のようにただ嫌だやめろと喚く幼稚さには辟易した。ロリは好きだけどガキは好きじゃないんだ。
莉玖ルートでの柾鷹の行動はすべて愛する莉玖のためであるような描写がなされるが、柾鷹がどのような経緯で恋をしたのかがわからない。愛する人のために炎の中へでも飛び込むこと自体は感動的なのだが、如何せん、どこをどうして愛するようになったのかがわからないのだから熱くなりきれない。実はあれか、莉玖好きになれないからすっ飛ばしたイチャラブシーンで描かれてたんか。それならしゃーないけど。
ただしそれであっても、初めから主役として登場機会に恵まれたヒロインならいざ知らずときどき自宅でのシーンに登場しただけのサブキャラクターがトゥルーヒロインでした、というのは受け入れられないし、それも間違いなく熱を冷ます要因になっていた。莉玖を全体のメインに据えるのであれば、共通の時点でもっと前に出していかなければいけなかった。
柾鷹が迷ったときにふと道を示してくれる莉玖の立場は確かに存在としては小さいものではないが、それにしても出番少なくないか。他人に見えないという事情があるにせよ、である。
トゥルールートの出来自体は悪くないだけに、そこまでのところで評価を下げてしまっているのが悔やまれる。愛だなんだの話をされると冷めるわけだから、やはり柾鷹たちは各々にお別れをしてから焼死していてもよかったんじゃなかろうか。誰も信じられなかった主人公が、最期に信じることのできた大切な人たちに別れを告げて、愛する天使と共に昇天する……よくね?大切な人たちによって地上につなぎとめられる、というのも好きだけど、死ぬハッピーエンドというなかなか見られない感動を見せてくれてもよかったんじゃないか。

否定的な意見が多くみられるが、それでもこの作品がそこそこの深さで心に刺さったのは、全ルートで多く用いられているテーマが家族だからだろう。家族愛好きなんですよ。
特に不器用に養子の前で親であろうとする柳蔵が理想的な親父すぎてグッとくる。ただの親父かと思えば最後まで持っていくんだから、なんて偉大な親父なんだ。
あとは火事を前にしてついに利成のことを兄貴と呼ぶのも熱い。今まではただ懺悔の念があるのみだったが、同じ状況を前にしてついに、血の繋がりなどなくとも同じ心意気を持つ家族として、「兄貴」と呼ぶのである。胸熱。

主人公の成長、という面で見ればかなり良い作品ではないかと思う。悲惨な境遇で育ち他人も自分も信じることのできなかった主人公が、優しい友人たちに囲まれて誰かに自分が必要とされていることを知る。この成長が全編でよく描かれていて、その主軸は非常に良い。

しかし一部キャラクターの設定、トゥルーまでの下拵えの不十分、サガプラらしく顔はかわいいのにやっぱり抜けないことなどは見過ごせない。個別各々は並で悪くはなかったが。特に七緒ルートなんかは薄味で好み。ねずみは要らなかったけど。あれは完全に死に設定だったよね、前後でまったく生かされることがなかった。

テーマを貫いていること、トゥルーの出来が全く違うことから花咲よりは遥かによかった。
花咲も最後火事あったけど火事好きなん?あっちも火事で死んだ兄貴が主人公の心の楔になってたし……もしかして焼き直しだったりするんだろうか。火事だけに。