やすら可愛いよ
前情報全く無しで、パッケ絵だけで買ってしまった。
残念な作品に出会うたびに、絵買いはダメだと反省するのだが、
本作のように良いものにも出会うのでやめられない。
やすらが可愛かったよ。
ダメダメな幼馴染なのだが、時たま出てくる女の子らしい言動に
心がきゅんとなってしまうのだ。
例えば、物語冒頭で放課後の帰宅シーン。
やすらがまだ学園に遅くまで残っていた光人のことを待っていた日の翌日、
今度は光人が部活で残っているやすらを待つのだが、
「昨日のお返し」と言う光人に、やすらが「嬉しい」と応えるシーンだ。
幼馴染から恋人へと関係が動き始める前の何気ないやりとりなのだが、
お互い心を許しあっている雰囲気がよく現れていて何とも良いのです。
という感じで、プレイ開始とともに好きになってしまったやすらを攻略したい一心で、
Endingまで一気に読み進めることができた。
一応Happy Endにはなるのだが、もう少し報われて欲しかったよ、やすら。
物語の設定は良く練られていると思う。天使・探偵部・聖天翔学園などなど。
ただ、Endingまで持っていくのに、その設定を十分に生かしきれていなかったのが残念。
例をあげるとすれば、探偵部。
イベントを入れ込んで、ストーリ・世界観を膨らませる絶好の舞台であるのにも関わらず、
探偵部らしいイベントがほとんどなく、推理で物語が進行する場面が多々あった。
この辺りを工夫していれば、中だるみすることなくうまく終盤までもっていけただろうと思う。
あとOP Movieや公開しているSample CGもやや問題がある。
ネタバレとはいかないまでも、中盤以降大きな鍵となるシーンの絵がぽろぽろ出ることだ。
これではストーリの展開やオチが何となく読めてしまう。
本作のようなゲームでは、できるだけ情報は抑制、
もしくは読み手の思考を別の方向へ誘導するような紹介にすべきだったと思う。
とはいえ、CGの質に関しては素晴らしいの一言だ。
雛子が光人の探偵部への入部を歓迎するシーンなどを見れば納得いただけるだろう。
キャラもややぽっちゃりめ(攻略対象はおっぱいが大きい!)で可愛いし、
表情もいい。雛子の「むぅ」や、やすらの照れ顔はたまらない。
SDもセンスある。
あとは枚数の少なさを何とかすれば言うこと無しだ。
演出に関しては、Event CG頼みで、Effectなどはほとんどない。
これもちょっといただけなかった。
魔術を使うシーンや戦闘もあるのだから、
カットインなどの工夫がもう少し欲しかった。
中盤で盛り上がりきれなかった要因だと思う。
最後に、声優。
エロゲー経歴の少ない人が中心だが、キャラとも雰囲気がぴったりで
演技も文句なし。
特にやすら役の倉田まりやさんは素晴らしかった。
実際のセリフに書かれていないしぐさも織り交ぜたり、
朝起こされた時のセリフのトーンのバリエーションなど。
あの南雲えりの人がまさかここまで成長するとは・・・
と言うことで、最終判定は良。ちょっと甘いか?
評価下げの対象となったのは、CG枚数の少なさと演出、
そして設定を上手く生かし切れていない点。
後は、誤字・脱字、効果音ミスなど細かいバグね。
他のゲームにも多かれ少なかれあるのだが、
重要なシーンでこれがあるとかなり萎える。
せめて盛り上がる場面は重点的にバグ取りして欲しい。
と、上から目線で言いたい放題いったが、処女作としてはまずまず。
かなりポテンシャルを持ったスタッフなので次回作に大いに期待したい。
そしていつかは完全版を。
P.S
D.C.Ⅱあたりから顕著だが、もはや男が料理をして女を餌付けする時代なのか・・・