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SEFさんのVenusBlood -GAIA-の長文感想

ユーザー
SEF
ゲーム
VenusBlood -GAIA-
ブランド
DualTail(DualMage)
得点
70
参照数
1934

一言コメント

過去作のいい所を継承、公平性には難あり。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

評価点
・伝統的要素
過去作の醍醐味をしっかり受け継いでいる。
ステージクリア型、地域制圧型、拠点防衛型、それぞれまだ面白くなる可能性がある。

問題点
・(種々ある中でも)公平性
あらかじめ断っておくが、このゲームは公平である。
この問題の多くは露骨すぎるAIチートが原因だ。
自軍に倍する師団、地上からの支援効果、エンカウントバトルでの戦術スキル使用
これらは誰がどう見てもAIのインチキだとわかるものだ。
果たして必要だったのか?
必要である。
本作のような対照ゲームではAIはチートがないと人間に絶対敵わない。
では上記仕様は問題ないのか?
否、バランス調整という名目でAIボーナスだけを与えてはならん。
ではどうするか?
プレイヤーを納得させられるだけの要素を一緒に詰めるのだ。
これによりプレイヤーの方が多少有利になるようなことがあっても問題ない。
難易度設定を設ければ済む話である。
少なくとも実際の公平さと引き換えに、プレイヤーから不満が出るよりは遥かに宜しい。
本作はこの部分のフォローが、かなり杜撰である。

また、難易度を免罪符に調整が行き届いていない部分も散見された。
難易度とはプレイヤーがもっとやり甲斐のある課題を要求する手段である。
この肉はやわらかすぎたから、もっとかたい肉をくれと注文した結果、石が出てきたらどうだろうか?
「違う!これじゃない!」
皆そう口にするのではなかろうか。

では結局、本作はどうすべきだったのだろうか?
まず、AIにもリソースの概念を与え、情報をプレイヤーに開示する。
そしてAIもアタックコマンドが使えるようにする。
ただしレギオンの設定はプレイヤーの物に準じ、ここを弄れるのはプレイヤーだけとする。
難易度はリソースやユニット(と、そのパラメータ)の変更だけとする。
これで相当マシになる。
少なくとも、膨大な数の敵兵を見てうんざりしたり、特攻しかしないAIの単調さは解消される。

公平性とは人間心理であり、ひどく曖昧で不安定なものである。
難易度とAIチートの境界線も不明瞭なものだ。
そのため開発者は良いAIチートと悪いAIチートを把握しなければならない。
ゲームをプレイするのが我々である以上、公平性の問題に関しては常にプレイヤーの意見が正しいのである。